(ジークハルト視点)
(ジークハルト視点:6月17日~7月6日)
結局2回目の手紙にも返信はこなかった。
リアはその間も学園で楽しそうにしていた。
「ねぇ、ジーク、最近素っ気なくない?なんか、寂しいよ…。」
「そう?」
「ジーク、どこ行くの?」
「別に。最近訓練の時間が短かったからな。訓練場に行くだけだよ。」
「ジーク、メアリーが寂しがってるだろ。後じゃだめなのか?」
メアリーは最近俺によく絡んでくる。そのせいか、殿下達が益々メアリーの気を引こうと必死だ。
殿下達にばれないよう薄く息を吐く。正直、最近は勝手にやって欲しいと思い始めてきた。メアリーも俺の行動をいちいち把握しようとしてきて、少しめんどくさく感じるようになって来てしまった。…ちょっと前は自分の事を気にかけてくれてるようで嬉しかった筈なのにな。
それよりも、ここ1年半程できるだけメアリーの近くにいたせいで体が鈍っている。離れている間に他の生徒会の奴らに出し抜かれたくなくて、朝と夜だけしか訓練していなかったからだ。
その事に気付いたのも、アメリアの事を考えないように訓練を始めたのがきっかけだった。
結局、考えてしまってるわけだから救いようがない。
もうすぐテストだな。アメリアは大丈夫だろうか。勉強ができるタイプでは無かったから…。
******************
3回目の手紙を書いてしまった、その前の返事も来ていないのに。しかも、結局テストが終わっても、その手紙にも返事は来なかった。
返事がこない事に苛々する。これだけ気にかけてやってるのに失礼じゃないか?
「ジーク、あのね、今回の休みはジークの領地に遊びに行こうと思うの。2人きりでお買い物したいな…だめ?」
去年も一昨年も、長期の休暇は王都で皆で過ごしていた。前だったら喜んで受け入れたけど、買い物か…正直、めんどくさいな。どうせ、俺が買うんだろ?
「まだ都合が分からないから。殿下達はどうだ?」
「私はジークとがいいんだけどな。」
メアリーがはにかみながら言い、上目遣いの潤んだ瞳で見つめられる。
潤んだ瞳か・・入学式初日のアメリアを思い出して苦い気持ちになる。俺は最低だった。
「都合がついたらね…。」
逃げるようにその場を去る。
気付いたら学園から寮へと続く道へ来ていた。
このすっきりしない心をなんとかしたくて、アメリアに理由を確認したくなってしまったのだ。
アメリアが来る。楽しそうにしているうえに、近くに男が2人もいる事に腹が立つ。
「アメリア・・手紙は届いたか?」
「はい。3通届いています。」
「・・・なぜ返事をしない?」
「・・・申し訳ありません。」
「・・・っ!!もういい!!!・・見損なった。時間を取らせて悪かったな。」
吐き捨てるように言ってしまった。
くそ。結局スッキリするどころか胸は重くなる一方だ。アメリアに怒りをぶつけてしまった自分自身に自己嫌悪になる。
訓練場に向かう途中メアリーに会った。
「ジーク!!」
メアリーが笑顔で駆け寄って来る。
「私、今とっても幸せなの」
「・・どうして?」
「ふふ、あのね、……ジークに会えたから。」
最後だけ内緒話するようにメアリーが耳もとで囁き、いたずらっ子のように上目遣いで可愛らしく笑む。
ふ、と思わず笑顔になる。メアリーは出会った頃からこうした可愛らしい言葉や、仕草が多かった。
メアリーが腕に絡んで来る。
だけど、先程のアメリアの事が思い浮かびまた胸が重くなる。
メアリーもジークを逃がさないように一応頑張ってる・・というのを書きたかったです。




