70話 二人のお話し。
久々に、琴波がシリアスです。
魔力判定の翌日、私は布団でゴロゴロしていた。
「身体測定の次の日がお休みで良かったですねぇ。正確に言えばテスト休みですけど、どっちにしても休みは良いですねぇ。」
「う〜、暫くは活字を見たくない。数式だけみたい。」
同じく布団でゴロゴロしているルナさんの答えに、思わず苦笑いをした。
「それじゃあ、ずっと布団の中に籠っていないといけませんよ?学園の掲示板や購買は勿論、この部屋にも活字は溢れているんですから。」
人として、文字を見ないで生活すると言うのは無理に近い。最早不可能と言っても良いくらいだ。
「そう言う気分ってだけだよぅ。…そう言えばさ、昨日辺りにコトハ宛の手紙が着ていたよ。確か…イヴィールって人からだよ。」
イヴィール……イヴィール!?
「ルナさん!その手紙ってどこにありますか!?」
「え、コトハの机の上…になかったらそのままポストの中かな?」
机の上には、授業ノートと教科書…あ、見知らぬ小綺麗な封筒発見!
差出人は…夜風・ヴェヒター・イヴィール…義理の弟妹の弟の方のイヴからだ。(イヴはイヴィールの愛称。義理の妹の名前はペルラです。)
「そうかぁ、イヴの奴もう文字が書けるようになったのかぁ。姉様嬉しいよ、本当に。」
「え、え、そのイヴって誰さんなの?コトハとどういう関係なの?」
「言ってませんでしたっけ?私の義理の弟です。今年で五歳…そろそろ誕生日ですので、もうすぐ六歳ですね。」
イヴィール…イヴとペルラは、数年前に私が住んでいる街にある教会の前に置き去りにされて凍えていたのを私が発見、街の人や父様を呼んできて二人の親(もしくは二人を置き去りにした人)の捜索をして…まあ、父様が捜索魔法を使ったためにすぐ見つかったが、どうにもよく聞く“望まれずに生まれた子供”らしく、二人の両親は既に他界。年端のいかない子供を放置するわけにはいかないので、親戚の間で仕方なく面倒を見ていたが、結局二人は親戚間でたらい回しにされ、挙げ句にここに置き去りにしたと言う事らしい。置き去りにした方も、二人を受け入れるには金銭的に苦しかったらしい。…でっぷりと肥えた爺が何を言う。
ええ、この話を聞いて流石の私も堪忍袋の緒がプッツンしましたよ。
「ふざけないでください。あなた方の身勝手で、幼い二人を散々傷つけて、その上、金銭的に苦しいから二人をここに捨てる?だったら、そのたっぷりと脂肪が詰まったお腹と血色のいい真ん丸いお顔、高そうで暖かそうなコートははなんですか?逆に、どうして二人はガリガリに痩せていて服もボロボロなんですか?…あなた方がしている事は、明らかに犯罪です。この国の法律はよく知りませんが、差別はいけないと思います。そりゃあ、半分…もしくはそれ以下しか血が繋がっていないとしても、この二人に流れているのが赤の他人…もしくは長年敵対している人達の血だとしても、この二人には全く罪は無いじゃないですか。罪があるとしたら過去の大人で、今をいきるこの子達には関係のない事ではないですか。…もし、それを考えた上でも二人を愛せないと言うなら…。」
一瞬父様に視線を合わせたら呆気に取られた顔をしていたが、直ぐに真剣な顔になって頷いてくれた。
「そう言うことなら、この二人は私の家で引き取ります。金輪際この二人には会わなくても良いですし、お金の援助も要りません。どうですか、悪くはない条件だとは思うのですが…。もしダメだと言うのなら、無理矢理にでも二人を家の子にします。」
むこうのでっぷり爺も、父様と同じく呆気に取られた顔をしていたが、直ぐに笑顔になって、「いやー、ありがとうございます。」的な事を笑顔で言い始めたのがイラついたので、殺気をたっぷり含んだ微笑みを浮かべて見つめてやったら、デブ爺が目に見えて青ざめて脂汗をかき始めた。(近くで見ていたシュナイダーさん曰く、そのときの私は黒いオーラを纏って目が全く笑っていなかったらしい。)
「まあ、初等部の三度目の冬休みに実家帰省したら、こんな事があって…それでイヴィール(当時二歳)とペルラ(当時一歳とちょっと)は家の子になった訳ですよ。因みに、手紙の内容は近状報告でした。」
拙い文章だけど、よく書けてるなぁ。姉様感動。(あ、イヴからは姉様、ペルラからはねー様と呼ばれています。)
「今度の夏休みに、コトハの家に行ってみたいなぁ。イヴィール君とペルラちゃんにも会いたいし。」
「もし来るとしたら歓迎しますよー。」
ふと見上げた空は、キレイに澄んでいた。
……あ、イヴに手紙の返事書かなきゃ。
イヴィールとペルラは、また出したいです。




