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河内正則・栄光への道  作者: リンダ


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全国へ――もう一つの優勝候補

第○話「全国へ――もう一つの優勝候補」


大阪府大会決勝。


大阪タイタンズは鶴橋ライオンズを10-2で破った。


河内正則。


池永智雄。


星野慎一。


加藤亜由美。


有村恒一郎。


そして仲間たち。


長い大阪府予選を勝ち抜き、ついに全国大会への切符を手にした。


だが同じころ。


遠く離れた九州でも、一つのチームが全国への扉を開いていた。


福岡――博多リトルスターズ


九州のリトルリーグで、その名前を知らない者はほとんどいない。


博多リトルスターズ。


監督は篠田正孝。


投手力。


守備力。


機動力。


そして、一度流れをつかんだときの攻撃力。


九州でも最強クラスと評されるチームだった。


その中心にいる一人が――


柳川悠翔。


内野を守りながら、勝負どころでは長打も打てる。


そして何より、試合の流れを見る。


自分が打つことだけではなく、走者、守備位置、相手投手の癖まで観察する。


全国大会出場を決めた試合が終わったあとも、悠翔は浮かれてばかりはいなかった。


ベンチへ戻ると、すぐにスコアを確認する。


篠田監督が声をかけた。


「悠翔」


「はい」


「全国やぞ」


悠翔はようやく笑った。


「はい。東京ドームですね」


全国大会の舞台は――


東京ドーム。


各地区を勝ち抜いた強豪が集まる。


大阪。


福岡。


北海道。


東北。


関東。


東海。


北信越。


中国。


四国。


そして九州。


そこに地方大会での肩書きは関係ない。


一度負ければ終わる。


博多リトルスターズの仲間たち


グラウンドでは、全国大会へ向けた練習がすでに始まっていた。


川島蒼空。


松岡凛太。


黒木海翔。


山内翔吾。


有田蓮。


西野美優。


柳川悠翔。


高原紗季。


藤堂琉生。


さらに投手陣には、黒木海翔だけではない。


坂本大地。


神谷颯。


岡部結菜。


全国大会を一人の投手だけで勝ち抜くことはできない。


篠田監督は最初から総力戦を考えていた。


「全国はな、九州大会までと同じ野球しよったら勝てんぞ」


選手たちが集まる。


「相手も全員、地区を勝ち抜いて東京まで来る。速い球を投げるやつもおる。変化球がえぐいやつもおる。足が速いやつも、ホームラン打つやつもおる」


悠翔が真剣な顔で聞いている。


「でも、向こうも同じや」


監督が笑った。


「博多リトルスターズと当たりたくないと思っとるチームもある」


選手たちの表情が変わった。


全国へ挑戦する。


だが、自分たちも九州を勝ち抜いた代表なのだ。


まだ知らない二つのチーム


大阪。


正則たちは、全国大会へ向けて鶴橋戦のデータを見直していた。


三回に捕まった理由。


速球の使い方。


おちょくりスローボールの精度。


打線の粘り。


送りバント。


走塁。


満塁で得点できなかった場面。


全国では、すべてが勝敗につながる。


一方、福岡。


悠翔たちもまた、九州大会の映像を何度も見直していた。


まだ両チームは知らない。


河内正則は、柳川悠翔を知らない。


柳川悠翔も、河内正則を知らない。


加藤亜由美も。


池永智雄も。


星野慎一も。


博多リトルスターズの選手たちも。


まだ互いを、全国大会に出てくる数多くのチームの一つとしてしか認識していない。


だが――


東京ドームへ続くトーナメント表の先。


勝ち続ければ、いつか線と線が交わる。


大阪代表。


大阪タイタンズ。


福岡・九州代表。


博多リトルスターズ。


全国大会の舞台は、東京ドーム。


そして、この二つのチームが最後まで勝ち残ったとき。


全国の頂点を懸けた試合が始まる。


それは正則と亜由美の人生を、その後大きく変える出会いにもなる。


まだ誰も――


そのことを知らない。


次回予告


第○話「東京ドーム」


大阪府代表・大阪タイタンズ。


九州を勝ち抜いた博多リトルスターズ。


全国各地から、強豪チームが東京へ集まり始める。


河内正則にとって初めて見る全国の打者。


池永智雄と星野慎一を待つ、各地区の強力打線。


加藤亜由美たち野手陣にも、これまでとは違う守備力と投手力を持つ相手が立ちはだかる。


そして福岡からやって来る柳川悠翔。


まだ互いの名前すら知らない大阪と博多。


組み合わせ抽選。


開会式。


そして東京ドームのグラウンド。


次回、


「東京ドーム」


全国の頂点を懸けた夏が、いよいよ始まる。

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