断罪時
2学期が始まってヒロインを見た日から早くも一年が経とうとしている。
そして今、マリアンは学園の舞踏会、パーティーホールの真ん中で他の生徒や先生達に遠巻きに見られながらレインハルト王子の側近になる予定の騎士団の息子…セルティック・マグネスに取り押さえられ、膝をついていた。
そして少し離れた場所からナナミ残しに手を回しマリアンを冷たい目線で睨み下ろす王子がいた。
「マリアン・カーリヒルト!貴様はナナミ・ユージニアに対しあらゆる手を使い害をなした!よって貴様との婚約を解消する!そして国外追放を命ずる!」
「レイン…様。私とてもとても…怖かったです!でも、きっとマリアン様はレイン様のことが好きだったから嫉妬してやっただけです!だから…そんな追放なんて!…可愛そうです!」
レインハルト王子に腰を抱かれたヒロイン、ナナミは少し瞳を潤ませ上目遣いで見つめ王子に訴え掛けていた、
その姿に、マリアンを抑えている騎士セルティックも宰正の息子、マオリャン・キルト、魔術師の息子、ヒルゼン・マトルートル、も目を奪われ見つめていた。
マリアンは内心深い…深い…それは深ーい溜息をついていた。
…何でしょうか…この茶番は?
「はぁ…」
マリアンは遂に口から小さな溜息が漏れ、僅かに苦笑した。
その様子にセルティックは目尻をきつく上げマリアンをにらみおろした。
「何がおかしい?」
「先程からわたくしは、無実だと言っております。ナナミ・ユージニア令嬢とは、それこそレインハルト王子と共にいたときしか関わり合っておりません。そもそも婚約…」
「黙れ!証拠とて数多くある!珍しい髪色に召喚獣を使役していた為関わってやれば図にのりおって!
今からお前がしてきた罪状を教えてやろう!」
レインハルト宰相の息子マオリャン・キルトに目で指示した。
「マリアン・カーリヒルトが、ナナミ・ユージニア令嬢にした事を今からあげる。
一つ、魔術攻撃授業での行為的な障害
二つ、私物への損害、寮部屋の破損、荒らし
三つ、学園内への誹謗中傷
四つ、学園外での奴隷事件
五つ、茶会での毒殺未遂
だ。」
… はい…。私はそれらを全てやられた方です。そして最後の2つはリオンが事前にセバスさんと未然に防いでくれましたので未遂で終わってるよ。ヒロインの身に起きている事は私も気になって少し調べたけどは自作自演をしている事が、セバスさんとともに裏を取ってわかってる。それに王子たちが変なのもヒロインの魅力魔法のせいだし…
マリアンは深いため息を本格的に口から吐き出し、マオリャンを見つめた。
「先程も申したとおり、私はそのような事をしており…。」
「黙れ!我らもマリアン貴様がナナミの部屋から急いで立ち去った所を見ている!貴様が計画した茶会でナナミのお茶にだけ毒物がいれられていた事も!が学園外で貴様が奴隷商と繋がっていることなどもな!」
マリアンが言いかけている所をレインハルトは上から被せるように冷たく告げた。マリアンは立ち上がろうとした所で足元が急に光り始めた。
「え!?」
「ナナミ!」
白く光る魔法陣…それは攻撃魔法の光の矢だ。
それは真っ直ぐレインハルトの横にいるななみに向かっていった。
ナナミの前に素早く出た魔術師の息子ヒルゼンの防御障壁に当たり消えた。
「貴様!」
「キャ!(ガンッ!!!)…ッ…」
セルティックはマリアンの頭を掴み床に打ち付けた。
マリアンは痛みに涙を浮かべるが唇を噛み堪えている。その様子をレインハルトは更に苛立ちセルティックに命令する。
その様子を、ナナミは密かに口元を覆いながら口角をかすかに上げていた
「貴様…!ナナミを今殺す気であったろ!やはり先程上げたものも全て事実のようだな!セルティックすぐさま連れて行け!国外追放では許さぬ!牢獄に入れすぐにでも処刑してくれる!」
セルティックがマリアンの頭と後ろに縛った両手を掴み立たせた時だ。
パーティーホールの上座に蒼白く光る魔法陣が現れそこに数人の影が見えたのだ。
レインハルトも側近達もその他の生徒、教師達も皆そこに目線を送る。
そこに現れたのは、国王陛下とフードを被ったリオン…そして後ろにはセバスとエイザルの四人が転移してきたのだ。
「ほう!これ何やら不穏の空気じゃの?」
「貴方がくだらないことしているから遅れてしまったのですよ。」
「そう冷たいこと言うなエイザルよ。」
陛下とエイザルが二人で周りを見渡しながら言い合っていると前方から押しつぶされる程の殺気と魔力が膨れ上がった。
「⁉これは…」「リオン!?」
エイザルは陛下の前に立ち直ぐ様結界を張った。
周りの生徒達は顔を青ざめるもの失神するものなど…。
溢れた殺気と魔力の出所はリオンだ。
リオンの目にはこめかみから血を流し涙目になりながらセルティックに掴まれ立たせられているマリアンの姿だった。
巨大な魔力と殺気を感じたマリアンは、打ち付けられた痛みと、掴まれた痛みに耐えながら涙をためた顔を上げるとリオンと目が合った。僅かに掠れ消えいく小さな声で「リ…オン…」と呟くと涙を溜めていた瞳から涙が零れ落ちた。
その瞬間、突風が吹きマリアンはふらつき倒れかけた。
その時、マリアンは誰かに抱きしめられた。
「リア…遅くなってすまない。」
「リ…オン…ごめんなさい。こんな事に付き合わせてしまって…本当に…ごめんなさい。」
「リア…、俺がいない間お前は良くやった。少し眠れ」
「でも…リオン…」
「いい。あとは任せろ。【睡眠】」
「リ…ォ…」
「【治癒】…セバス」
「畏まりました」
リオンは、泣き謝るマリアンに魔術で寝かせ、怪我を治療し血を拭き取りセバスに横抱きで渡した。セバスはマリアンを受け取ると頭を下げた後その場から転移する。
そして、マリアンを傷付けた者達をフードを外し睨みつけた。
レインハルト達はフードの者と陛下を見ていた筈が直ぐにフードを被っていた者が消えた瞬間後から突風吹き振り向くとセルティックが吹き飛びホールの壁に打ち付けられずり落ちている所だった。
そしてマリアンがフードの者に抱きかかえられ執事に渡され消えていく。
その様子をレインハルト、マオリャン、ヒルゼン、ナナミ、正気のある生徒や教師は只々見つめていた。
そして自分達を睨むのが王専属魔術師リオンだと分かるとすぐに反応したのはヒロイン、ナナミだ。




