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神々よ、ご遊戯のお時間はそこまでです。  作者: 神村遥


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ドキドキ同棲生活のお時間です。

俺はひょんなことから、ミルディンの家——というか塔で生活することになった。


最初は前世での四十五年間、

女っ気ゼロだった俺にとって、

一つ屋根の下で異性と暮らすなど刺激が強すぎると感じていた。


しかし、そんな甘酸っぱい妄想はあっさりと打ち砕かれた。


「なぁ、見渡す限り本棚しかないけど、一体部屋はどこにあるんだ?」


「それはですね、この塔の地下にあるんですよ!!」


「地下?」


「そうです!!見ててくださいよぉ~」


『作動(マキナ・モウェンス)』


彼女がそう唱えると、微かな振動がガシャガシャという音と共に起こった。


金属の歯車が重なり合い、次の歯車へと連動していくのが肌で伝わってくる。


その音は次第に大きくなり、轟音へと変わっていった。


薔薇色の厚い絨毯が敷かれた床に、四方へ線が刻まれる。


その枠組みは徐々に勾配を付け、直角になるまで角度を大きくしていった。

絨毯(じゅうたん)

やがて、地面があった場所に四角く切り取られた暗い空間が現れた。


「このままじゃ暗くて進めないんじゃないか?明かりはないのか?」


「安心してください、オーガさん!よく見ててくださいよぉ~」


『点灯(アッチェンデレ)』


唱えた直後、手元にボッと火が灯った。


その灯火はニュートンのゆりかごのように、次々と連鎖していく。


「凄いなぁ……。こういう魔法、俺でも使えるようになるのか?」


俺は童心に返ったように目を輝かせ、ミルディンに質問を浴びせた。


彼女は少し目を丸くした後、嬉しそうに答える。


「もちろんですよ!!

魔法には相性がありますけど、これぐらいの魔法なら相性が悪くても、時間をかければ扱えるようになります!!」


「相性があるのか?それってどうやって把握するんだ?」


「そうですね。分かりやすく言うと、発動したい魔法をちゃんとイメージできるかどうか、ですかね。」


「イメージか……。

創造力が大事なんだな。

でも、どうしてもイメージできないものは諦めるしかないのか?

さっき、相性が悪くても時間かければできるって言ってたけど、他に手段はあるのか?」


「はい、他の手段もありますよ!!それは詠唱です!」


「詠唱?なんかカッコいい言葉を並べるやつか?」


「はぁ~、どこでそんな偏見を……。

そんな陳腐なものじゃありません!!

詠唱とは、神々から一人ひとりに与えられたスキルを、誰でも扱えるようにするために何千年もかけて言語化した、英知の結晶なんですよ!!」


「ご、ごめん。そうとは知らずに変なこと言って……」


俺たちは気まずい空気のまま地下室へと向かった。


何十段もの階段を下り、ようやく地下室にたどり着いた。


訓練前だったらこの階段だけで息を切らしていただろうと思いながら、ミルディンのすぐ後ろを進む。


意外なことに彼女も疲れた様子は全くなく、ずんずんと先へ進んでいった。


「この部屋です」


ようやく下りきった先にある部屋を、ミルディンが指差した。


「えっ、ここ?」


明らかに使われていないのが分かる蜘蛛の巣と、錆び付いたドアノブ。


とても人の部屋とは思えない。


「ここって、物置小屋とかじゃ……?」


「ん?何言ってるんですか?

私の部屋もこんなもんですよ。」


俺はこの家(塔)にはこの家のセオリーがあるのだと自分に言い聞かせ、恐る恐るドアノブに手をかけた。


重い扉を開けると、そこには高級ホテルどころか、お化け屋敷のような薄暗い空間が広がっていた。


目を凝らして見ると、部屋の隅に確かにベッドがあるのを確認し、

俺は「まあいいか」と割り切って生活する覚悟を決めた。


住めば都とはよく言ったもので、実際住んでみると一週間ほどで慣れてしまった。


この塔にはなぜか風呂がないため、

俺が魔法を覚えるまでは毎日、ミルディンに魔法で体を綺麗にしてもらっていた。


そのおかげで、間違えて彼女の裸を目撃したり、一緒に入浴するようなイベントは早々に消滅した。


一応、彼女の手料理をご馳走になったこともあるが……

かなり癖のある味で、もはや料理と呼べるのか怪しいレベルだった。


なので、基本的に外で食事を済ませるようにしている。


それに、一緒に住んでいるのにミルディンの姿をほとんど見かけない。


彼女は外での職務と俺への魔法指導以外、ほとんどの時間を部屋に籠って魔法の研究に費やしていた。


俺は休むよう促したこともあったが、


「今こうしている間にも、魔王軍と最前線で戦ってくれている人たちがいます。

その人たちのことを思うと、

休んではいられないって強く思ってしまうんです……。

あ、別にオーガさんにも休むなって強要してるわけじゃないですよ!」


と言われてしまった。


そういえば、レオニダスと決闘する前にも似たようなことを言っていたな。


正直、この国が本当に魔王の手によって滅びる寸前だという実感は、俺には微塵もなかった。


しかし、目の前で必死に頑張っている人を横目に、のんびり寝ていられるほど俺は薄情ではなかった。


だから、ミルディンとレオニダスとの訓練が終わった後も、自室でこっそり自主練を続けることにした。


そんな生活を続けて半年が経ち、この世界に来てからは約一年半が過ぎた。


その頃、王様から召集の命令が下った。


玉座の間には俺とミルディン、レオニダスが集められていた。


王は静かに告げる。


「物資と装備の準備が整い次第、魔王討伐へ向かえ」と


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