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河内正則・栄光への道  作者: リンダ


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45/49

先制点

2回裏 大阪タイタンズの攻撃


2回表。


岸和田打線は、最後に見せられたあの超スローボールによって、完全にタイミング感覚を揺さぶられていた。


だが。


今度はタイタンズの攻撃である。


マウンドには岸和田のエース、御堂悠真。


1回は三者凡退に抑えた。


しかし、タイタンズも真央と絵里の分析によって、少しずつ攻略の糸口を掴み始めていた。



4番 三宅奈緒


打席に入る奈緒。


御堂は初球からストライクを取りに来る。


そのボールが――


ほんの少しだけ甘かった。


真ん中より。


やや内角寄り。


奈緒の目が変わる。



「来た!」



カキーン!!



鋭い打球が三遊間方向へ飛ぶ。


ショート高瀬がジャンプする。


だが届かない。


打球はそのままショートの頭上を越える。


レフト前ヒット。



ノーアウト一塁。



タイタンズベンチが沸く。


真央が言う。


「今のは完全に狙い球でした」


絵里もうなずく。


「高め内寄り、少し浮きました」



5番 藤原航


ここで航。


川原監督は迷わない。


サインは――


送りバント。



初球。


航はきっちり構える。


転がす。


一塁側。


完璧。



御堂が捕球。


一塁へ送る。



アウト。



送りバント成功。



ワンアウト二塁。



岸和田ベンチ。


監督が眉をひそめる。


「いやらしいな……」


派手な長打を狙わない。


確実に得点圏へ進める。


タイタンズらしい野球だった。



6番 加藤亜由美


ここで亜由美。


正則はベンチから見守っている。


亜由美は一度だけ深呼吸。



初球。


外角。


見送る。



二球目。


内角。


ファウル。



カウント1-1。



三球目。


御堂は低めへ投げ込む。


だが。


少しだけ高い。



亜由美が振り抜く。



カキーン!!



打球は二遊間へ。


セカンド森口が飛びつく。


届かない。


ショート高瀬も追う。


だが抜ける。



打球はセンター前へ抜ける。


さらに勢いよく転がる。



二塁走者・奈緒は三塁を回る。


ホームへ。



タイムリー。



亜由美は一塁を蹴る。


二塁へ。


スライディング。



セーフ!



タイムリーツーベースヒット!



タイタンズ 1-0 岸和田



ベンチが一気に盛り上がる。


正則も思わず立ち上がる。


「ナイスや!!」


亜由美は二塁上で小さくガッツポーズ。


だが表情は冷静。



真央がタブレットを見る。


「今のコース」


絵里が答える。


「予想通りです」


「カウント1-1から低めへ行く傾向」



岸和田ベンチ。


御堂が悔しそうにボールを受け取る。


打たれたのは、わずかな甘さ。


だが。


タイタンズは、そのわずかな甘さを逃さなかった。



ワンアウト二塁。


なおもチャンス。


タイタンズが先制点を奪い、


試合の流れを少しずつ引き寄せ始めていた。

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