↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/18

10 ■

十日目


 結局朝までファミレスでグダグダしてしまった。

 途中で席に若者二人が乗り込んできたときはびっくりしたが、そうだよな。向こうから見えないもんな。

 そんなんで四人席を四人で座ってるのがなんかおかしくってさ、しかも一人は死神じゃん?もう胡散臭いったらありゃしないの。

 そんでもって若者が持ってきたドリンクバーの飲み物をストローから勝手に飲んだ振りしたりしてさ、

 でも実際飲めないから悲しかったけども。

 やっぱり正規ルートじゃなきゃダメだね、非正規で純正品じゃないのは良くないってことが分かった。

 そしてちょっとおもろかったのが、なに喋ってるのかわからないけど、ジェスチャーで何を言ってるか当てるゲーム!まぁ正解が何かってのは結局分からないんだけどね、へへっ。

 とりあえずこれじゃないか?違う、ああでもないこうでもないという話になって、

 結局、遊園地にこいつら行ってきたんじゃないかという話になったので、

 まぁ当然遊園地に行きたくなるよね?そんで朝から行くことにしましたとさ!


「誰に言っているんだ?」

「いいじゃんやりたいものはやる!それが私だ!」


-----


「今日めっちゃ混んでんじゃん!」

「そうだな」

「休日かな?」

「かもしれんな。」

「幽霊に休日は無いの?」

「毎日が休日のようなものだろう。ああ、自分にとっては昨日が休日のようなものだったな」

「昨日?・・・ああ!それひどくない?私といると毎日が平日だって言うんでしょ!プンスカ!」

「ははは、そうだな仕事だな」

「しかも私が寝て過ごして悲しくて苦しんでたって言うのにぃ~!この鬼!悪魔!死神!」

「そうだぞ、知らなかったか?」

「もちろん知っておりましたともさ。はい、じゃあ世の中休日だけど仕事してくださいねー」

「いつものことだ」

「でも笑ってしまうなぁ、なんと!この姿なら並ぶ必要が無いということだ!」

「そうだな。たとえ幽霊赤ちゃんでも人は透けるからな」

「言うねぇ。しかし今の私はそんな言葉は跳ね返すよ!ひゃっほーい遊園地だーい!」


-----


「どうだ?楽しいか」

「正直言うよ?ジェットコースターのあのフワッとした感覚とか風とか感じられないのよ」

「いまいちだったか?」

「でもね、私がんばった。視界の変化は楽しめるし、過去の記憶の体験を引っ張り出してリンクさせたのね」

「妙な努力を引っ張り出してくるな」

「そしたら中々楽しめた」

「良かったじゃないか」

「ただし、知らんおっさんの膝の上に乗っていなければの話だがな」

「ああ、空いてる席がなかったのか」

「なんで遊園地まで来てそんな気分にならなきゃいけないんだバカヤロー!」

「また空いてるときに来たらいい」

「そうしよう。でも乗るたびに絶対思い出す記憶だわ…」

「がんばれ」


-----

十日目夕方


「なんだかんだで楽しんだな~」

「良かったな」

「自動で動くものならこっちで操作する必要もないしいいねぇ」

「そうだな」

「私、遊びを見つける天才か?」

「遊びに執着する変態だな」

「よせやい照れる」

「褒めてない」

「ふう、どこかに行っても結局居なれた場所に帰ってくるよね」

「そういうものだ」

「さて風呂入って寝るかー」

「風呂も入れないし、寝てまた騒がれるのは勘弁だぞ」

「なによー、なんとなく今日の終わり感を言葉で出したかっただけなのにそれもできないのかー!」

「そうならそうと言え…。??」

「ん??」


 ゆうパイだ。もうそんな時間だったかな?・・・?今日はなんだかゆうパイの様子が変だ。


 顔色が悪いように思える。幽霊に顔色も何もという感じだが。雰囲気が・・・

 いつものように手を振ってみる。

 しかし、うつむいたままでこちらに気付かない。

 ふらふらと浮いて公園の方へ


 死神がそちらへ飛んでいく


 ??そばを離れられるのは始めてすぎて異常事態かと思う。

 ちょっとこっちはまだ空飛べないんだって!


 走って追う。走るの得意じゃないんだった足おっそ!



-----





 公園に着いたとき、先輩の正面に死神さんがいた。

 こちらに気づくと手のひらをこちらに向ける。

 来るなということだろう。



先輩が必死な顔で何かを説明する

死神が聞く

先輩が問いかける

死神が首を横に振る

先輩が泣く

死神が何かを話す

先輩が泣き止む

先輩が目をつむる

先輩が胸に手を当てる

先輩が目を開ける

先輩がこちらに気づく

先輩が力なく笑い手をふる

先輩が座る

先輩が手を組む

先輩が言葉を呟く


死神が一歩近づく


死神が刀で



先輩を斬る



先輩は光の粒となり消えた






おそらくは永遠に。







「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・何も聞かないんだな」

「・・・私を何だと思っているのさ。ああ、珍獣だよねわかっているよ。でも空気は読む珍獣だよ」

「そうか」

「…あれが、霊を送る行為?」

「そうだな」

「・・・」

「…本来は、時間をかけ、ゆっくりと人でなくなるモノに寄り添い、心を慰める。それが役割なのだが」

「神様も勝手よね」

「人と同じで色んなやつがいる」

「・・・そうね」


 死んでから、一人でずっとこの世界を彷徨っていたらどうなっていたかと思う。

 音も感じれない、段々と触れなくなる、こちらの存在も誰にも伝えられない。

 つまるとかつまらないとかそういう問題ではなくなる。

 その苦しみがどれだけ大きいことか。

 それですべてを諦めて成仏できればいい。

 でも…そうでない場合もあるということだろう。

 もう消えてしまったが、手を振りあったことで、先輩の心に陽が少しでも差せたのなら・・・いいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。