表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/23

18

雪が降った。

朝、目が覚めると窓の外が白かった。

アルノは窓を開けた。冷たい空気が流れ込んできた。雪のにおいがした。


庭の花壇は白く覆われていた。その白さの中に、一つだけ、緑色が見えた。

スノードロップの芽だった。

まだ花は咲いていなかった。ただ、細い緑の芽が、雪を押しのけるように出ていた。


アルノはそれをしばらく見ていた。

何かを思い出しそうだった。

何も思い出せなかった。しかし、それでいいような気がした。

思い出せないものは、消えたのではなく、別の形で残っているのかもしれなかった。

名前のない花を知っているその知識のように。声の気配として残っているものとして。東屋の石の文字のように。胸の内ポケットにある、薄い紙のように。


廊下に出ると、ルーカスがいた。

見回りから戻ったところらしく、外の冷気を帯びていた。黒い上着に雪が少し残っていた。

「雪が積もりましたね」とアルノは言った。

「ああ。足元が悪い。今日は外に出ないほうがいい」

「東屋には行けますか」

「行けないことはないが」ルーカスはアルノを見た。「なぜ」

「文字を見たいと思いました」

「……ここで待つ、か」

「一緒に来ますか」

ルーカスは少し間を置いた。

「行く」と言った。迷いなく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ