95話 お礼って何なんですか?
「で、放課後まで持ち越しさせたお礼って一体何なんですか?」
一頻り影の精霊の頬っぺたとかをモフモフプニプニウリウリして遊んでいたら、ふと当初の目的を思い出した。
「へ、僕何かお嬢さんにお礼することあったっけ?…ちょ、やめて!痛くも苦しくもないけど首締めるのはやめて!アレや、お茶目なジョークやから!ちゃんとお礼の事忘れていないから!」
真面目なときに冗談言うなよ。…そもそも、貴方がお礼したいなんて言わなかったらわざわざ校舎裏まで来なかったんですからね?そこんとこ分かってるのかしら…。
「ふみゅう……まあ、気を取り直して…はい、僕から…正確に言えば僕と僕のご主人からのお礼の品や。」
影の精霊の後ろから、明らかに影の精霊(私の見立てだと…15cmくらい)よりデカイ直方体の箱が出て、私に渡してきた。…あの箱どうやって出したんだろう…。
「(気にしたら負け…だな。)この箱、開けてみても良いんでしょうか?」
「ええで。寧ろ、開けちゃってください!」
ではお言葉に甘えて…。
カパッ
「…黒のハイヒール?」
箱の中にあったのは、何やら高そうな革製のハイヒールのパンプスだった。
デザインはシンプルだけど、シンプルな分、フォーマルは勿論普段使いでも履けそうな良いものだ。…コレでヒールが低かったら良かったんだけどな。
「結構ヒール高いですね。私、ヒールの高い靴は苦手なんですけど…。」
「大丈夫やで!それ履いて魔力を込めながら踵を踏み付けると、ヒールが引っ込む仕組みになっとるから!後、踵と爪先の部分には特殊な金属をくっ付けて、その金属には身体能力強化の呪い文字を彫り込んでいるさかい、お嬢さんがコレ履いたらある意味最強やね!」
「…何で、踵と爪先に金属を付けるんですか。(最早、それはハイヒールの形をした安全靴じゃないですかっ。)」
「え、だってお嬢さんは傍流でも貴族なんやろ?貴族だったら所謂舞踏会とかあるやん?そう言うところは戦場って良くご主人が言ってたから。」
戦場は戦場でも、物理攻撃をする方の戦場ではありません。あれは、俗に言う言葉の綾…比喩表現ってやつですよ。
「…確かに、一部の男女は戦場に赴くかのような意気込みで来ますけど、そう言うのは婚活の一環としての戦いであって物理攻撃をする方の戦場ではありません。」
「マジでか!」
舞踏会ならぬ武道会かと思っていたのかコイツ…。んなバイオレンスな社交界があって堪か!(後、私の社交界デビューはまだ先ですよ。)
「うみゅ~…でもさ、一応履いてみてくれへん?その靴は、きっと君に似合うと思うんや。」
ウルウルウルウル。
…そんなウルウルした純粋な目で私を見るなチクショウ。
「分かりましたよ……この靴を掃けば良いんでしょう?」
確か、魔力を込めながら踵を踏み付けるとヒールが引っ込むんだっっけ?直ぐにヒールを引っ込めてやろう。
「よっと…うわ、意外と高ぇな。…で、こうして…こうかってうおっ!…よし、低くなった。」
ヒールが低くなったついでに、バランス良く爪先部分も整ったわ…。すげぇなこの靴。
「やっぱり似合うなぁ!」
「そうですか?」
なんか、手放しで誉められるのは照れ…。
「うん、何や女王様みた痛い痛い痛い!踵でグリグリせんといて痛い!」
誰が女王様ですか誰が。貴方のその良く喋るお口がそう言ったんですか、えぇ?
「いやちょっと、マジでお腹痛いんやからそのグリグリ止めてっ。人と違って血や内蔵的なもんとかは出ないけど、痛いから止めてっ。」
…これは、本気で痛がっているのか?今まではいくら攻撃しても通らなかったのに…どうしてだ?
「…おい夜風、考え事するなら腹を踏み付けるのは止めてあげろよ。」
「あら、アルベロ先生居たんですか。いつ辺りから見てました?」
「お前が、影の精霊をモフモフしてたあたりから。」
結構最初の方じゃないですかコノヤロー。居たんなら声ぐらい掛けてくださいよ。
「(まあ、先生の事は良いや。)影の精霊さん、どうして今は貴方に攻撃が通っているんですか?」
「いてて…それはな、その靴の踵の部分に使われとる特殊な金属は人だけやのうて精霊にも攻撃が通るようになってんねや。だからお嬢さんの攻撃が僕に通ったと言う訳なんや。…あ、先生さんにはこの木の実あげる。森で自生したやつの中でも熟れてて美味しそうなやつ選んできたんやで!どや、凄いやろ!」
「おー、お前スゲエなぁ。木の実ありがとうなー。」
先生、当たり前ですけど本気で嬉しがっていませんね。
「それにしても、相も変わらずお嬢さんは凄い下着を痛い痛い痛い!せめて手加減し痛い!」
人の下着をバラそうとするなよこのエロ精霊が。




