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「メジェドとチーム・サン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第27巻)  作者: サナダムシオ


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⑪ 託された遺志

 たった今、目の前で死んでしまった男から託されたモノ。

 ソレはC-typeの、USBデータ用スティックだった。

 この時空では勿論の事、雪子たちにとってもオーバーテクノロジーなモノだ。


 しかし、こんな事も有ろうかと、サン・ジェルマンは、未来から様々な技術を拝借していたのである。無論、ソレを読み取れるハードも持っていた。


「雪子さん、もうすぐ第一発見者が来ます。クルマに戻りましょう。」伯爵に言われるままに、彼女も急いでビートルのところに向かった。


 二人がそれぞれ座席に着くと、ちょうど目の前に、この事件の目撃者が現れるところだった。


 ソレは乗馬練習中の二人組だった。最初は馬上から倒れている男を見かけて声をかけ、次いで、一人が馬から降りて、直接確認する……やがて二人とも慌て出した。一人がその場に残り、もう一人が馬に乗って当局に通報に向かったようだ。


 この後は、史実通りに事が運ぶのだろう。

 兎に角、彼の身元を確定する、決め手になる証拠が何も無く、この変死事件は迷宮入りの筈だった。何しろ、衣服のタグまで、全て切り取られていたらしい。


 恐らく彼は、自分がコレとキメた相手以外に、身元を明かす気は無かったのだろう。ソレはまるで、何処かのスパイのような振る舞いだった。


 光学迷彩のおかげで、コチラが見つかる心配は無いので、伯爵は、ビートルのセンターコンソールパネルの下に、そのUSBスティックを差し込み、早速データのダウンロードを開始した。


 やがてモニター画面に、以下のような文章が映し出された。


 私は"悪魔ハンター"である。

 "悪魔"とはヒトの魂を乗っ取り、その精神エネルギーを食い物にする存在である。

 ソレは、最初の宿主が衰弱すると、次の宿主へと乗り移る、タチの悪いモノたちである。


 私のチカラは、他人のカラダから、悪魔成分のみを吸い取るモノである。

 しかし、10体程吸い取ったところで、私の精神エネルギーも限界に至った。


 ポータルを使って、出来るだけ他人に出逢わないように、街中から外れた場所まで来たが、そろそろ限界のようだ。


 私が死ぬ時、吸収した悪魔たちが、私のカラダから出る。

 それを滅するチカラのある者に、 一刻も早く会わなくては……ソレが私の最後の願いだ。


 ソレは、署名すらない告白の文章だった。

 何の知識も無い者が見たら、妄想か戯言としてしか受け取られない事だろう。

 だが、伯爵と雪子には、今日までの彼の、人知れず身を粉にした活動の意味が、良く解ったのである。


挿絵(By みてみん)

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