⑮ 次の目的地
「さあ、鷹志。引き続き、次、行くわよ!」
意気揚々と由理子が言った。
「ええっ!?」
我が耳を疑う鷹志。
「なあに?」
「いや、さっき"一回だけ"って……。」
「そうよ。でも"一箇所だけ"とは言ってないわ。」
(ヤラレた。)鷹志は頭を抱えた。
彼女が義理の姉と慕う、雪子や京子の悪い影響が出ている。昔は、こんな"したたかな"女の子じゃなかったのに……。
「……だって、次はいつデートしてもらえるのか、分かんないじゃん?」
(うん、確かにそれもそうか。)鷹志はアッサリ諦めた。
「次は、私好みの調査対象ね?じゃあ、座標を入力しま〜す。」
由理子はそう言って、以下のように打ち込んだ。
西暦1983年5月1日
時刻08時00分
北緯01度21分
東経17度08分
(何だか、赤道に近い、暑そうな座標だな。)
鷹志は思わず、そんな事を考えた。
「それでは、連続ジャンプに出発!」
上機嫌の彼女はそう言うと、時空転位装置のスイッチを入れた。
赤いビートルの移動先は、コンゴ共和国リクアラ県のテレ湖上空だった。辺り一面、見渡す限りのジャングルだ。鷹志は何となく、調査対象が分かった気がした。
「調査対象は、モケーレ・ムベンベよ。」由理子が言った。
「……やっぱり。」鷹志もそう言った。
「なあに?予想出来てた?」ゴキゲンな由理子。
「ああ、座標から、何となく。それに以前、ネッシーに関わった事も有るって言ってたし。」
「そうなの。あの時は、大変だったわあ。ここの子は、元気だとイイんだけど……。」
そんな話をしながら、二人で眼下の湖を見ると、ちょうど岸辺に、探検隊らしき一団がやって来ていた。よく見ると、先頭には、立派なテレビカメラを担いでいる者まで居る。"水曜スペシャル"の"川口浩探検隊"かな?彼等の本気度が窺えるが、見つけて欲しくない気もして来る。
「ああ、確かに居るわ。水中に、大きな……全長10mくらいの子が。上空からでもしっかり感じる。」
"動物使い"の由理子が呟いた。
が、鷹志の目では、まだ確認出来ない。
そのうちに、湖面の中央付近が盛り上がり、水中から、大きなゾウの鼻のようなモノが現れた。だがよく見ると、その鼻の先辺りに、しっかりと、目・口・鼻が有る。間違い無い。アレは竜脚類の首だ。モケーレ・ムベンベだ!




