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「メジェドとチーム・サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第27巻)  作者: サナダムシオ


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㉘ 怪獣とメジェド

 やがて南極ゴジラは泳ぐ速度を上げて、黄色いビートルから離れて行った。水中ですっかり見失ってしまったかと思ったその時、その怪獣がコチラに戻って来るのが見えた。しかも大きく口を開けている。マズイ事に、このクルマを獲物と認識したようだ。


「確かこの辺に、迎撃用の魚雷スイッチが……。」 

 などと言いながら、成雪がアタフタした時、どうやって車外に出たのか不明だが、メジェドが怪獣とビートルの間に割って入った。


 そして尚も近づいて来る怪獣に向かって、彼が火球を発射したのだ……しかも、水中で!その火球は見事に怪獣の口の中に命中し、ショックを受けたソイツは、慌てて逃げて行ったのである。


 次の瞬間にはもう、メジェドはビートルの後席に戻っていた。しかも不思議な事に、小柄なその身体を覆う白い布は、少しも濡れていないのだった。


「えっ?今のは一体どういう……?」

 呟きながらカグヤが振り返るが、当のメジェドは涼しい顔をしていた……ような気がした。


 まったくいつもながら、人智を超えた振る舞いだ。もしかしたら、神々の中でも、最強クラスなのではないか。彼女には、そんな風に思えてならなかった。


 それに先程の攻撃は、明らかに手加減していた。恐らくあの程度の怪獣など、眼からビームを放てば一撃で倒せる相手だったはず。それを敢えて、小さな火球を撃って怯ませたチカラの微調整。無駄な殺生はしないという事か。どうやら小技も効かせられるようだ。


「……ところで成雪。」

「はい。何ですか?カグヤ。」

「貴方の目的は、あの南極ゴジラだったのね?」

「はい。実はボク、ゴジラの大ファンで……もしもホンモノが居るなら、是非見てみたいと思ってたんです。」

 成雪はニコニコしながらそう言った。


 それを聞いたカグヤは少し呆れた。

「そんな無邪気な理由で……まあ、いいわ。で、満足したのかしら?」

「はい。お陰様で。ありがとうございます。」

 運転席の彼はペコリと頭を下げた。

「メジェド君も、危ないところを助けてくれてありがとう。」

 成雪は律儀に、後席に向かって再度頭を下げた。

 メジェドは少し照れている……ように見えた。


「でも、アレはまるで、大きなウミイグアナでしたね。」

「大方この近辺で、どこかの大国が、水爆実験でもやったんでしょうよ。その影響の突然変異で、巨大化したんじゃないかな。」


「冷たい海水に適応するために、羽毛までボーボーに生えちゃって……何だか可哀そうでしたね。一応、伯爵にも報告しなくちゃですね?」

「そうね。まあとにかく、メジェド君が手加減したって事は、アレが悪魔ではないらしいから良かったわ。」

 カグヤは取り敢えず何処かホッとした気分だった。


 こうして、二人のニンゲンと一柱の神様が乗った黄色いワーゲンビートルは、無事に名護屋テレビ塔の地下駐車場を目指して、帰路に就いたのである。

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