4話
こんにちはラティエ・ショコルドルです。そして私の目の前には沢山のケーキが並べられている。そして今も新しく箱から取り出しテーブルにケーキを並べるリュシアンを睨み付けた。
「ちょっと待って!」
私の制止にキョトンとしたがケーキを取り出す手は止めない。ちょっと人の話を聞いてるの?!
「これは一体なに?」
「ラティエはあのロラン家に嫁ぎに行くでしょ~?今のうちにお心付けでもしとこうかと」
「貴方はいつの間に薄汚れた心をお持ちになったの。このこたちが可哀想よ」
最後のケーキを出し終えたのか、リュシアンは漸く椅子に腰かけた。座っている姿だけなのに華があるとはどういうことよ……。怒っている私とは違い彼はニコッと微笑む。
「冗談、冗談だよ。これは試作品だよ。ラティエに試食して貰おうと思って。量が量だしほら、食べやすいように一口大のプチフールとして持ってきたんだ」
色取り取りの小さなケーキに施された意匠はどれも素晴らしく、感嘆の吐息を漏らすほどだ。ええいケーキに罪はない、とお皿に数個乗せ一つをフォークで掬い口元へと運んだ。
蕩けるような美味しさに目を見張る。
「美味しいぃ……」
「はいはい次が待機してるよ」
「待ちなさい、美味しさの余韻も浸らせてくれないの?!」
「ラティエのそれに付き合ってたら日が暮れちゃうよ」
失礼ね!少し、少しだけのめり込む癖があるだけよ。急かすのも無理はないけれども、そもそもこの量を私一人で捌かなくちゃいけないの?
何種類か見た目が同じ物もあるが、食してみれば歯触り、中のムース、お酒の種類等、繊細だが一つ一つ違う。好みにも寄るだろうが一つに絞るのは時間がかかってしまう。私の独断だがある、ないとだけ返事していく。それをリュシアンは予めリストを作った紙に、私の有無を書き込む。
「そういえばあれからカイン殿と進展はあった?」
ザクっとフォークをケーキの中央にぶっ刺した。見た目も美しいケーキは、それを見たリュシアンはムッとして私に言い返そうとしたが、私の表情を見て思わず押し黙った。
「ふふふ、ここ最近の私、とおっても忙しかったのよ。引っ切り無しにお茶会の招待がくるの。しかも爵位が上の方々ばかりだから、断るに断れなくて、参加すればしたで、皆私に尋ねることは同じ。ロラン家のカイン様はどのような方ですかって。当たり障りのない手紙やプレゼントは来るけれど、お会いしたのはあの夜会と翌日の帰りの道だけ。どのような方ですかって?寧ろ私が知りたいわよ!」
捲し立て話す私に青ざめるリュシアン。どうやらここ数日の間で、この頼りになる親友にそれは禁句用語になったみたいだ。
取り敢えず空になった皿にケーキを数個乗せ目の前に置き、紅茶のお代わりを求められたので淹れてあげる。彼女には糖分補充が必要だ。
モブ、モブの癖にぃと何やらぶつぶつ呟いているが、暫くは好き勝手にさせておこう。流石乙女ゲームのヒロイン、順応に対応できる。婚約者のエリアーゼに対してはへっぽこだが。あとよく泣く。
最後のケーキを口にし、ガタリと音を立て立ち上がる。お、稼働するか?と眺めていたらキッと僕を睨み付ける。
「うぅ、きもちわるいーーー」
だろうねぇ。
ラティエもへっぽこである。
わちゃわちゃ楽しい。
ブクマ、評価ありがとうございます!
作者は褒められるとうきうき頑張るチョロいんタイプです(ドーン)




