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その日の夕方、東屋に行った。

雪が積もった石の腰掛けに、二人で並んで座った。アルノの肩にルーカスの肩がマントごしに触れていた。

空が曇っていた。雪雲が低く、屋根をかすめるほどに迫っていた。しかし西の端に、細いすきまがあって、そこから夕陽が一筋、差し込んでいた。

光は白い庭に落ちて、雪を橙色に染めた。

「きれいですね」とアルノは言った。

「ああ」

「兄様にも見せたかった」

ルーカスは何も言わなかった。

「でも」とアルノは続けた。「きっとたいしたことない、という顔をしたと思います」

「……そうだったかもしれない」

「そしてまた東屋に戻ってきて、ここに座って」

「ああ」

「ただ、一緒にいたと思います」

ルーカスがアルノを見た。

アルノは橙色の庭を見ていた。

「そういう人だったんじゃないかと思います」とアルノは言った。「言葉より、ただそこにいることで、全てを伝えていた人」

ルーカスはしばらく黙っていた。

「……そうだった」と彼は言った。声が少し低くなった。「そういう奴だった」

“ここで待つ”

アルノは右の手のひらを、雪の積もった石の文字の上に置いた。冷たかった。凍るように冷たかった。

しかし、そこに文字があることは、手のひらを通じてわかった。

確かにそこにある。


夕陽が沈んだ。

庭が暗くなった。

「もう少しここにいるか」とルーカスが聞いた。

「もう少し」

二人はしばらくそこにいた。

空に最初の星が、一つだけ出た。

アルノはそれを見た。ルーカスも見たかもしれなかった。

何も言わなかった。言う必要が、なかった。

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