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ハズレスキル《帰り道》しかないF級探索者、遭難したS級パーティを全員連れて帰ったら救難依頼が殺到しました  作者: ころもぐら


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第183話 画面の外の三人

 出動の連絡が届いたのは、窓辺の花が夕方の影に沈み始めた頃だった。黒硝洞の管理者が予定帰還時刻を過ぎた三人の所在を確認できず、入口に戻った別の入域者からも目撃情報が得られないという。救難受付は現場の状況を照合し、正式な救難要請として受理した。


 俺とフェナは鞄を持って家を出た。さっきまで洗濯物を畳んでいた部屋には、黄色い花と二枚の新しい皿が残っている。玄関で靴を履く時、フェナが振り返って窓辺を見たので、俺も一度だけ目を向けた。


「花の水、替えたばかりだから大丈夫だよ」と俺が言うと、彼女は頷いた。


「はい。帰ってきたら、まだ咲いていると思います」


 その言葉に、必ずとは答えなかった。俺たちは仕事へ向かう時、無事に戻りたいと思っている。それでも、願うことと約束できることは違う。今日の昼間に耳にした見出しの言葉が、まだ頭から離れなかった。


 受付の会議室には、瀬川さんと相馬さんのほかに、黒硝洞の管理者、探索区画の巡回担当、神代美波さんがいた。美波さんは机の端へ肘を置き、止めたままの映像を見ている。俺が入ると顔を上げ、いつもと変わらない調子で言った。


「久世。配信の映像は見たか」


「最後のところだけです。通路の奥で何か音がして、画面が消えました」


「それなら、まず時刻を確認しよう。あの映像は、撮った瞬間に見ている人へ届くわけじゃない」


 美波さんが指した画面には、撮影端末の記録時刻と配信サービス側の表示時刻が並んでいた。通信状態が悪くなると映像を一時的に保存し、つながった時にまとめて送る仕組みらしい。最後の場面が公開されたのは午後四時四十二分だが、撮影された時刻は四時三十一分と推定されている。


「つまり、配信が切れた場所に今もいるとは限らないんですね」とフェナが言った。


「そうです」と瀬川さんが答えた。「そもそも三人が一緒にいるかどうかも未確認です。入域登録には、柊木透真さんと撮影担当、補助担当の計三名が記されています。全員成人で、一般開放区画への許可はあります。ただし、閉鎖区画へ進む許可はありません」


 管理者は地図を広げ、青い線で示された一般開放路を指した。黒硝洞は黒い硝子のような岩が多い洞窟で、照明を当てると壁の奥に光が吸い込まれたように見える。観光客も入れる入口付近と、探索者だけが許可を受けて入る区画があり、さらに奥には季節ごとに魔物の活動が変わる閉鎖区域があるという。


「配信の告知では、一般開放区画だけを歩くと言っていました」と管理者は説明した。「それなら問題はなかったんです。ところが、映像の途中に閉鎖区域の赤い表示らしいものが映っている。画面の反射で文字までは読めませんが、位置が分かれば絞り込めます」


「表示が映ったから、入ったと決まったわけじゃないですよね」と俺は言った。


「そのとおりです。外から撮った可能性もあります。ただ、今の段階では、行っていないと決める根拠もない」


 相馬さんは地図に印を付けず、映像の確認を続けるよう頼んだ。俺は、その慎重さに少し安心した。誰かの間違いを見つけることが目的になれば、肝心の居場所を探す目が曇る。今は三人がどこで何をしているか、確かめられる事実が必要だった。


 映像の前半では、柊木透真が明るい声で視聴者に話しかけていた。軽い装備に派手な色の上着を合わせ、洞窟の反射を利用して顔を照らしている。撮影担当は声だけで、補助担当が後ろから照明を持って歩いていた。三人とも最初は余裕があり、時々笑い声が混じる。


『右と左、どっちが面白いと思う? 投票で決めよう』


 柊木がそう言うと、画面の端に数字が増えていった。美波さんはその部分を止め、地図上の分岐を管理者に尋ねた。


「一般開放路の途中に似た分岐が二つあります」と巡回担当が答えた。「一つは短い見学用の周回路、もう一つは管理用の横穴へ続く道です。管理用の方は施錠されていますが、古い非常扉が残っています」


 次の場面では、柊木が右へ進むと宣言していた。視聴者の投票結果は左が多かったが、彼は「こっちの方が画面がきれいだから」と笑い、撮影担当がそれに応じる。画面に映る景色が似ているため、実際にどちらへ進んだかはまだ断定できない。


「投票で進路を決めたように見せて、最後は本人が選んでる」と美波さんが言った。「悪いこととは限らない。演出と実際の移動が違うなら、その違いを知らない人が映像を手掛かりにするのは危ないってことだ」


 俺は頷いた。昼間、俺の名前を付けた写真を見せてくれた男性を思い出す。画面の中にあるものは、そこに映っていないものまで教えてくれない。見た人が信じたい形に、簡単に変わってしまう。


 さらに映像を進めると、補助担当が何度か「時間を見よう」と声をかけていた。柊木は軽く返事をしながらも撮影を続ける。最後の十分ほどになると、画面の隅に小さな三角形の刻印が繰り返し現れた。黒い岩に白い塗料で描かれたものだ。


「これは見学路の案内ですか」とフェナが尋ねた。


「違います」と巡回担当が答えた。「昔の点検で付けた目印です。管理用横穴の内側にもあります。ただ、似た刻印は入口近くの壁にも残っています。これだけでは場所を決められません」


 瀬川さんは、映像の元データを管理者が正式に入手できるよう、配信サービスへ照会していると説明した。切り抜きではなく、撮影時刻の入った元の記録が必要だ。コメント欄には「やらせ」「助けに行け」「本人が悪い」といった言葉が溢れているらしいが、その数は三人の状態を確かめる手段にはならない。


 俺が画面を見つめていると、美波さんが声を落とした。


「久世、あいつが何を言ったかは知ってる。でも、洞窟の中で助けを求めていたら、そこは別の話だ。腹が立つなら、帰ってからにしろ」


「腹が立つというより、怖いです。俺の能力が何でもできるみたいに伝わって、それを信じて進んだ人がいたら」


「お前の責任にするなとは言わない。でも、まだ誰が何を信じたか分からないだろ」


 美波さんはそう言って画面を閉じた。彼女の言葉は慰めではなく、考える順番を戻してくれたのだと思う。俺は深く息を吐き、相馬さんの説明へ意識を向けた。


 黒硝洞の入口には、夕方だというのに人が集まっていた。配信を見て駆けつけた人たちらしく、手元の画面を見ながら入口の方へ声を上げている。警備員が通路を確保していたが、誰かが救難車を撮ろうと前へ出るたび、列が崩れかけた。


 相馬さんは管理者へ、救難の動線と一般の見学者の動線を分けるよう頼んだ。瀬川さんは受付に残って関係先への連絡を担当し、俺たちが入る時刻と人数を記録する。美波さんは別の戦闘担当二人と装備を確認していた。医療担当は後方で搬送に備え、俺とフェナは巡回担当と通信担当の後ろにつくことになった。


「黒硝洞では、壁が光を返します」と巡回担当が説明した。「正面に明かりを向けると奥行きを見誤る場所がある。足元を照らす角度を一定にして、案内する者の合図を見てください。立ち止まる時は壁際へ寄りすぎないこと。割れた硝石の縁で装備が傷みます」


 美波さんが俺へ目を向けた。


「久世、お前の《帰り道》が役立つのは、見通しが悪くなってからだ。入口の位置を覚えておく必要はないが、帰る向きが分かることと、そこへ通れることは別。いつもどおりでいい」


「はい。俺から先に安全だとは言いません」


「言う必要がある時には、帰る方向をはっきり言ってくれ。それで十分だ」


 フェナは、昼間買った布の小袋から予備の小さな照明を取り出し、電池の状態を確かめた。俺が驚くと、彼女は「もう役に立ちましたね」と笑った。店で自分のために選んだものが、早速仕事へつながっている。それでも、買った理由まで仕事に変わったわけではない。俺は彼女の手元を見て、そう思った。


 洞窟へ入ると、外のざわめきが背後で急に小さくなった。壁は濡れていないのに、薄い水の膜があるように光る。青い案内灯が並ぶ一般開放路は広く、床も整えられていたが、足音が重なって戻ってくるため、何人が歩いているのか耳だけでは分からない。


 最初の分岐には、見学用の矢印がはっきり残っていた。巡回担当は柊木たちの映像と壁の模様を照合し、撮影位置を一つずつ確認する。俺の能力は入口へ戻る道筋を示している。だが、三人がどちらへ進んだかについては何も教えてくれなかった。


 分岐を越えたところで、通信担当の端末が短く鳴った。入口との連絡は届いているが、奥へ進むほど弱くなるという。相馬さんは無線中継の位置を確認し、連絡が維持できる範囲を越える前に別の装置を設置するよう指示した。


「この先に古い扉があります」と巡回担当が言った。「通常は鍵が掛かっています。映像の最後に写った赤い表示があるのは、その周辺です」


 俺たちは歩く速さを落とした。前方の壁に赤い板が見え、黒い岩の表面に小さな三角の印が浮かび上がる。扉は閉まっていたが、鍵を掛ける金具の一部が曲がっていた。地面には細い擦り傷があり、最近、重いものを引きずったようにも見える。


「触らないで」と美波さんが先に言った。「いつ傷んだか分からない。管理者に状態を見てもらう」


 巡回担当が扉の番号を確認し、記録と照合した。鍵の交換予定が入っていたが、交換作業はまだ実施されていない。扉を無理に押せば開く可能性はあるものの、柊木たちが通った証拠にはならない。


 その時、扉の向こうから小さな音がした。硬いものを床に落としたような、短い音だ。俺は反射的に顔を上げたが、美波さんはすぐに手を広げ、全員へ止まるよう合図した。


「人の声じゃない。まだ決めつけるな」


 彼女は戦闘担当の一人と目を合わせ、周囲の壁を確認する。次の音は、扉の奥ではなく右手の岩の割れ目から聞こえた。黒い影が細長く伸び、鱗のような板を擦り合わせながら、四つ足の魔物が這い出してくる。背中には硝子片に似た硬い突起が並び、明かりを受けて白く光った。


「硝殻だ。後ろへ下がって!」と美波さんが叫んだ。


 俺はフェナの腕を掴み、巡回担当が示した広い場所まで下がった。硝殻は頭を低くして走り出し、爪が床の石を弾く。戦闘担当が盾を前へ出すと、魔物は体を横へひねり、突起を盾の縁へぶつけた。耳を刺す音が洞窟へ広がり、反射した光が一瞬、視界を白くする。


 美波さんは盾の後ろから声を出し、もう一人の担当へ側面を取るよう指示した。魔物の動きがそちらへ向いた瞬間、彼女は間合いを詰め、前脚の動きを止めるように武器を振るった。俺には何が当たったのか見えなかったが、硝殻は勢いを失って横へ倒れ、再び起き上がろうとして床を引っかいた。


「止める。近づかないで」


 美波さんが短く告げ、戦闘担当が動きを封じた。魔物が完全に動かなくなってから、巡回担当が周囲を確かめる。俺は息を吐こうとして、喉がひどく乾いていることに気づいた。山の斜面で落石を見た時とは違う怖さだった。今の相手は、こちらを見て動いていた。


「ナオトさん、けがはありませんか」とフェナが尋ねた。


「ない。フェナは?」


「大丈夫です。でも、あの音がまだ耳に残っています」


 俺は頷いた。硝殻の突起が盾を擦った音は、洞窟のあちこちから返ってくる。もしあの音だけを聞いていたら、魔物が何匹いるのか判断できなかっただろう。


 美波さんは戦闘担当に周囲の警戒を任せ、巡回担当へ尋ねた。


「ここに出る種類なのか」


「一般開放路では珍しいです。季節の移動で奥から出てきたのかもしれません。だから閉鎖区域の点検を急いでいたんですが……」


「原因はあとでいい。まず、三人がここを通ったかどうかを探そう」


 俺は美波さんの声を聞き、戦いが終わっただけで救難が進んだわけではないと気づいた。扉の向こうにも、まだ知らない危険がある。だが、三人がどこにいるか分からないまま戻るわけにもいかなかった。


 戦闘班が硝殻の死骸を通路の脇へ寄せる間、俺たちは壁の凹みに設けられた待機場所で水を飲んだ。洞窟の空気は冷たいはずなのに、背中には汗が滲んでいる。フェナは水筒を受け取り、飲み口を拭いてから俺へ返した。


「さっき、ナオトさんが腕を掴んでくれたでしょう」と彼女が言った。「私は音の方を見ていて、後ろの段差に気づきませんでした」


「俺だって、美波さんの合図がなかったら動けなかったよ。二人で下がれたのは、たまたま近くにいたからだ」


「でも、近くにいてよかったです」


 フェナはそう言って、自分の手袋の縫い目を確かめた。彼女の声にはまだ震えが残っている。俺は、怖くないふりをして励ますより、さっき自分も足がすくんだと伝えた。フェナは少しだけ笑い、「では、次も合図を聞きましょう」と答えた。


 美波さんがこちらへ戻ってきた。戦闘のあとでも呼吸は落ち着いているが、袖口には硝殻の突起が擦った細い傷がある。俺が指摘すると、彼女は布の表面を確かめ、装備の点検を担当者へ頼んだ。


「大丈夫ですか」と俺が聞くと、美波さんは肩をすくめた。


「今のところはな。けど、平気そうに見えるからって点検を飛ばしたら、次に困るのは私だ。久世、お前も手袋の指先を見ておけ」


 言われて確かめると、右手の親指のところに細い裂け目があった。岩を掴んだ時に傷んだらしい。替えを取り出そうとすると、フェナが昼間買った布の小袋を差し出した。


「予備の留め具と一緒に、薄い手袋を入れてあります。ナオトさんの分も持ってきました」


「買ったばかりなのに、ずいぶん準備がいいな」


「好きなものを選ぶと、使い方も考えたくなるんです」


 俺は新しい手袋に替えた。何でも救難へ結びつけて考える癖は簡単には抜けないけれど、今のフェナは、それを義務ではなく自分の楽しみとして話しているように見えた。


 巡回担当が地図を持って戻り、入口との通信が安定していることを報告した。相馬さんは出入口側の警備へ、見物人を近づけないよう改めて頼んだ。外では今も画面を見ている人がいるだろう。だが、ここで必要なのは歓声でも非難でもなく、足音や小さな声を聞き分けられる静けさだった。


 扉の前へ戻ると、通信担当が床の隅に落ちていた小さな部品を見つけた。撮影用の照明に付ける留め具で、映像の中で補助担当が使っていたものと形が似ている。相馬さんは管理者に確認を頼み、扉の内側へ入る必要があるか判断するため、専門の点検担当を呼んだ。


 待っている間、俺は赤い表示を読み直した。「この先、一般入域禁止」。文字は消えていない。柊木が映像で何を言っていたとしても、この表示の意味は変わらない。けれど、扉の金具が曲がっていることや、留め具が落ちていることを合わせると、三人がここへ来た可能性は高まっていた。


 やがて、扉の奥から人の声がした。最初は反響で言葉にならなかったが、何度か呼びかけると「ここにいる」という返事が返った。相馬さんが人数を尋ねる。


『一人です。動けますけど、足をひねりました』


「名前と、ほかの二人の状況を教えてください」


『配信の補助をしていました。柊木と撮影の人は、奥です。俺だけ先に戻れって言われたんですけど、扉が閉まって……』


 声は途中で震えた。俺は扉に近づきかけたが、巡回担当が手で止めた。扉の内側には足場の欠けた場所があり、開けた瞬間に何が動くか分からないという。点検担当が金具を固定し、扉の周囲の岩に異常がないことを確かめてから、救難班は内側へ進んだ。


 補助担当は扉から十数歩先の壁際に座っていた。片方の靴を脱ぎ、足首を押さえている。顔には細かな傷があり、照明の光を受けると目を細めた。医療担当が状態を確認し、意識や呼吸に大きな問題はないが、自力で歩かせず搬送することになった。


「二人はどこですか」と相馬さんが尋ねた。


「奥の、床が黒く割れてるところです。撮影の人が足を滑らせて、段差の下へ落ちました。柊木が戻って助けようとして……俺は入口へ知らせに行けって言われたんです」


「柊木さんは、撮影担当の方と一緒にいるんですね」


「たぶん。でも、途中で大きな音がして、見えなくなりました。俺、あいつに戻れって言われたのに、扉が閉まって、どうしたらいいか……」


 補助担当は言葉を詰まらせた。フェナが膝をつき、彼の目線に合わせる。


「今は、ここまで声を届けてくれました。奥へ向かう人たちに、知っていることを一つずつ伝えてください。責めるために聞いているんじゃありません」


 彼は頷き、二人が持っていた装備と、最後に見た場所を説明し始めた。撮影担当は肩から下げた機材が段差へ引っかかり、体勢を崩した。柊木は一度入口へ戻ろうとしたが、撮影担当の声を聞いて引き返した。補助担当が見た最後の姿は、柊木がライトを下へ向け、誰かの手を掴もうとしているところだったという。


 俺は昼間の配信映像を思い出した。柊木は笑いながら、自分の言葉で俺の能力を軽く扱っていた。そのことは消えない。けれど、今、段差の下にいる仲間を置いていけなかったのも、同じ人間なのだ。


 相馬さんは補助担当の証言を地図へ書き込み、救難班の進路を見直した。奥には硝殻が複数出る可能性があり、地面の割れ目もある。補助担当を安全な場所へ戻す班と、残る二人を捜す班を分ける必要があった。


「久世、帰路の確認は頼む。ただし、奥の二人がどこにいるかを探すのは巡回担当と戦闘班の仕事だ」と相馬さんが言った。


「分かっています。帰る方向なら、今もはっきりしています」


 俺が答えると、美波さんが一度だけ頷いた。彼女は奥の通路を見たまま、声を低くした。


「さっきの魔物は一匹で済んだ。でも、次もそうとは限らない。久世、フェナ、後ろへ下がる合図を聞いたら迷うな」


 その時、奥の暗がりから、石を叩くような音が聞こえた。三度続いて、少し間が空き、もう一度。補助担当が顔を上げ、涙で濡れた目を見開いた。


「それ、撮影の人が使う合図です。暗い時、声が届かなかったら、三回叩いて、一回返すって……」


 美波さんはすぐに声を返さなかった。壁の向こうでは、音を聞いて寄ってくる魔物がいるかもしれない。彼女は巡回担当と視線を交わし、明かりを落とす位置と退路を確認する。


 俺は自分の胸の鼓動を聞きながら、奥の暗がりを見つめた。三人のうち一人は見つかった。残る二人が生きているか、どこで身動きできずにいるかは、まだ分からない。石を叩く音がもう一度聞こえるまでの数秒、洞窟はひどく静かだった。

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