婚約者
あの日俺は彼女にあった。
噂では我儘で、自分の思い通りに行かないと喚き叫び癇癪を起こす糞令嬢だと。
自分の髪の毛を見れば化物と言ってくるに決まっている。
そう思っていた。
フードの中から少し見ると自分の半分も年のいってない小さな子どもがいた。
ピンクアメジストのサラサラしてそうな髪に宝石の様に輝き穢の知らない無垢な瞳、ドールのような肌。
一見可愛く見えるが…。
噂に聞いていたのが頭にあったからか興味など持たなかった。
父にフードを降ろされ彼女の前に突き出されたときは一瞬父を殴ろうかと思ったぐらいだ。
だが、目の前の少女は、目をキラキラさせながら、どこか懐かしむような顔で俺を見つめてきている。
なんだ…、こいつ…。
この髪と瞳が怖くないのか?
チラリと少女の親に目をやると驚きと恐怖が混じった瞳が俺を見ている。
そう、普通はこういう反応な筈なのだが…。
何故こいつはこんな瞳で俺を見る…。
「お久しぶりです。エザイル様、そしてはじめまして、リオン様よろしくお願い致します。」
その声はとても可愛く甘い…、そして四歳児とは思えないほどの丁寧でしっかりとした挨拶だった。
噂は嘘か…。
俺はそう思いながらこの少女から見が離せなかったが、父が微笑ましい顔で見ているのを感じ「彼女が婚約者でよかったね」というセリフに
俺は確かにと少し思ってしまった。
それを誤魔化すように目をそらし「ふん、それがなんだ」と口悪く言ってしまう。
この少女は今どんな顔をしているのだろうか…。




