表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
85/86

84 グッバイ、ゾルラン(1)

うう・・・・本当にコルセットって痛い・・・・。

こんなもの早く取りたい・・・・!

「王様、アマノ王女様が到着しました」

「よろしい、ご苦労」

ガシスは侍女にそう言うと、私に向き直った。

「これでアマノも女王になるのだぞ。・・・・・本当はピーリーも来てほしかったのだが・・・・」

「え?」

最後の言葉はガシスの独り言のように小声で言っていたが、内容はばっちり聞こえた。

「な、なんでもない・・・!」


今日の王冠式の会場は昨日の舞踏会で使用した三階の会場・・・・ではなく、

それより上の六階にあった。

・・・・これは二階に駆け下りるときに大変になってしまうけど、しょうがない。

とりあえず、迷子にならないことを願おう・・・・。

ガシスがその目の前の重い扉を開くと、真っ先に真っ直ぐ前にのびる赤いカーペットが目についた。

そしてその両脇には席がずらりと並んでいた。

・・・・・・なにこれ・・・?

結婚式なの?

教会?

「ほら、何突っ立ってんだ?早く前に進め」

・・・・・そっちこそ・・・・・。

なぜ、侍女や侍従のようにドアの近くに立っているのか・・・・・?

王様でしょ?

それに娘の王冠式だし(実際のところ娘ではないけど)。

「ガ、ガシスは中に入らないの?」

「当たり前だろ。昔から、王冠式では家族は入らないことになってるってずっと伝統じゃないか!伝統を忘れたのか!」

いや、知らないし。

だってその伝統、聞かされてないから。

第一、私はアマノ王女じゃないし。

私はテンヤ ヒメだから。

あなたにとって、私は異世界の人で帰るべき場所があるから。

「はあ・・・・・」


私はしょうがなく、カーペットの上を歩き始めた。

歩いた瞬間、たくさんの視線が私のところへ集まっているのが分かる。

・・・・・ああ、昨日と同じ・・・・。

あの大恥をかいたときと同じ視線・・・・・。

・・・・ああ、だめだ・・・思い出してしまう・・・。

まあ、席にチャン国王とその隣にガリバー王子が笑顔で手を振ってきたのもあるけど。

昨日のこと、すっかり忘れてるの?!

それで、どんどん前に進んでいると、右の方になぜか私をジロジロと見てニヤリと笑っている侍女の人がなぜか座っていた。

・・・・・・アマノ王女?

あ、来たんだ・・・・!まあ、目的はオリレルだと思うけど。

なんでニヤついてるんだろう・・・・?

・・・もう・・・私が王冠を受け取るのが嬉しいんでしょ、どうせ。

でも私はあともう少しでここから抜け出すんだから。


カーペットの道もついに終わり、私は正面にいるおじいさんを見た。

どうやら、このおじいさんが私に王冠を与える人らしい。

手には分厚い本を持っており、その隣にはキトワがいて手にはクッションに置かれた王冠がある。

今日こんにちより・・・・あなたは・・・・ゾルランの女王として政治を行うことになる・・・・

これより十七代目のゾルランの女王、アマノ女王となる・・・・!」

・・・・・なんか言葉が独特のような・・・・。

おじいさんはキトワから王冠を受け取り、私の頭に載せた。

・・・・本当はこれ、私が行うことじゃないのにな・・・・。

「振り向いてください」

おじいさんに小声でそう言われ、振り向いた。

すると、「万歳!万歳!」と席を立っている人は一斉に立ち上がって、歓声をあげた。

・・・・・・え?

「なんでピーリーがいるの・・・?」

その中に侍女の格好をしたあのピーリーが紛れていた・・・!

なんで・・・?

「なんですか?」

小声に言ったつもりだったけど、どうやらおじいさんには聞こえてしまったようだ。

「いえ・・・・なんでもないです・・・」

なんとか、抜け出さないと・・・。


王冠式が終わった後にはすぐ祝福パーティーになった。

抜け出せるチャンスはこの時しかない。

・・・・珍しくチャン国王とガリバー王子は他の国々の人の対応に追われていて、私には見向きもしない。

それになぜか「おめでとう」とか言うために寄ってきたりはしなかった。

・・・・そんなに冷たいの?やっぱり常識外れだ・・・ここ・・・。

ただ、そのおかげで抜け出すことができる。

私は大きな扉に手をかけた

「アマノ女王様?どう、されたんですか?」

振り向くと、腕組みをしたピーリーがいた。

・・・・どうしよう・・・・。

「あ、トイレ行こうと思って・・・」

「トイレ、あっちですけど」

ピーリーはすぐさま反対側の方に指を指した。

・・・・あちゃあ・・・・やっちゃった・・・。

なんでこういう時にトイレが反対側にあるわけ?!

「伝統、破る気なんですか?・・・・テンヤ、ヒメ」

・・・・・な、なんで・・・・?

私はあの時、名前を言っていないはず・・・・。

・・・っていうかなんで追い込まれてるみたいになってるの?

「お母さま?!」

アマノ王女がピーリーに近寄った。

よし、チャンス!

私は扉を開けて、一目散に階段へかけていった。

「ああ!逃げちゃうじゃない!誰かとらえなさい!」

遠くでピーリーの声がした。

・・・・・それよりアマノ王女をとらえてほしいんだけど・・・・。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ