75話 程々が一番だね。
「はぁ〜、玄米茶がこんなに美味しく感じたのは久しぶりですよ。ズズズッ。」
「モグモグ…そうだなぁ。ムグッお茶請けのお菓子もスッキリとした甘さで、舌触りはねっとりしているのにしつこくこないのがまた良いよな。…このお菓子何て言ったっけ?」
「これの名前はよく知らないのだけど、蒸かして皮を剥いたサツマイモを裏漉ししたり砂糖とかを色々混ぜたりして、布巾やラップで巾着絞りにした物ね。」
「サツマイモ凄いね!何かもう…アレだね!」
「そうだね。素材の味が良く出ているのに、ちゃんとお菓子になっているのが凄いね。」
「(通訳?)僕が作ったお菓子だったんですが、皆さんに気に入ってもらえたなら光栄です。」
「…なあ、カネレ。これのレシピを詳しく教えてくれねぇか?」
模擬戦が終わって、昼休み独特の和やかな空気が流れている私達。
しかし、模擬戦の結果は決して和めるような内容ではなかった。
「まさか、しらみ潰しに林にいた他の班の人を倒していったら、歩兵役の人(ゲーム的に言ったら雑魚もしくはモブキャラ)が殆んど壊滅させてしまうとは…。」
「アレぐらいの攻撃で音を上げるなんて、なんか情けねぇよな!」
いやいや、ヴェールさんが一番怖かったですから。貴方が一番敵(と言うかクラスメイト)を凪ぎ払っていましたから。
「…あ、後方の砲撃支援も有り難かったです。タイミング良くドーンと当たるので、見ていて清々しかったです。(寧ろ、余りにも清々しくドーンとやり過ぎて、砲撃が当たった相手が気の毒になった事は内緒にしておこう。)」
「方角とタイミングは、カネレが的確に指示していたからね。…カネレ、指揮官の才能あるんじゃない?」
「そんな…僕はただ気配や魔力を人一倍感じ取りやすいだけですから。」
「へぇ…参考までに聞きますが、どれくらいの範囲が分かるんですか?」
「えっと、詳しくは分からないのですが…。多分、僕から半径4〜50mくらいかと…。ソル君、曖昧でごめんなさいっ!」
4〜50mって…めっちゃ範囲が広いではないですかカネレさん。凄い才能ではないですかカネレさん!
「すげぇな〜。俺なんて、怪我をしたやつの方しか分からないぞ。」
「…それも十分に凄いと思いますよディオさん。」
なんかそれは、聞いているだけならただのホラーだな。
「罠の方も、結構引っ掛かってくれたよ!」
「母さん直伝で俺達双子のアレンジを加えた特製ぬるぬるした痺れ薬入りの液体を、やや深めに掘った落とし穴にいれて、適当なホースとか小枝とかを仕込んだだけだったんですけど…いやぁ、皆良いリアクションしてくれますね!」
うわぉ。仕掛けてくださいって頼んだのは私ですけど、まさかここまで念入り尚且つたちの悪いモノを作るとは…。
「リアマ嬢が落っこちたときはビックリしたけどね。」
「なぁ。『ななな何事ですの!?ぬるぬる…んっいやぁ!!ど、どさくさに紛れてどこ触ってますのっ!』って声が聞こえたときは焦ったな。」
ソルさん、声真似上手いな。…つか、あのリアマ嬢に手ェ出せる男子がいたなんて…いや、手を出すと言うか(男子的には)ラッキーハプニングと言った方が近いかな。
「その後リアマ嬢が落っこちた落とし穴が炎に包まれたけど、あの液体は不燃性で沸点かなり高いから問題なかったよ。」
…落とし穴は問題なくても、その落とし穴にいた人は大変なことになったのでは…。いくら魔術具で致命傷はないにしてもリアマ嬢の炎を直に喰らったわけですから、軽度〜中度の火傷は普通に負うよな。
「リアマ嬢のお陰であの落とし穴に居た奴の大半が行動不能になったし、炎を出したリアマ嬢自身もなんか知らんが気絶したから、さっさか救出して粗方怪我は治したから心配するな。」
おお、流石保険委員。そこんところは抜かりはありませんな!
「でも一番凄かったのって、コトハが広範囲に砲撃の嵐を降らせたことだよね。カネレ君がちょっとでも気付くの遅かったら、僕ら道連れにされていたかもしれない。」
「いや、だってチマチマ攻撃をしていたら埒が明かなくなりそうだったから…つい。
その後、流石に魔力を使いすぎたので倒れそうになりましたけどね。」
久々にドーンと魔法や魔術を使えたのでスッキリしたのは認めます。




