小さい事だが大きな一歩
「っな、なんなんだ…って本当今更だけど氷野って見た目に似合わず怪力なんだなぁ…今さっきも普通に受け止められたし…」
陽太自身部活をやめてからの事ここまで自分の筋力が落ちていた事に気づかなかった事に今とても内心ショックを受けていた、ましてや仮にも女の子にでさえも筋力負けするというなんとも精神的な苦痛に陽太は思わず肩を落としそうになった、そして今陽太が言った事を一応聞いていたのか明乃は横目でそっとチラ見しては言った
「…一つ言っておきますが私は全く怪力なんかじゃありません…また先ほどの事についてはうまく体を固定、体をうまく使いこなしていただけです、確かに先ほどの事に関しては多少筋力は必要ですがあれにはあまり必要ないです、必要と言えば体の軸、体幹が強いか弱いか、その二つのどちらかです、まぁどちらにしても今の貴方は私に筋力も体幹もどちらも下、これだけは確実にわかりますが」
「っ…そこをはっきり言われると、こう…心に来るものがあるよなぁ…」
わかっていてわざと言っているのか、またはわかっていなくて言っているのかわからないが明乃が言った事は陽太の心をぐさぐさと突いた、正論すぎる事につい陽太は胸を抑えては苦笑いしつつ言った
「・・・先ほども同じ事を言った気がしますがそれは単に貴方が運動不足なだけと筋力が低下しているだけです、貴方がまた以前と同じぐらいに運動すれば筋力も戻ります、まぁその事については貴方次第、貴方の精神に比例していますので私からはなんとも言えません」
明乃はそう言っては陽太が先ほど転んだと同時に手から放してしまった竹刀を持っては陽太に投げ渡した、陽太はそこで慌てて受け取りつつ先ほどまで右手に握っていた筈がいつの間に離していた事に驚いていた
「・・・俺ってさっき転んだ時竹刀持ってた筈なんだけどなぁ…」
「…あぁ、その事ですか、念の為と思い貴方が転んだ瞬間に回収しておきました」
明乃はそう言っては竹刀を床に置き手を叩いている、また話を聞いた陽太は転んだ瞬間も一応と強く握っていた筈がいとも簡単に取られていた事に陽太は苦笑いする事しかできなかった、また明乃が言った事に陽太は疑問を感じたと同時に明乃が言った念の為、それは自分がなにかやらかすと思われたのではないか?そう思っては聞いた
「念の為ってどういう事だ??俺がなにか氷野にやらかしそうって思ったのか??」
「…いいえまったく逆です、少なからず昨日今日と見てきて貴方にそんな卑劣な考えが浮かぶなどという事はありません、ましてや貴方のそんな貧弱な攻撃当たりもしないと思います、それにもしやったとしても貴方の場合私に当てるのではなく自分に当てると思います、ポンコツ・・・」
明乃はそう言ってはいつの間にか何かバックの中から持ってきたのか何か白い粉のようなものを手の平に塗りたくっている、陽太はそれについてなんなのかと聞こうとするも
「っぽ、ポンコツって…意味違くないか…?」
「・・・・・・ポンコツのように役に立たない男という意味です、それよりもこれを一応塗っておいてください」
塗り終わっては立ち上がりジロりと陽太を睨み付けてはなにか箱らしき物を陽太に投げ渡した、陽太はそれを受け取ってはその箱がなんなのか疑問に思うも開いた、するとその中にあったものは先ほど明乃が手の平に付けていた白い粉だった、陽太はそれが何なのかと少し戸惑いつつ親指と人差し指でそっと掴んだ、サラサラとしているようなジャリジャリと砂のようなそんな感触が伝わってきた、まるでチョークの粉のようなものだった
「っな、なぁ氷野、これってなにに使うんだ??なんかチョークのような…砂のような気がするんだが…」
陽太はそう聞いてはもう片方の手の平に付けては塗ってみた、特に何かがあるわけではないがただ白くなった、特に匂いがするわけでもなくなんともない事に陽太は首を傾げた、そしてそれを見ていた明乃は
「…匂いなんかしませんよ、これは貴方がよく知っている陸上で使われる石灰を本部で応用、似て作らせた粉です、使うのはただ単に滑り止めのようなものです、人体には特に悪影響はないので安心してください、石灰の場合は人体に少なからず影響はあると思いますが…まぁ、あまり効果は期待しない方が良いと思いますが念の為、そう思い使います」
「へぇ~、石灰の応用なのか…ってまた本部が作った物なのか…本部って一体なにしてるところなんだ??」
思ったよりも科学技術が発展しているという事に陽太はつい聞きたくなり聞いた、また同時に表社会
で公表されている技術よりもかなり凄いのではないかという好奇心もあった
「…なにをしている所と聞かれましても対敵用の道具を作ったり依頼を受けたりと色々していますよ、勿論薬品関係、他色々と研究したりと色々しています」
「・・・へぇ、俺が想像していたのと随分と違うんだな…」
思っていたよりも結構な大規模な組織に陽太はただ感心したと同時にどんな所なのかと興味も沸いた、これは男の子特有の何かなのかもしれないが
「…随分と幼い子供がなにか胸を高鳴らせたような顔をしていますがそんなに楽しい事ですか?」
「っえ、あぁ…まぁ、俺ぐらいの年だとこれぐらいの事でも結構ワクワクしたりするからなぁ…」
陽太は少し呆れたような目をしてはそう言ってきた明乃に少し恥ずかしそうに苦笑いしてはそう言い照れ隠しからか頭を掻いた、そしてそんな陽太を見てか明乃は目を細めては言った
「・・・・・・用はいつまで経っても貴方含め貴方の年代の男は餓鬼という事ですね」
「っう、う~ん…そう捉えてもおかしくないようなおかしいような…」
どう反応を返したらいいのかわからない陽太は複雑な心境な一方でそう言い苦笑いした、そして明乃はそんな陽太を見ては特になにか言うわけでもなく目を瞑っては一息付き立ち上がった
「?氷野?」
「いきなり本格的に体を動かすのも体を痛めつけ壊してしまいますので今からやる事をやりましたら今日の部活は終わりにします」
「っえ、そ、そうなのか?」
明乃にしては思った以上に甘い事に陽太はポカンとしてはそう言った、陽太が想像していた明乃はいくら体を壊そうが何がなんでもやるようなそんなスパルタ教師を想像していた
「…貴方が一体どんな事を想像しているかは知りませんが私は部長であり部員である貴方の健康を労わないといけません、ましてや体を壊しては元も子もありません、ですから早めに切り上げるんです」
「っぁ…そ、そうか…」
明乃が言った事に陽太は今日、先ほどまで言われていた事を思い出した、部長としてちゃんと部員の体調管理、健康管理をするという事を、そしてそれを思い出したのか陽太は明乃を見ては少し微笑んだ
「・・・なんですかその顔…凄い腹立たしいんですが…」
「っい、いやいや!別に変な事なんて想像してないからな!?」
握っている竹刀から変な軋むような音がした事に陽太は慌てて弁解、誤解として言った、意味が少し違うかもしれないが
「…私は想像など一言も言っていないんですが…」
「っあ…い、いやぁ…っあ、あはは…」
「・・・流石変態、変人、への付くあだ名、いえ、呼び名があるだけありますね・・・まぁ、生理的に気持ち悪いとしか言い用がありませんが」
明乃はそう言っては右手に握りしめていた竹刀を前に出し構えては左手も添え、握った、陽太はそれを見ては何故だか自分も反射的にか急いで握りしめては構えた、そしてそんな陽太を見てか明乃は
「…貴方は今日、一つだけですが大きく成長した所があります」
「・・・っえ?」
いきなり突然そう言われた事に陽太は呆気にとられ竹刀を下しては明乃を見た
「・・・先ほどまでは貴方は私がこう構えたとしても茫然としてなにもしませんでした、ですが貴方は私が構えた事により即座に自分も構えました、これは初歩の初歩、当たり前の事ですが敵が現れた時に構えるかまたは意味がわからず茫然と立ち尽くしてただ一方的にボコボコにされるか、これぐらい違う事なんです、初歩中の初歩ですが貴方は今回これを覚えた事により大きく成長しました」
明乃はそう言っては微かにどこか嬉しそうに微笑んだ、そして一方で陽太はそんな明乃の微かな笑みに気が付いたのかつい見惚れてしまった
「ですから、・・・聞いていますか??」
「っえ、あ、あぁ!聞いてる聞いてる!」
目を細め睨んできた明乃に陽太は我に戻り慌てて苦笑いしてはそう言ったと同時に自分の頬を叩き一息付かせた




