大阪府大会・準々決勝 当日
大阪府大会・準々決勝 当日
朝から空気が違った。
真夏の強い日差し。
スタンドにはすでに多くの観客が集まり、金属バットの音と声援が球場に響いている。
ベスト4をかけた大一番。
大阪タイタンズ
vs
岸和田キャッスルズ
“データ野球”同士の激突だった。
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タイタンズベンチ
真央と絵里が、試合前の最終データを確認している。
「岸和田、かなりインハイ狙ってきます」
真央が真剣な顔で言う。
絵里もうなずく。
「特に3番と4番。
完全に引っ張り狙いです」
川原監督は腕を組み、ホワイトボードの前に立った。
「よし、スタメン発表するぞ」
選手たちが集まる。
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■大阪タイタンズ 先発メンバー
1番 センター 梶原和樹
俊足巧打のリードオフマン。
出塁と守備範囲が武器。
2番 セカンド 宮本さくら
つなぎ役兼チャンスメイカー。
小柄だがパンチ力もある。
3番 サード 朝倉美羽
強肩と反応速度を買われ、この試合はサードへ。
ソフトボール経験を活かした打球判断が武器。
4番 ファースト 三宅奈緒
チームの主砲。
勝負強いバッティングと安定守備。
5番 キャッチャー 藤原航
タイタンズの頭脳。
配球とキャッチングで投手陣を支える。
6番 ライト 加藤亜由美
肩の強さを活かしライトへ配置転換。
ムードメーカーでもある。
7番 ショート 川上眞子
“女イチロー”の異名を持つ韋駄天。
広い守備範囲と俊足が武器。
8番 レフト 村瀬涼太
堅実な守備とつなぎの打撃。
9番 ピッチャー 星野慎一
豪速球右腕。
この日は先発として短期決戦仕様で全開投球。
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川原監督が続ける。
「今日は継投でいく」
「先発、星野」
星野が静かにうなずく。
「最初から飛ばす」
「クローザー、正則」
正則が帽子のつばに触れる。
「最後、締めます」
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岸和田キャッスルズ ベンチ
一方の岸和田。
こちらもデータを並べ、徹底分析していた。
監督がホワイトボードに赤字で書く。
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『インハイを振り切れ』
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「タイタンズは最後、内角で詰まらせに来る」
「だったら最初からそこを狙う」
選手たちが真剣な顔でうなずく。
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■岸和田キャッスルズ 先発メンバー
1番 センター 西岡隼人
俊足巧打。
初球から積極的に振ってくる。
2番 セカンド 森口悠斗
右打ちと小技が得意なつなぎ役。
3番 ショート 高瀬蓮
広角打法の好打者。
インコース高めに強い。
4番 ファースト 黒川大雅
チーム最強打者。
長打力抜群の主砲。
5番 ライト 藤堂陸
勝負強い中距離打者。
6番 サード 井坂優真
引っ張り中心の強打者。
7番 レフト 片山蒼
守備型だがパンチ力もある。
8番 キャッチャー 柴崎亮
岸和田の頭脳。
分析と配球読みを担当。
9番 ピッチャー 御堂悠真
高回転ストレートが武器の右腕。
球速以上に“伸びる”球を投げる。
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試合開始
両チーム整列。
「よろしくお願いします!!」
球場に声が響く。
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1回表 岸和田キャッスルズの攻撃
マウンドには――
星野慎一
短いイニングを全力で押し切るため、肩はすでに出来上がっていた。
藤原航がミットを構える。
初球。
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ズバァン!!
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球場がどよめく。
「速っ……!」
岸和田ベンチがざわつく。
データでは分かっていた。
だが、実際に見ると想像以上。
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1番・西岡隼人。
(インハイを振り抜け――)
ベンチの指示を思い出す。
二球目。
インハイ。
西岡は迷わず振る。
だが――
詰まった。
打球は三塁線へ。
サード・朝倉美羽が素早く前へ出る。
低い姿勢で捕球。
そのまま一塁送球。
アウト。
ワンアウト。
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タイタンズベンチ。
川原監督が静かにうなずく。
「よし」
「まず一人や」
準々決勝。
読み合いと意地がぶつかる戦いが、幕を開けた。
1回表 岸和田キャッスルズの攻撃(続き)
ワンアウト。
打席には2番・森口悠斗。
岸和田ベンチから声が飛ぶ。
「低め捨てろ!
インハイ一本でええ!」
だが。
藤原航は、その指示を読んでいた。
ミットを外角低めへ構える。
星野が投げる。
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ズバン!!
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完璧なアウトロー。
森口、見逃す。
ストライク。
「うわっ……」
岸和田ベンチがざわつく。
際どい。
だが入っている。
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二球目。
今度は内角高め。
森口は反応する。
だが――
ファウル。
完全に差し込まれている。
0-2。
追い込んだ。
航が小さく笑う。
(高低差、効いてる)
三球目。
今度は真逆。
外角低めへ沈むようなボール。
森口はバットを止めきれない。
空振り。
三振。
ツーアウト。
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続く3番・高瀬蓮。
岸和田の中心打者。
インコース高めを得意とする難敵。
だが星野は、一球ごとにコースを変えていく。
外角低め。
見逃しストライク。
次は高め。
ファウル。
さらに今度は内角低め。
詰まりながらもカット。
高瀬の表情が険しくなる。
(全部違う……!)
球速だけではない。
* 内外角
* 高低
* テンポ
そのすべてが噛み合っている。
藤原航が最後に要求したのは――
外角高め。
星野が腕を振る。
高瀬は振った。
だが、完全に泳がされた。
打球は浅いセンターフライ。
梶原和樹が前進して捕球。
スリーアウトチェンジ。
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岸和田キャッスルズ
1回表、三者凡退。
しかも――
まともに芯へ当てさせていない。
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岸和田ベンチ。
監督が腕を組む。
「……想像以上やな」
柴崎亮も険しい顔。
「高低差がえぐいです」
「インハイ待ってても、そこに来るまでに崩される……」
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一方タイタンズベンチ。
真央がデータを見ながら言う。
「星野、今日は特に回転数高いです」
絵里もうなずく。
「低めの伸びがすごい」
川原監督はニヤッと笑った。
「せやろ」
「今日は“真っ直ぐで押し切る日”や」
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そして。
タイタンズの攻撃が始まる。
岸和田の先発・御堂悠真が、静かにマウンドへ向かった。




