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アルノは、ルーカスの胸の中で、泣いていた。

声は出なかった。涙だけが出ていた。止められなかった。止めようとも思わなかった。

ルーカスは何も言わなかった。

ただ背中に手を当てて、ゆっくりと撫でた。

それだけだった。それだけで、息ができた。


どのくらいそうしていたか、わからなかった。森の気配が静かになって、風が弱くなって、空の色が変わり始めた頃、アルノはゆっくりとルーカスから離れた。

ルーカスはアルノが体を離すのを止めなかった。しかし手は、すぐには引かず肩の上に少しの間、残った。


「.......知っていましたか」

アルノは聞いた。目を合わせずに。

「泣くと息が苦しくなること。兄様に、抱きしめてもらっていたこと」

「知らなかった」とルーカスは言った。

「テオドールから聞いたことはなかった」

「そうですか」

「でも」

ルーカスは少し間を置いた。

「お前が幼い頃、稽古のたびに泣いていたのは見ていた。そのたびにテオドールが稽古場から連れ出して、しばらくして、お前が目を赤くして戻ってくるのも」

アルノは空を見た。雲の隙間から、月が覗いていた。

アルノは深く息を吸った。きちんと入ってきた。

「葬儀の夜、泣いて、息が苦しくなりました。もう誰にも抱きしめてもらえないと思って……それなら、こんな記憶は不要だと思った。泣いてしまう自分ごと、手放してしまおうと思った。それが記憶を手放した理由だと、今わかりました」

ルーカスは黙っていた。

「おかしいですか」

「おかしくない」とルーカスはすぐに言った。

「でも、本当は」

アルノは少し笑った。目が赤いまま、笑った。

「泣いてよかったんだと思います。息が苦しくなっても。ただ、僕には誰もいないと思っていたので」

「俺がいた」とルーカスは言った。

声が少し低くなった。「あの夜も、ずっと外にいた」

「知らなかった」

「お前が首を振ったから、入らなかった。けれど、ずっと近くにいた」


アルノはルーカスを見た。

ルーカスは真っ直ぐにアルノを見ていた。

「次からは」と彼は言った。「首を振るな」

アルノは少し間を置いた。

「振りません」と言った。

二人で並んで、馬のところへ戻った。


帰り道、アルノはずっと、胸の中が不思議な温度をしていることに気づいていた。

重さはあった。しかしそれはもう、水を含んだ布ではなかった。もっと、体の一部に近い重さだった。

持って帰れる重さだった。

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