85 グッバイ、ゾルラン(2)
今回の話でこの小説は完結します。
・・・・はあ・・・・六階から二階まで階段ダッシュなんて・・・きつすぎ・・・。
「テンヤさん、ここですよ~!」
フイザーがいちいち廊下に出て案内している。
・・・・いや、案内しなくてもいいって・・・・。
それよりもそう大声出しちゃって大丈夫なのか・・・・。
私はフイザーとともに魔法の廊下に入った。
「やっと、来ましたね」
そこにはメアイが立って待っていた。
「でも・・・・なんかピーリーに・・・抜け出すとこ・・・見つけられちゃって・・・」
「ピーリー?」
メアイの目が丸くなった。
信じられない、と言いたそうな目だ。
「ピーリーって・・女王のでしょ?ずっと逃亡を続けてるみたいだけど・・・普通逃亡しててここに来る?」
「来るでしょ、アマノ王女は娘だもの」
フイザーがなぜか答えた。
・・・・・なんか引っかかる気がするけど・・・・。
「で、追いかけられちゃってるんだけど・・・」
「大丈夫。ほら、魔法のゲートがあるでしょ?」
メアイはそう言って、魔法の廊下の壁についている青い光を指さした。
その光はわっか状になっていて、青色版ブラックホールという感じだ。
・・・・・ここから帰れるのか・・・ついに・・・!
「今までありがとうね・・・メアイもフイザーも」
つまり、もうゾルランには来ない。
私は今まで通り、生活することになる。
・・・・・そしたら・・・・メアイとフイザーとはお別れになる。
「ええ・・・こちらこそ・・・って言うの?あなたの世界では」
・・・・ここには『ありがとう』という言葉がないらしい。
「さようなら・・・メアイ、フイザー」
そう言うと、なぜだかフイザーが即答した。
「いいえ、なんか分かんないけどあなたとはまた会う気がするの。だから、そんな泣きそうにしないで」
・・・・それは泣かせないようにするために言ってるのか・・・・?
「テンヤ ヒメ!逃がさせないぞ!」
「ピーリー?」
「「ピーリー?」」
私が驚くと、メアイとフイザーも驚いた。
「まさか・・・言ってたことは本当だったんだ・・・」
「大丈夫よ、だってここ魔法の廊下だから。見つからないよ」
メアイは、楽観的に言った。
ボン・・・・ボン・・・・・
え?何?
「・・・・メアイ!そういえば、魔法の廊下はピーリーも見えるのよ!」
フイザーが急に叫んだ。
そういえば・・・そうだった・・・。
まずい・・・つかまっちゃう・・・!
「テンヤ ヒメ!あんたは逃がさん!絶対に!」
そう言いながら、ピーリーは入口から入ろうとしている。
しかし、魔法の廊下はなにかに守られているようで壁がゼリーのようにプルプル震えながら、入るのを阻止している。
「ヤバい・・・テンヤさん、早く行って!」
「え・・・でも・・」
なんで私を追うんだろう・・・。
普通はアマノ王女を追うべきでしょ?
どうせ、あの人私が異世界の人だって気が付いてるし。
それに置いていったら、メアイとフイザーはその後どうなるんだろう・・・?
「いいから、行って!」
私はうなずいて、ゲートの中に入ろうとした。
「待って!」
急にメアイが私を引き止めた。
「何?」
「そうよ、どうしたの?テンヤさんをそのまま残したいの?」
フイザーが壁を抑えながら、メアイを睨んだ。
「そうじゃないの・・・テンヤさん、ドレスのままでしょ?そのまま行ったら、怪しまれるでしょ?」
メアイはいつの間にか持っていたのか分からないが、制服と眼鏡を差し出してきた。
私はコンタクトを付けている目の上から眼鏡をかけて、制服を持った。
代わりに王冠をメアイに預けた。
・・・・・もうドレスから制服に着替える時間なんてない。
私はゲートの中に入った。
「テンヤ ヒメ!覚えてろよ!絶対に逃さない!!!!」
その時、最後に聞こえたピーリーの声がいつまでも耳に残っていた。
「は~い・・・ええっと、姫さんが書いた『441X』という答え合ってるか~?」
・・・・・え?
気が付いたら、私は席に座っていた。
さっきまでかぶっていた王冠はもう頭にはないし、制服を着ているし、コンタクトも付けていない。
髪だっていつものおさげだし、眼鏡だっていつもの。
「「合ってます」」
クラスメイトは先生の問いに答えていた。
前の時よりも少し進んでいるが、私はずっと帰りたかった数学の授業に戻ってきたようだ・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!




