74話 戦闘開始!
先生が考えた模擬戦のルールは、自陣の証である旗を守りながら他陣に攻め込み、他の陣を全滅…もしくは旗をへし折ると勝ち点5、主要戦力を行動不能にすると勝ち点3、主要戦力以外の人を行動不能にすると勝ち点1が加算され、他の班とタッグを組んでもいいが、タッグを組んでいるときに裏切り行為を働いたら、働いた方の班が即リタイア、旗を持っていれば自陣を移動してもよい(しかし最低でも三人生き残っていなければいけない)と、至ってシンプルなものだ。
「私達の最初の陣がが割り当てられたのはエリア34の草原区域です。
ルナさん達が言ったように、見晴らしが良いので奇襲は受けにくいですけど、こちらも奇襲がかけられないと言うデメリットがあります。」
「あの、質問なんですけど…罠を仕掛けたと言うことは、ここから陣を動く気はないんですか?」
遠慮がちにカネレさんが良いことを聞いてきた。
「動く気はありますよ?ただ同じく草原区域に割り当てられた人達をドーンと倒してから動くので、罠を仕掛けてもらったんです。」
ああ、今私絶対に悪い顔してると思う。自覚あるからな…ケケケッ。
「夜風、凄い顔してるが何かあったのか?何か…とんでもなくアレな事考えてないか?」
「あはは、少ししか考えていないので大丈夫ですよ?…っと、そろそろ敵陣が来ますね。皆さん、臨戦態勢を取ってくださ「っっ!?その前に、皆さん防御魔法を全力で展開して下さい!」はい?」
カネレさんがそう言い終わった瞬間に、一帯にドカーンッと爆音が響き渡り、視界が爆風により舞い上がった土煙に覆われた。
「ふぇ、ふぇえ!?一体何があったの、さっき何が起こったの!?」
「チッ、遠距離からの長距離砲撃とか…考えたわね。」
「(由榎さんの舌打ち怖い!?…えと、目測だけど皆さんに怪我はなし。)……ま、間に合ってよかった。」
咄嗟に砲撃魔法が来る方に防御壁を展開させたのでちょっと心配ではあったのだが、どうやら上手くいったようだ。
「よかった…。砲撃魔法を打った人はあちらの方角に…あれだけの威力の砲撃を放ったわけですから、まだその場にいると思われます。」
…カネレさんって、魔力を感じるセンサーみたいなのが鋭いな。あと、状況(と言うか戦場?)を読むのが上手い。
「(この事はあとで聞くとして、今は…)んじゃま、その人がいる陣にさっきのお返ししてきますかね、ヴェールさん。」
「おう!…やられたら、やられた分の三倍相手にお返ししないとな!」
アレ、何かヴェールさんが黒い?顔は笑っているのに何か怖いぞ?
「(…気にしたら負け、気にしたら負け。)では、『我らに精霊の祝福と神々の栄光をもたらしたまえ。』…反撃行ってきますので、残っている人は旗と自分の身を守っていてくださいね?」
身体能力強化の魔術(威力も継続時間も中くらい)を皆さんに掛けてから、ヴェールさんと一緒に殴り込み元い反撃をしに行った。
「ねぇねぇ由榎ちゃん、さっきコトハが使った魔術って何だかわかる?」
「精霊と神々って言葉が聞こえたから、多分『神なる御言葉』って言う呪い文字を使った魔術ね。身体強化や回復と言った補助が得意なのが長所なのだけど、防御や攻撃が全くできないのが短所な魔術よ。」
「ふむ、後で夜風にさっきの魔術教わろうかな。」
「教わっても良いとは思うけど、『神なる御言葉』はたしか消費魔力が多いはずよ?それでもディオは大丈夫?」
「母さんも似たような魔術を使っていし、保持魔力も多目だから恐らく平気…だと思う。」
「ハッハッハー、消え失せろぉぉぉお!」
…ヴェールさん、戦闘を開始した途端にキャラ変わりすぎですよ?いつもの優しくて音楽好きのヴェールさんは、どこに吹っ飛んでいったんですか?
「っと、私も悠長に考え事する暇ないんですがね…!」
私目掛けて降り下ろされた木剣を体を捻ってかわし、捻った反動を利用してがら空きになった横腹に棒を思いっきり叩き入れた。
「グハッ!?」
更にがら空きになった体に、
「まだまだ安心するのは早いですよっ!」
これまた思いっきりの突き攻撃をプレゼントした。(ゲーム的に言ったらオーバーキルってやつに該当するけど、これは戦いだから気にしない。)
「え……げつ…ねぇ。」
…私が相手した男子が倒れ際にそんなこと呟いたので、一応魔法で打撲と掠り傷は治療しました。(敵が倒れた時点で得点は加算されますので、勿論倒れてから治療しましたよ。)




