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二十八日目


「ここは一度来たかった」

「博物館か」

「そう、何でもあるのだよ!」

「何でもを曲解していそうだな」

「つまり幽霊も展示されてるんじゃないかってね!」

「早速か。いないぞ」

「なんでそういい切れんの!」

「四十九日毎に展示替えだな」

「新鮮な幽霊を捕まえますって?魚か!」

「お前も嫌だろう?せっかくの死後ライフを博物館に展示されて終わるのは」

「…それはたしかに…いや、ネタ的にはおいしいか…?」

「誰に自慢するんだ。しかも誰が運営するんだ」

「それは当然死神の仕事じゃん?」

「全く持って意味がない仕事だ」

「いや、見られていることに愉悦を感じる幽霊の場としてどうだ?」

「じゃあどの辺りがいいんだ?縄文時代の展示のあたりに混ざっとくか?」

「私のことじゃないやい」

「大体霊に住み着かれたら学芸員も嫌だろう」

「なんで?むしろ自慢できん?」

「例えば自慢できるからと言って事故物件に住みたくないだろう?」

「今なら全然いける!」

「都合よすぎる意見だな」

「任せろ」

「つーかどこ住んでもいいから、実質家賃ただ!」

「食う寝る住むどれも必要ないがな…」

「浮浪者じゃん!」

「浮浪者は食う寝るぞ」

「アイツら贅沢だな!」

「食う寝る無くなったら人間は死ぬからな?」




「いえーい(恐竜の化石標本の上に乗る)ねえ写真撮って写真!」

「あるわけ無いだろう」

「じゃあこれは?撮れる?(肉食恐竜の化石の口の中に入る)」

「だからカメラは無いと」

「隠してるんじゃないの!?」

「そもそもあったとしても映らん」

「バンパイアと同じか…はっ!?つまりバンパイアは幽霊!?」

「違うぞ」

「なんだっけバンパイアの弱点。流れ水渡れない、招かれた家にしか入れない、十字架、太陽の光、ニンニク、銀製品…」

「幽霊ではないな」

「流れ水というか、まず水は感じられないし浮いている、招かれなくても勝手にすり抜ける、十字架はしらん、太陽があろうがなかろうが外に出る、ニンニクの匂いも分からん、銀製品…きれいだね」

「全然違かったな」

「おしかったね」

「鏡に映らないところだけな」




「お前もここまで来るまで苦労したんだな」(動物標本に向かって)

「なにホームレス同士の飲み会みたいになっているんだ」

「半分正しくホームレスですが?」

「ホームレスどころかボディレスだろう」

「こいつはソウルレスだな」(動物標本に向かって)

「それは極めて正しい」

「正しい頂きましたー!」

「というか展示されてる方に入っているとそれっぽいぞ」

「なによ、それっぽいって」

「展示の幽霊」

「ついに展示されるほど有名になってしまったか」

「いや、ただの浮浪幽霊」

「動物標本と浮浪幽霊、いいコンビじゃないか」

「ずっとそこに居る気か」

「死神さんとはコンビ解消ね」

「いつコンビを組んだ」

「今度からこの二人でラジオやるから」

「延々と一人二役だぞ。ほぼ猫道尻挟まれじゃないか」




「しかしまぁ触れはしないが楽しいは楽しいな」

「そうだな霊は意外と来る」

「博物館人気!・・・しかし生者は少ないな」

「地方の常設展はな」

「詳しいじゃない」

「博物館に詳しい霊が前いてだな」

「なにそれくわしく」



「憑りついたりできればな~」

「何を企んでいる」

「こうミイラとかに入ってさ、目の前を通った人間にばぁ!って」

「…ここは博物館であっておばけ屋敷じゃないんだぞ?」

「でもそういうエンターテイメント性があっていいんじゃない?」

「一応曲がりなりにも学術組織だ」

「え?そうだったの?珍しいもんが詰まってる宝箱みたいな場所だと思ってた」

「元々の驚異の部屋というイメージなら間違っちゃいないな」

「え、じゃあがんがんおもろいことやって行こうよ!」

「ただ未来に残す価値のあるものを展示している。流石にミイラに入り込んでうろつくのは感心せんな」

「楽しくない?」

「お前は楽しいだろうが。…考えてみろ、まだ生きている時に急にミイラが動き出したらどうする」

「今なら笑うな」

「他人の事を考える頭もなくなってしまったか…」

「幽霊化が進行した結果じゃん?」

「進行したのはボケだろう。」

「老人ってか?いやまだまだ現役で行けるよ!」

「そういうのが若者に嫌われる」

「まぁでも楽しいのがやっぱりいいじゃん。博物館も資金繰りが厳しいって何かで見たよ?アトラクションとか作っていこうよ!ホラ乗り物に乗って見物するとかどう?」

「その案を採用したら後世にまで文化財が残らなそうだな…」

「でも組織が無くなる方がまずいじゃん?」

「ある種正論ではあるから反応に困るな」

「だろう。ふふん」


「あっじゃあ乗り物に乗って、ガイドのヘッドホンをつけて回れば完璧じゃない?そしたら人気の展示があっても混雑も解消されて一石二鳥!いや百鳥くらいいってもおかしくない!」

「それと引き換えにじっくり自分で想像する時間を失うがな。美術館とかはどうだ?」

「私は美術館は良さがよくわからない」

「ほう」

「どういう意味で描いたのかなど考えているうちに寝てしまうかもしれない」

「それは大問題だ」

「だろう?」

「でもタダだしな、そのうち行ってみてもいいかもしれない」

「前向きだな」

「お互いに一番好きな絵を見つけるとかなら楽しそうだ」

「それは良い」




「そして私が博物館で一番好きなのがお土産屋だ。そして今は一番嫌いかもしれない」

「何も手に入らないからな」

「アンモナイトの化石とか恐竜骨格の木製の模型とか興奮せん?」

「なんだ、昔から死後の世界に興味あったのか」

「え、考えてもみなかったけどそういうこと?」

「聞き返されても分からんが…」

「ああ宇宙も好きだよプラネタリウム」

「プラネタリウムは行ってなかったな」

「行く?」

「行ってもいいぞ」




「・・・」

「寝てたな」

「寝てない」

「寝てたぞ、しかもいびきをかいて」

「だってぇしょうがないじゃんか!ナレーションも聞こえないし!暗いし!星を見てるだけじゃん!」

「ナレーションはともかくそれが目的じゃないか」

「って、これ普通に夜、空を見てればいいんじゃない?」

「そうともいう。寝る必要もないし食べる必要もないからな」

「結局ホームレスじゃん」

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