14
夏の終わりに、アルノは北の森へ行った。
一人で行こうとして、ルーカスに見つかって、結局二人で行った。
「なぜ一人で行こうとした」と馬を並べながらルーカスが聞いた。
「あなたが嫌な思いをするかもしれないと思って」
「俺が?」
「兄様の死のきっかけになった場所の近くに行くわけですから」
ルーカスはしばらく黙った。
「俺がお前よりも自分の感傷を優先すると思うか?」
「それはそうでした」
「まったくだ」
二人で馬を進めた。
道が細くなると、ルーカスが前に出た。アルノはその背中を見ながら後に続いた。広い背中だった。黒い上着が風を受けていた。
森の入口に近い丘に、小さな石碑があった。戦いで死んだ者を悼む碑だった。
テオドールの名前は刻まれていなかった。貴族の墓は屋敷にあるから。
しかし森の縁に、誰かが石を積んでいた。ルーカスがそこで馬を止めた。
石の上に、枯れた花があった。
「これはあなたが?」
「……ここに来るたびに置いている」
「何度も来ているんですか」
「月に一度ほど」
アルノはその石を見た。丁寧に積まれていた。崩れないように、考えながら積んだのがわかった。
「一人で来ていたんですか」
「ああ」
「教えてくれればよかったのに」
ルーカスは何も言わなかった。
「次からは一緒に来ます」
「……そうしてくれると、助かる」
アルノはルーカスの横に立った。
二人で石の前にいた。風が吹いた。森の木々が揺れた。
空が高かった。秋が来ようとしていた。




