53話 美味しいものは皆で。
皆で…って言っておきながらディオやソルは出てきません。
ケーキの箱を持っている時って、妙な緊張感を感じるわ…。乱暴に扱ったり、箱を傾けたりしたらケーキがぐちゃぐちゃになるからかな?
ケーキの箱を斜めにしないよう慎重に寮の入口まで戻ってきた時だった。
「何してんのコートハッ!」
後ろから不意討ちにルナさんが抱きついてきた。ああっ、ケーキが!
気になったので、箱を開けてケーキの状態を確認してみると…多少移動はしているが、どうやら中身は無事のようだ。良かった…。
「ご、ゴメン!何かコトハが変な歩き方してたから何なんだろうと思って抱きついてみたんだけど……ケーキ買って帰ってたんだね。ケーキは無事だった?」
「はい、どうにか。…そんなに変な歩き方してましたか、私。」
「う〜ん、意識してみたら変な歩き方だったって程度だよ?…変って言うか慎重って感じかな。」
慎重に歩いているのが分かっていたなら、いきなり抱きつかないで下さいよ。…もう。
「…まあいいや。ルナさん、ケーキを3つ買ってきたので由榎さんを私達の部屋に招待してくれませんか?皆でお茶をしながら、ジェニー君…クローシュ君と事をお話ししたいんで。」
「分かった!…カチカチカチカチ…あ、もしもし由榎ちゃん?コトハがケーキ買ってきたから一緒にお茶でもしないって。ついでにジェニー君の事も話すって。…うん、分かった…じゃあね。」
ピッ。
「で、何でジェニー君からクローシュ君に呼び方が変わっているのかなコトハさん。」
「それの説明も含めて、由榎さんが部屋に来てから話をします。…抜け駆けは、何にしてもよろしくないですよルナさん。」
笑顔でルナさんに言ってみたら、少しばつが悪い様な顔をして顔を反らした。(私が言うと、あんまり説得力が無いような気もしないでもありませんが、こう言うのは言ったもん勝ちなので気にしません。)
コンコン――
部屋に戻って紅茶の準備をしていたら、部屋のドアからノックする音が聞こえてきた。
「あ、僕が出るよ。多分由榎ちゃんだし。」
「すみません、助かります。」
正直、紅茶を入れるときは時間とかが気になるからポットから余り離れたくないんだよね。ありがとうルナさん。
「失礼するわね。」
「お待ちしてました由榎さん。まだちょっと時間がかかるので、そこら辺で待っていてくれませんか?」
さっき茶葉を蒸らし始めたから、意外と時間かかるんだよね。(何だろう実際の時間はそんなになのに体感時間がめっちゃ長く感じるこの感じ……ああ、アレだ。カップ麺を作っている時の三~四分がやたらと長く感じるのと似てる。)
待ってる間は暇だから、フォークとかクロスで磨いとこう。(無論シルバーとかお高いもんではありません。仕送りで買った…百均ほどではないですが、結構安いのです。ティーカップや、その他食器もまた然り。…店頭で見て、デザインが気に入ったので買いました。衝動買いに近いですが、可愛いからまあ良いじゃないですか。と自分に言い訳してます。)
あ、時間来た。そんじゃまカップに紅茶を注いで、ケーキを皿に準備して…っと。
「お待たせしました、お二人とも。」
「おお!待ってました!」
「ケーキ、とても美味しそうね。どこの店で買ったの?」
「『四つ葉のclover』て言うお店ですよ。初めて行くところでしたけど、中々良いところでした。」
この後は、ケーキを分けて(由榎さんが意外にも苺のショートケーキで、ルナさんも意外にガトーショコラを選び、私が季節のフルーツタルトになった。)紅茶を飲みながら各自振り分けたケーキを食べただけなので、割愛。ケーキは大変美味しかったです。
「で、ジェニーとはどうなったの?」
紅茶を飲みながら、由榎さんが今回のお茶会の本題を聞いてきた。
「あ、そうそう。僕それの事が聞きたかったんだ!んで、なんかジェニー君と進展あった?」
「ああ、その事なんですけど…。」
二人に中庭での話と、何でジェニー君からクローシュ君に呼び方を変えたかを説明。(覗き見していた女の子達と、『ニゲル先輩』って言う女の先輩の話しはしなかった。今しているこの話とあんまり関係ないし。)
「ジェニー…まあ、二人いるから今はクローシュと呼ぶけど、ブラコンって噂、アレ本当だったのね。」
「かなり話変わるけどさ、コトハって本当にガード固いね。将来運命の出合いとか取り逃すよ?」
「本当にビックリですよねぇ。…後ルナさん、私は運命の出合いなんてなくても大丈夫ですよきっと。」
ガードが固くても生きていけるさ。それで出合いなくても生きていけるさ。……多分。




