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「メジェドとチーム・サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第27巻)  作者: サナダムシオ


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㉖ 成雪とカグヤ

 それは1995年4月22日。土曜日の朝の事だった。

 "照和"の時間軸の、真田研究所の自室でくつろいでいたカグヤ・イシュタルは、パートナーの成雪から、またちょっとしたお願いを聞かされていた。


「ねえ、カグヤぁ。」ソファーに座る彼女に肩を寄せながら、いい年をした青年に似合わない、甘え声を出す成雪。それは仕方がない事なのだ。真田雪村のクローンとして生まれた彼の、見た目は大人。でも中身はまだまだ少年なのだから。


「なあに?私の成雪。」カグヤもそれを良しとしている。

「日本の歴史を調べていたら、最近また、気になるモノを見つけたんだ。でもそれ、海の中なんだよねえ。伯爵に頼んで、乗り物を借りられないかなあ。」

「そうね。それだと、ポータブルタイムマシンじゃ無理ですものね……じゃあ早速、雪子さんを通じて頼んでみるわ。」


 連絡はすぐに取れ、めでたく村田京子の黄色いビートルを、借してもらえる事になった。まずサン・ジェルマン伯爵が、黒いビートルで二人を迎えに来て、"昭和"の世界線に入り、その後、地下駐車場で黄色いビートルに乗り換える。いささか面倒な手順だが、雪村のパートナーの弓子の精神衛生上、仕方がないのである。クローン元の雪村とクローンの成雪は、住む世界を分けるという約束を、二人はまだ守っていた。


 成雪が当然のように運転席、カグヤは助手席に乗り込む。

「あら?そう言えば貴方、いつの間にクルマの免許を取ったのかしら?」

 ふと思い出したように、カグヤが尋ねる。

「免許?何ですかそれ?」真顔で答える成雪。

「ええっ!?無免許なの?」

「タイムマシンに免許が必要なんですか?だったらみんな無免許運転ですね。」

「いや、コレ、ほら、見た目は一応クルマだから……。」

「異世界出身のカグヤが、そんな事を気にするなんて、意外だなあ。」

 彼は笑顔でクルマを地下駐車場から出した。

 どうやらこのモンダイをスルーするつもりらしい。

(ああ、ケイサツに見つかりませんように。)

 カグヤは取り敢えず祈っておいた。


 成雪はすぐに光学迷彩を使用して、クルマを垂直上昇させた。

 そして彼は、名護屋テレビ塔の前でホバリングしながら、センターコンソールパネルに、以下のような目的地の座標を入力した。


 西暦1958年2月13日

 時刻19時00分

 南緯70度00分

 東経37度30分


 その座標を見て、カグヤは思った。

(ずいぶん南の方ねえ?……ていうかコレ、ほとんど南極なんじゃないの?)

「じゃあ、出発しまあす!」

 成雪はそう言って、時空転移装置のスイッチを入れたのである。

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