37 はあ??
幸い、椅子に座っている、アマノ王女には気づかれなかった。
多分、それは男の人と声が重なったからだろう。
「そなたは、私の彼氏に選ばれたのだ」
「はい」
「はあ?」
意味が分からない。
「しっ!!」
また全身真っ黒のメアイが私の口をふさいだ。
真っ黒の衣装はやめてほしい・・・真っ暗なこの穴だと見わけがつかない。
「侍女よ、この男・・・・名前をなんていうんだ?」
「サンタスです」
男はさらりと言った。
・・・サンタス?なにそれ・・!!
サンタスって、数学にしたら3+だよね?
・・・・ゾルランのネーミングセンス、ないなあ・・。
私は笑いをこらえていた。
「侍女よ、サンタスを例の場所に連れていけ」
「「はい、分かりました」」
横の二人の侍女はさっと大きなせんすをどけると、サンタスを横ではさみ、なぜだかさっきのステージまで戻った。
どこ、行くんだろう・・・。
興味津々で、三人のあとを追おうとすると、メアイに強引に穴に引き戻された。
「いたっ」
「アマノ王女に気づかれたらどうするんですっ!?」
そうだ、忘れてた。
アマノ王女も一緒に行ったわけではないのだ。
アマノ王女はいすにまだ座っている。
すると、アマノ王女が立ちあがり、侍女の置いていった、大きなせんすの一つを広げて持ちながら、侍女とサンタス同じく、ステージに戻っていった。
「はあ・・よかった」
一息ついて、出ていこうとすると、またメアイが今度は後ろの襟を持って引き戻した。
「いったっ!」
でも、今度は、なぜ引き戻したか分かった。
「隠れよっ」
「なんで私が上になるんですかっ!」
私は、メアイを布団替わり?布替わり?にして、この穴の一番奥に隠れたのだ。
メアイと私の顔の距離がとても近い・・・。
「だって、真っ黒でしょ?穴の真っ暗さと溶け込んで気づかれないよ」
「私はどうなるんですかっ!?」
小声で、話していると、穴の入口に人影が見えた。
いくら、メアイで隠したとはいえ、目が片方だけ見えていた。
それは、さっき去ったはずのアマノ王女・・・。
すると、彼女は乱暴にメアイを取り除け、私にも乱暴に引きずり出した。
「お久しぶりねえ、天野 姫。まさか、ここで会えるとは」
フルネームで言わなくてもよかったのに。
ただ、目の前のアマノ王女は、腕を組み仁王立ちをし、とても上から目線だった。
文字通り。
完全に私を軽蔑して生意気だった。
私が唇をかみしめ、アマノ王女を睨みつけていると、後ろのメアイが立ち上がった。
「アマノ王女、私のことを忘れないでくださいっ!」
アマノ王女は、しばらく間を空けて、「ああ、思い出した」と手を叩いた。
「もしや、アマノ王女様、私を忘れていましたよね」
眉間にしわを寄せて、怒ったように言った。
「・・いやいや、忘れてないよ。ちゃんと覚えてるから」
嘘つけ。
今、めっちゃ必死にごまかしてるのに。
手もブンブン振ってさ。
「逃亡を手伝ったのは、私ですからね・・?」
独り言のように言った。
ああっ・・・メアイはこういうの引きずるタイプか・・・。
そしてアマノ王女は何もなかったように私に向き直った。
その間、私は立っていた。
「どうやって、ここを見つけたの」
「森に逃亡したら見つけたってだけ」
_「私ね、お父様に見つかりたくないの、まだやり残したことがあるの。」
その時、アマノ王女が一度、お城に話をしに来た時の言葉を思い出した。
「やり残したことって、これのこと・・・?」
「そう!」
アマノ王女はドヤ顔で言うが、全然ドヤで言うことではない。
あなたは、男好きだったの・・・?
しょうもない・・・・。
私だったら「やり残したことは何ですか?」って質問されたら「勉強!」って言うよ?
そんなことに時間をかけるの?
何のために?
だいたい、そのせいで私はいろいろあって、こうなってしまったんだから。
「しょうもなっ」
気が付いたら、ポロリと本音を言っていた。
「何よっ!」




