⑤ 接近遭遇
「Who are you !? (誰だ、貴様は!?)」
パトロール兵からの問いかけに対しては、無言のまま、慌てて船内に戻る銀色の服の人物。
そしてまた直ぐに、その三角形の物体は、急上昇した。当然、後を追いかける香子たち。やがてそう遠くない別の森に、そのUFOは再度着地した。
またもや出て来る乗務員。どうやらその船の、光学迷彩の調子が悪いらしい。
それを香子と由理子で、前後から挟み撃ちにしてしまった。そして香子が話し掛ける。
「ねえ、貴方。もしかしたら、フルカネルリ卿なんじゃないの?」
するとその人物は、無言のまま、静かに自らのヘルメットを取った。
そこに現れた顔は、まさにフルカネルリ卿その人だった。
しかし、香子は満足していないようだ。
「……ねえ、ユッコ。」
「なあに?お姉ちゃん。」
「貴女、この人を見てナニも感じない?」
「えっ?」
「私にはテレパシーみたいなチカラはないけれど、周りの植物が囁くのよ。コイツには注意しろって。」
「実は私も、フルカネルリ卿には、前々から、ちょっとした違和感を感じていたの。」
「……どんな?」
「この人には、以前、会ったことがあるっていう感覚。ねえちょっと。本当の貴方は、一体誰なの?」
由理子からの問いかけに、フルカネルリ卿の顔をしたソイツは、相変わらず無言だった……が、その顔が、二人の目の前で、じわじわと変化し始めたのだ。
そして、すっかり変身を解いたその姿は、二人にも見覚えのある、とある人物……爬虫類族の地下世界の支配者、ウアジェト女王だったのである!
「やれやれ、バレてしまったようだね?やはり感覚の鋭い、貴方たち姉妹には、ウソはつけないか。あのサン・ジェルマンには、ここまで隠し通せたのに……。」
「何故、こんな事を?」香子が冷静に尋ねる。
「人類に、核兵器の危険性を訴えるためだよ。そのためにニンゲンに変装して、タイムマシンでやって来た未来人のテイで、この後も何度か、米兵の将校の前に現れて、説得を試みる予定だったのだよ。だって爬虫類族の姿のままじゃあ、印象が良くないだろう?」
「私たちの事を、ずっと、騙していたのね?」由理子も静かに訊く。
「私にも、地下世界の女王としての立場があるのだ。だからこの行動は、できるだけお忍びで、やりたかったのだよ。分かって欲しい。同じ理由で、100年程前から、サン・ジェルマンの事も観察して、ここ最近は、彼に近づいていたのだよ。」




