呼び出し!?
「パス…したいです。」
「パス?なんだ?」
…そっか、こっちではない言葉なんだ。
「絶対拒否…したいって意味です。」
「あぁ。だが招待したのが王子直々だ。無理だな」
リオンは研究室の書籍で書類をセバスチャンさんから受け取り読みながら会話している。
「そうですよね」
はぁ…。と小さくため息を付いて俯いていると
「マリアン様大丈夫ですよ。坊っちゃんは当日旦那様と共に陛下から呼ばれております。エスコートはできませんが会場には居られますので。」
セバスチャンさんがリオンからもらった資料をサラリと横目で見、分別しまとめながら私の方をニコニコと見ていた。
「え?リオン様も来られるんですの?私そんなこと聞いてません」
「本来は父だけでもいいのだが父に頼まれたからな」
「坊っちゃんも素直ではないですね。マリアン様が心配だからといえばよいのに。」
「黙れセバス。」
最後の資料を放りなげながらセバスチャンさんを睨みつける紅茶を飲み始めたリオン。
セバスチャンさんの行ったことが嬉しくて私は頬を赤らめながら微笑んでいると「チッ!」と舌打ちしながらも耳が赤くなるリオンが可愛く見えた。
「はぁ…セバス当日は俺の護衛はいい、マリアンにつけ。カーリヒルト伯爵には俺から頼んでおく。」
「それでは、私の支度も必要になりますね」
「ああ、あまり悪目立ちしない程度にしておけ」
「かしこまりました」
リオンが苛立ちを含んだ声でセバスチャンさんに当日私の護衛となれ的なことを言っているけど…。
王宮の会場にそれは難しいのでは?まさかの猫で参加?と少し変な方へと私は思考を広げていた。
その日はその話はそれ以上せず当日はセバスチャンさんに全て任せておけとのこと。お迎えもセバスチャンさんがするんだとか…。
とりあえず、一度実家に帰らないといけなくなったため、2週間後にあるパーティーに向けて私はリオンに転移魔法で屋敷まで連れて帰ってもらった。
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「お嬢様!ランディバースト様がお迎えに来られました!」
「マリアン!北国のランディバースト公爵といつ知り合いになった?今日のエスコート役を快く引き受けてくださったらしいがどういうことだ!」
「?お父様?ランディバースト公爵?様って誰ですの?」
「何を言っている!屋敷前に迎えに来てくださっている方のことだ!」
「旦那様!落ち着いて下さい!お待たせしていますのでとにかくお嬢様をお連れしなければ!」
「あ!ああ!そうだな!マリアン、兎に角下に来なさい!」
やや青白い顔でお父様は部屋から出ていき去っていった。
「な、何だったの?お迎えってセバスチャンさんじゃ?ランディバースト?って誰?」
首を傾げながらほけっとお父様が出ていった扉の方を見ていると、メイドのメルまでも慌てた顔で急いで支度をさせられ屋敷の前まで急がされた。
屋敷の前について目に入ったのは真っ黒の馬車。
真っ黒に塗られた壁に銀で獅子と葉蔦の模様が書かれていた。
そしてその目の前には、真っ白な燕尾服に金と赤の刺繍が入り、濃い黒紫の髪をオールバックにしうなじの位置で一纏めに銀の紐で縛り人形の様に整えられた顔、白い肌、そして私の方を向き優しく微笑みながら見つめるのは何もかも見抜いているようなムーンストーンの瞳…。
…うん。正装してるセバスチャンさんだよねこれ?似合い過ぎでどこの王子!?と思えるぐらい格好いいけど…今日は私の護衛じゃないの?あれ?
「お迎えに参りました。マリアン・カーリヒルト嬢。セバスティエル・デルタ・ランディバースト公爵です。」
「御機嫌よう、セ(マリアン様本日は私はセバスチャンではなくランディバースト公として接しさせていただきます。けしてセバスチャンとはお呼びしないようお気をつけください)…ランディバースト様本日はありがとうございます、」
「いえ、麗しいカーリヒルト嬢と共にできること光栄です。時間もそろそろですので王宮へご一緒に」
そう言いながら手を差し出すセバスチャンさんの手を私は静かにのせ、馬車の中へ案内された。
その後何やらお父様達と少し話されたあとセバスチャンさんは同じ馬車の中に乗り合図を送り私達は王宮に向かった。
ガタゴト…ガタゴト…
「そろそろお屋敷も見えませんね。マリアン様お手を。一度研究所へ転移した後またこの馬車の中へ戻ります。」
「え?どうしてですの?」
「それは後ほど…。馬車の中にずっといたらお疲れになられます、この馬車には転移魔法陣が組み込まれております。私と坊っちゃんなら動いていようと移動できますので大丈夫でございます。王宮までに半刻ほどありますのでギリギリまで研究所にて寛いでいかれるよう頼まれておりますので。」
そう言うとセバスチャンさんは私の手を取りそのまま研究所へ転移した。
少し歪んだような感覚はするもののすぐに意識が戻り目を開けると、そこにはいつもと変わらない研究室…が……?……?
…私の見間違い?え?でも…ううん。机上の横に紅いスレンダードレス。
胸元と背中が少し開けていて金の刺繍が施されウエストとアンダーが引き締まっているドレスがあった。
「さて、それではマリアン様こちらに着替えていただき髪も直させていだきます。」
「ええ!ちょ!セバスチャ……ほぇー!」
淑女としてはありえない声を出しながら私に有無も言わせずセバスチャンさんは来ていたドレスとコルセットを脱がエステから始まり香油、着付け、ヘアセット、化粧と全て私はあれよあれよとセットされ2時間半程度でさっきまでとは打って変わってありえない程の美少女!(自分で言うのもなんだけど)にさせられてしまった。
…こ、これが私?てか、セバスチャンさんに肌が見られちゃったよ(汗)でももとは猫だから気にしなくてもいい…の…かな?…いや…いやいやいや無理でしょ!ある意味これから意識しちゃいそうだよ!
私は姿見に写った自分にみとれたあと背後でアールグレイを入れているセバスチャンを鏡越しに見て顔が真っ赤になっていった。
「さて、支度も終わりましたし、もうしばらくここで寛いだ後馬車に戻りましょう。」
セバスチャンさんはそう言い「少々失礼します」と隣の部屋に行ってしまった。
アールグレイが飲み終わった頃セバスチャンさんは先程お迎えに来た姿で隣の部屋からまた現れた。
「さてそれでは、坊っちゃんも待っていらっしゃるので向かいましょう。」
そういい、私の手をとりまた、私とセバスチャンさんは馬車の中へ転移した。




