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ルーカスの回想:遺された者の独白

葬儀の夜、俺は扉の影で立ち尽くしていた。

冷たい石壁の向こうから、アルノの嗚咽が聞こえてくる。それは、呼吸を忘れた獣のような、痛ましい喘ぎだった。

かつてテオドールが「あいつは泣くのが下手だから」と、困ったように、けれどどこか愛おしそうに話していたことを思い出す。


今、その背を撫でてやれる男はこの世にいない。俺が中に入れば、お前はきっと「一人にしてくれ」と首を振るだろう。

だから俺は、扉一枚を隔てた暗闇で、お前の呼吸が整うのをただ待つことしかできなかった。


数日後、目覚めたアルノの瞳に俺が映った。

だが、そこには何の色彩も宿っていなかった。 「名前を教えてもらえませんか」 その一言が、心臓を突き刺した。

テオドールがずっと、自分のこと以上に大切に育ててきた弟は、兄の存在ごと自分を削り取ってしまったのだ。

空っぽになったアルノを前に、俺は言いようのない怒りと、それ以上の虚しさに襲われた。

お前を抱きしめる資格が、果たして俺にあるのか。親友を救えず、その弟の心にさえ寄り添えなかった俺に。


それでも、俺はあいつの代わりにここに立つと決めた。

お前が俺を忘れても、俺だけは、お前が愛されていた証拠として、その隣に居続けようと誓ったのだ。

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