69話 Let'sチェック!その3
ディオと琴波視点です。
▼ディオの場合
「ふ…くっ…はふぅ。」
くっそ、魔力を全力でぶつけるとか辛すぎるだろっ!
「あう…せ、先生、まだですかぁ?」
「おー、未だだぞ。…お前、本当に女の子みたい…おいおい、コンプレックスを突っついたのは悪いと思っているから、これでもかって程殺気立つなよ怖いな。」
女顔で悪かったなこの野郎。昔よりは良くはなったけど、まだ女顔気にしているんだよこの野郎。
「3…2…1はい終わり。途中から魔力値がドーンと上がったのは…まぁ、スマン。」
「謝るくらいなら最初っから言わないで下さい(超良い笑顔)。」
全く、生徒の心を傷つけるとか、どんな神経してんだこの先生。
「えっとな…魔力値は912で、柊を越して暫定一位だ。魔力質は純度高めの回復系寄りだな…お前の母親も回復系寄りだったから、これは家庭の事情か?」
「母方の先祖にエルフ族が居まして、魔法素質が代々遺伝しているらしいのです。ただ、遺伝する人が大体女の人か女顔の男なので、こう言った面倒なことがちょくちょく。もう一度言いますが、俺は女じゃありません、正真正銘の男です。」
「いや、俺先生だからお前が男って事知ってるし。しかし、そうだったのか…。そう言えばお前の母親、学生時代も美人だったな。俺のタイプじゃなかったけど。」
…タイプだったらどうする気だったんだろう。教師と生徒で付き合うとかするのだろうか?
「イヤイヤイヤ、俺大学生でも生徒には手ェ出さないって決めてるから。せめて相手が大学を卒業するまで待ってから告白するからね。いくら俺でも、流石に犯罪者にはなりたくないよ。」
…必死に弁解する辺りが、なんか怪しいな。もしかして、昔一回生徒と付き合って苦労したことが…。後、何で一言も発していないのに俺の考えている事が分かるんだろう?読心術?
「あー、おほん。ボヌール、最後に待っている夜風を呼んできてくれないか?ほれ、用紙も渡すから。」
「(話そらしたな…。)用紙は普通に渡してもらわないと困りますが…分かりました。夜風を呼んできます。……先生、後でお話聞かせてくださいね?聞かせてくれると嬉しいです。」
結構丁寧に言った筈なのに、先生が少し青ざめて見えたのはどうしてだろう?フフフ。
「(目がこれっぽっちも笑っていねぇよボヌール。キレた時のこいつの母親に、マジでそっくりだな。…怖。)」
▼琴波の場合
「何となく、私が最後と言うのは察しがついていました。」
「なんだ、分かっていたのか。」
「アレでしょう、魔力値がデカ過ぎて計測装置が壊れる危険性があったから私を最後にしたのですね?」
伊達に精神年齢が三十路前じゃあありませんよ。初等部のあの授業で自覚して以来、自分の体内保持魔力の量が、他の人と比べ物にならないレベルで多いと言うのは既に分かっているのです。つか、ただ体内保持魔力がデカイだけで制限装置貰ったのは、学校創設以来数人しか居ないそうじゃあないですか。私知っているんですよ?(図書館にある資料で確認済みだぜ!)
「じゃ、そう言う事だからさっさと終わらせようじゃないか。どうせお前で最後だし。」
「そうですね、早く帰ってお風呂とかでテスト疲れを癒したいですしね。」
「…俺達先生は、この後ペーパーテストの採点をしないといけないからまだ休めないんだけどな。…よし、開始っと。」
手を置いた装置に、ペース配分なんて考えずに魔力を送り込む。
うおぉ…これは、文献や先輩の話しに聞いていた以上に辛いな。ペース配分しとけは良かったな。
因みに、最初の方に体内保持魔力は生まれながらに決まっていると言ったが、これは少し語弊かもしれない。
正確に言えば、幼少期から訓練をすればある程度までは…そう、まるで体力のように伸びるのだ。(魔力を入れるタンクが、少しずつだが大きくなると言った方が良いだろうか。)
その“ある程度”が個人差があり過ぎて、『体内保持魔力が生まれながらに決まっている』という語弊を生んだのだ。…と言う旨を述べた論文が、私が小3の頃辺り(正直よく覚えていません。)に正式採用されて、定期的に魔力値を検査する事が義務化したのだ。(何でこの測定をすると疲れるのかは、アレです、体力テストと同じ理屈です。ああ、『私』の時にやったシャトルラン、マジキツかったなぁ…。)
「…っつ……あっ!」
ドコンッ!と鈍く大きな音を立てて、計測装置がぶっ壊れた。…け、煙が出てる。
「ああ、やっぱり計測不能レベルか。…まぁ質も高いみたいだし、そんだけ魔力があったら何でも好きな魔法が出来るだろうよ。落ち込むな。」
うわぁ、フォローらしいフォローを久しぶりに聞いたわ。先生はフォーリャって名前だからフォローが上手なんですか?(名前が無関係なのは分かっていますが、こうでもしとかないと泣きそうなんです。)
次からは、また琴波視点でお送りいたします。




