学園前休暇
2学年まで残り二月…。
今日から学園は学園前休暇…、前世で言うならば春休みといったところです。
先月から学園の令嬢達からヒソヒソ言われたり絡まれたりすることが増えてきました。この間もツインドリル…ロゼリア様に呼出され。
「マリアン・カーリヒルト伯爵令嬢!お話がありますの!少しお顔を貸してくださらないかしら!」
寮に戻る途中で声をかけてきたツインドリル…。
ロゼリア様は数人の令嬢を連れて声をかけてきました。
「単刀直入にお聞きしますわ!レインハルト様の婚約者とは本当ですの!」
「はぁ!!!?」
令嬢ではありえないと思うほどの素っ頓狂な声を大きな声で出してしまいました。
いや、お茶会をしていたら確実に顔面に吹き付けている自信ありますよ!
なぜ突然そんな話になったのかわかりません!
そもそも、一部の貴族には私とリオン様の婚約を発表しているのです。
現在周囲には内緒にされているのですが。
何故?って?
それは、リオン様の立場…。
今では国にとって貴重な存在。だけど当時は、
膨大な魔力を持ちそれを使いこなす事が出来れば国としては膨大な力、存在。
使いこなせなければ悪害としては処分される存在として見られていた。
その為まだ先のわからない状態で婚約した我が家(リオン様に気にいられていた私)はリオン様の力を恐れる者、狙う者、国の餌食(人質等)になる恐れがあった。
その為パーティでは、我が家カーリヒルト家とグリアモール家の中でも危害を加えない善き者を集め発表した。そして秘守する為、リオンと私を守護する為誓契約をし今現在進行形で秘密にしている。リオン様が許可をするまで。
その後学園に入り魔力を使いこなすことができ更に魔力が増えたリオンを国は認め王宮魔術士として認めた。今では専属魔術士として認められる手前だとエイザル様は言っていました。その為最近会えないと。
この事はエイザル様に全て聞いた。セバスさんに聞くと深いため息をついて「坊っちゃんに黙っているように言われていたのですが」と言われた。
なんでだろう?
とにかくそんなわけで王宮にも私達の婚約は秘密にされているわけですが…。
…いやいやいや、あの王子と婚約とか死亡フラグです。ありえません。今現在も関わられて迷惑しているのに…。本当にやめていただきたい。
「どうなんですの!」
「コホン、ロゼリア様なぜその様な話になったか存じませんが私は王子様とはそんな関係ではございません。」
「レインハルト様は(カーリヒルトは私の婚約者だ)と言われましたわ!私達は現に婚約者候補として王宮に幼い頃から通い教育を受けておりましたが通うことを断られましたわ!」
…何でそんなことになっているんでしょうか?これがよく言うゲーム補正でしょうか?やめてほしいです。
「で、ですからそんなお話は聞いておりません。我が家にもしその様なかなお話がありましたらお父様からご連絡が来ますわ。ですがそのお話はありませんので何かの間違いですわ」
「ならどうして、わたくし達は婚約者候補を外されるのです!レインハルト様もあのようなことを!貴女がレインハルト様を誘惑なさったのではないんですの!」
…そんなん私が知るわけ無いでしょ!てかあの王子に誘惑するならリオン様にしてるわ!
「ですから私は存じませんともうしております、私は王子様に誘惑などしておりませんわ。私も確認してみますわ。ですから本日はこれで御機嫌よう。」
学服のスカートの端をもち例を着てその場から離れる。
後ろでまだ何がキーキー騒いでいるけど知りません。
兎に角寮に戻るのはやめて研究室へ足早に歩いていく。
タッタッタ…。
ガチャ!バタン…。
「はぁーーーーー。」
「マリアン様?どうかなさいましたか?」
「ひ!…あ、セバスチャンさん、御機嫌よう」
研究室に入り扉に持たれながら深いため息をつくと書席の近くで書類を整頓しているセバスチャンさんが声をかけてきた。
「それが、王子との婚約が決まったとか…。ロゼリア様達は候補から外されたとか…。わけわからないことになっております」
「その件ですか…。王子が認めた令嬢が近い時王宮に訪問される。と王宮にも噂が流れております。やはりマリアン様の事でしたか。」
「でしたかではないです!こんな事リオン様に知られたら!」
「もう聞いている。」
扉から離れセバスチャンさんの近くまで歩いて文句を言おうとしていると後ろ、先程までマリアンが立っていた扉付近にリオン様が無表情で立っていた。
「あ、え、えと、その、私しっかり王子と関わらないように努力しました!」
無言無表情で私を見続けるリオン様…。
…いや、怖いのですが…。あのきれいな顔で無表情で見られると…
助けを求めようとセバスチャンさんの方を振り向くと…。
…ですね。はい。もう姿はありません。ちょっと待って私にこれどうしろと
「はぁ…。馬鹿だとは思ったがここまでとは」
ため息をつきながら私に近づいてくる。
…私の中で警報がなる…気がするのですが…、どうすればいいんでしょうか。
「マリアン。」
「は、はぃ」
…いつも二人ならリアなのに…マリアンって言うのは怒ってるから?それとも?
目頭が熱くなってきているのを感じながらリオンを見て小さな声で返事をする。
「4月後だ。」
「ほえ?」
「何だその返事は。…4月後に俺は王宮専属魔術士になることになった。正式な任命式を終えた後、国王にはお前との婚約の件を話す。それまで王子との事は何とか伸ばせ。お前の親にも父にも伝えといた。お前の父親は王子との婚約はうまいこと理由をつけ断るか先延ばしすると言っていた。後はあの王子が一人勝手に動くかもしれんが…。放っとけ。分かったな。」
「…はい。分かりました。」
俯きながら答えるとリオン様は私のもとに近づき髪を梳く。
サラサラと頬に少し触れるぐらいの位置で手を動かす。
顔を上げれば少し穏やかな顔が見えた。
「リオン…」
「……」
「…リオン…?」
首を傾げて上目遣いで見つめると静かに唇を重ねてきた。
それは数カ月ぶりのキスで…。
いつもと違う深いものではなくて少しだけ触れる優しいものだった。
「リオン、逢いたかったです」
嬉しくてそう微笑むとリオンは私を抱きしめ溜息をついた。
「久しぶりだな、リア…。」
「はい。」
「セバスから聞いている。王子に追い掛け回されていたこと、不必要なお茶会の誘いなど。」
「特に無茶はしていませんし大丈夫ですよ。」
「そうか。それとエイザルが余分なことを話したらしいな」
「エイザル様がですか?」
少しだけ体を話しお互い見つめ合う。
憎々しげな顔をしながら「あぁ」と頷く
「殆ど、リアに逢えなくなったのもアイツの職務怠慢の性だ、それから専属魔術師の方も俺から話す予定だった」
「そうなんですか?エイザル様らしいですね。ですがそのおかげであまり不安には思いませんでした。それに本当に聞きたかった事は今リオンが教えてくれましたから。 」
「そうか」
微笑みながらリオンを見た後リオンの胸板に顔を埋める。
腰に手を当て右手で髪を梳くリオン。
今まで逢えなかった分ゆっくりとお互いの温もりを感じる。
たまに激しくなる時はどうしょうもなく恥ずかしくなるけど、こういったゆっくりとした時間は幸せが体全体心全体に広がる。私はこの時間がとても好き。
「残り一週間ほどで学園前休暇になる、その時は俺も時間ができるその時は逢いに行く。」
そう言って静かに額に唇落とし「そろそろ戻る」と耳元で呟き離れる。
最後に名残惜しそうに髪を梳いて完全に離れた後リオンは研究室から消えた。
消えた方を見つめながら小さな溜息をつくと後ろからセバスチャンさんが現れお茶とお茶菓子を勧めてくれる。そのまま、寮に戻るのは不安、危険と言う事で私は研究室の仮眠室で一日過ごした。
「そういえば、寮でメルが待ってるはずだわ」
どうしようかと考えていると、
「メルさんにでしたらもうすでにお伝えしてあります。」
…さすがセバスチャンさん!それならのんびりここで過ごしてもいいよね
私はそのままセバスチャンさんとのんびり過ごした。
私がいる貴族寮は述者を一人だけ連れてくることができる。
私の場合一番気を使わないメルなのだけど…。
なんだかんだでメルも私が学園でリオンと逢うようになってから空気を読んでなのか、それともただ自由時間が嬉しいのか寮母を誤魔化してくれたりする。
そんな事が数日前にあった。
そして今私はほぼ毎日学園の研究室で過ごしている。
屋敷に戻るには時間がかかるし、寮にいれば色々と事が起きる。
寮母には外泊届けを出しメルにもお暇を与え基本セバスチャンさんと共に勉強や魔術訓練等行い時間を潰している。
夕刻になるとリオンはこの研究室に帰ってくる。ちょっとした新婚生活を味わっているのです。両親には内緒です(笑)
先が見えたとのことでリオンはあれからほんの少ししか触れません。
前みたいに激しくはしないので安心なような寂しいような複雑な感じです。
そんな事でちょっとした新婚生活気分をのんびり楽しみながら休暇を楽しむ私です。




