主要キャラとの対面
(6月8日 土曜日:69日目)
ごきげんよう。アメリアです。また1週間が経ちました。
今週は表面上は穏やかに過ぎました。
木曜の詩の授業では、クラスで発表される中二病爆裂の詩をノートに書き留めるということを始めました。大人になったときにね?こう、自分の青春の1ページをチラッと見せてあげようと思いまして。交渉の場とかで囁いてあげようと思って。ふふふ。
オキレイなだけでは生きていけませんもの。ただ、副作用として自爆しそうになるんだけどね。文字に起こすと尚更笑えて来てしまって。
あとは、ジーク様の手紙…。放置するって決めたし、これで嫌われたらその時はその時という気持ちだったけど、やっぱり不安で辛いものがある。精神的には不安定な一週間だった。
さて、今日はサロンの日です。
今日のサロンは主催者側ではなく、お呼ばれされました。
エカテリーナ様に。
公爵家のご令嬢で第二王子の婚約者でベティーの従姉妹で学園内最大サロンのエカテリーナ様に。
ついに、悪役令嬢ポジションのエカテリーナ様とご対面するときが来ました。モブは緊張で震える!ただ、これまで得た情報によると真面目に頑張ってるいい人で、本人は嫌がらせとかはしていない。ベティーもいつもの3人もいるしダイジョウブ。
「よく、来てくださいましたね。」
澄んだ艶やかな声が場を支配する。
「お招きいただき光栄です。」
ベティーに順い挨拶をする。
「ごめんなさいね、学園で話題になっているあなた方とお会いしてみたくて。どうぞ、あまり緊張なさらないで。貴方たちは可愛い後輩でただのお茶会なのだから。」
完ぺきな淑女の微笑みをみせるエカテリーナ様。洗練された仕草、声、整った顔、美しい銀髪・・既に女王様然とした貫禄がある。
「「「「お心遣いありがとうございます。」」」」
四人で頭を下げる。
「でも、本当に可愛らしいのね。『天使のサロン』と呼ばれるのも分かるわ。」
その後、多くの女子の先輩方にきゃいきゃい囲われて終始タジタジだったけど、アシュレイに比べれば私のは軽すぎるくらいだっただろう。まるで池の鯉にエサをあげたかのような状況だ。なのに天使の微笑みを崩さない姿勢は流石アシュレイだ。
「そういえば、是非お歌をお聞かせ願いたいわ。」
…ですよね。お互いサロンの主催者側なので、今日聞かなければ、2度とチャンスはないだろうし。エカテリーナ様の取り巻きも同じだろう。まぁ、私は歌う珍獣として呼ばれたわけだ。
「かしこまりました。心を込めて歌わせていただきます。」
でも、これはチャンスだ!気に入ってもらえたら、月末にひょっこり来てくれる人が現れるかもしれないしね。私は今まで歌った中から女性が好きそうなもの、主に恋愛の歌を2曲歌う。いつものとおり、拍手喝采とお世辞を頂き、プロモーション終了だ・・と思ったらアンコールがあって、さらに3曲も歌った。皆さんが、かわいいかわいいとたくさん言って下さるので、お調子者の私は乗りに乗って最後振付までした。
「「「噂のとおりとても素敵でしたわ!!!」」」
「なんて素敵な歌詞なのかしら!」
「メロディも可愛らしくて!!」
「ぜひぜひまた聴きたいわ!」
たくさんのお姉さま方が称賛してくれる。ちょ、お世辞と分かってても自分の心の中の小さなアメリアがドヤ顔になる!そして、喜びの小躍りをしてしまう。皆さんほめ上手ですね!
そんなこんなで私は浮かれまくり、平和に宣伝活動も終わり、お暇しようとしたら、
「エデン様?この後お時間ありまして?」
私だけエカテリーナ様に呼び出しをくらいました。
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人払いをされた部屋で、エカテリーナ様と2人きりになる。
あ・・また緊張してきた。
「ふふ。堅苦しいものは無しにしましょう?一人の女性として聞くわね、あなたはマグノリア様の婚約者よね?辛くはないかしら?大丈夫?」
優しい声、瞳は真摯に心配の色を乗せている。
い・いい人だ!!第二王子はいったい何をやってるの?めっちゃいい女差し置いて!!単純な私はあっけなくエカテリーナ様に陥落する。
「あの・・正直に申し上げれば…辛い、いえ、辛かったです。」
「かった?過去形なの?」
「はい、一番辛い時期は過ぎました。」
「そう、何故なのか聞いても?」
そう言われて正直に答えようか考える。
「実は、ジークハルト様にもう一度振り向いてもらえるように頑張っているところでして。少し軌道に乗ってきたので。」
「具体的には何をしているのかしら?」
「自分磨き・・・でしょうか?」
正確に伝えなかったのは、まだエカテリーナ様を信用しきれないからだ。あの子、意図してこんなことしてるみたいよ、なんてどこかからバレてしまえば私の作戦は終了するし、ジーク様に嫌われてしまう。
「そうなのね。もし、何か困ったことがあったら言ってちょうだい。先輩として、できるだけ力になれるようにするわ。」
「あの、エカテリーナ様は、お辛くはありませんか?」
「わたくし?そうね、全くというと嘘になってしまうわね。でも、きっと一時のお戯れでいらっしゃるだろうから大きな目で見るようにしているわ。」
『ざまぁ』の可能性は今のところ無いということか。でも、こんな素敵な方をみすみす大勢の前での婚約破棄事件に巻き込ませたくはない。かといって、もしかしたら卒業パーティーで婚約破棄されるかもしれませんよ、なんて言えるわけがない。
「そうですか。エカテリーナ様はお心が広いのですね、憧れてしまいますわ。」
にこりと微笑む。だけど、エカテリーナ様だってまだ17歳だ。そんな風に割り切れるはずがない。本当は辛いだろうに・・。私は、心配げにエカテリーナ様の瞳を除く。
瞳の奥は凪いでいて、その心は分からない…。「悪役令嬢転生もの」では実は他に好きな人がいて破棄されるのを待ち望んでる場合もあった。
エカテリーナ様が何を望まれているのか分からない今の私では、何もできることは無い…。
「エカテリーナ様、私は今度の卒業パーティーまで・・いえ、年内に決着をつけるつもりでいます。私の中で結論が出ましたら一度報告に来させていただきます。その時には、すべてをお話しさせていただきたいと思っています。ですので・・私にもエカテリーナ様のことを案じさせていただいてもよろしいでしょうか?・・・私ごときが不敬かもしれませんが。」
「まぁ!ふふ、嬉しいことを言って下さるのね。ええ、もちろんよ。いい報告を待っているわ。」
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廊下にでると皆が待っていてくれた。ちょっとジーンとしてしまう。
「リア!!大丈夫だった?」
「うん、私の事心配してくれてただけだった。」
えへへ、と笑う。
反省会という名の打ち上げをしてその日は解散した。




