35 【メアイの生活 その4】
【メアイの生活】シリーズ(?)最終話です。
メアイは、日が出てきたばかりの時には、畑に座り込んでいた。
フイザーがくれた大きな袋はその時やっと見たのだ。
(ええっと?入ってるのは・・・縄と、私の発明したクリーム?・・とマッチとランプとガムテープ?・・あとは・・真っ黒な服?・・・さすが、フイザー、いつも真っ黒なだけ、荷物にも真っ黒な服を入れてきたわ・・)
メアイは、フイザーの真っ黒な衣装に失笑を浮かべ、呆れていた。
この黒い衣装はありがた迷惑である。
(こんな服、いつ使うの?)
でも、『侍女』、『お城の人』という身分を隠すのにちょうどいい。
メアイは、上から、その服を着た。
しかし、その服はぴったりと体にくっつき、しかも下にはさらに服を着ていたので苦しくなった。
(まあ、いいわ、じきに慣れる)
メアイは、大きな袋を引きずりながら、真っ黒な服でトボトボと、畑の中を歩いた・・・。
しばらくすると、畑は抜け、代わりに野原が広がっていた。
メアイは、小さな頃、ここで遊んだことがあったので、この野原を抜けたら、森に入ることが分かっていた。
しかし、ここまでくるまで、お腹がすいてしまったので、野原のど真ん中で、薪の代わりになる、木の枝を探してきて、その中に、マッチで起こした火をぶち込んだ。
火は、ボーっと燃え、ゆらゆらと舞っている。
(昼だけど、さすがに大根は火を通さないと・・・・)
メアイは、乱暴に大根をちぎると、余った木の枝にさして、火であぶった。
(あ~あ、これからどうしようかなあ・・・)
いつまでも、この野原にいるわけにはいかない。
この野原には草しかない。それよりも、森を目指した方が、こっちよりも食べ物がある。
(今頃、テンヤさん、どうしてるかなあ・・・)
それはずっと考えていなかった。
あまりにもいろいろなことがありすぎて、心に余裕が持てなかったのだ。
(きっと、今頃アマノ王女を見つけて、自分の本来いるべき場所にいるのかなあ・・)
良い感じに焼けた、大根を火から出して、パクっと食いついた。
「あつっ」
それでも、メアイは、大根を平らげた。
(これで、二日はもつかなあ・・)
もともとメアイは、小食で少しの食べ物でも二日~三日は生きられる。それは、きっとお城で働いたからこそ得た能力だった。
火が消えたのを見て、またメアイはトボトボと森の中に入った。
その後は、時が過ぎるのが早く感じた。
メアイが、水や食べ物のそろった、草むらを見つけたときにはもう、真夜中。
慣れない、草むらと奮闘していたらもう朝。
朝に水を飲んで、寝転んでいるともう、真っ暗。
(昼、通り越した?)
と疑問に思うほどだった。
(これを毎日、続けるのか・・・・悲しいな・・)
悲しいというか、つまらないというか・・・。
ガサガサ
(人?人がいるの?)
めったに聞かない、音に反応をした。
(もしかしたら、私の後を付けた護衛かも・・・いやもしくはお城の人の誰か・・)
それはどんどん近づいてくる。
(だったら、しっかり懲らしめておかないと・・・)
その人は、金ぴかの建物の階段を上る真っ最中だった。
(いまだ)
メアイは、横から押しのけた。
「ひいいいいいいいいっ」
「動くなっ!黙れ!」
(なんでこんなに驚くだろう?そして、うるさいなあ・・)
「喋るなっ!」
(この人、逃げたら私のことを言うかもしれない。・・・・確か、ガムテープがあったような)
しかし、メアイの大きな袋には、なぜだか、ガムテープがなかった。
「あれ、ガムテープどこ行ったかな・・・」
どこを探しても、何度探してもあったはずのガムテープがない。
「あれ・・・?」
(なんで?なんでないの・・?)
必死になって、探しているが、やっぱりなかった。
ないものはない。
(どこに置いていった?まさか、野原?畑?それともこの森に行ってくる途中?)
「あれ・・・?」
(まさか、こんなとこで使うなんて、でもなかったら)
「メアイっ??!」
「うわあああああああああああああああっ」
(なんで、なんでこの子は私の名前を知っているの?やっぱりお城の子なんだわ!)
「なんですかあ・・・・・心臓に悪いじゃないかっ!」
しかし、無意識にこの言葉を言ったことはメアイは覚えていない。
「ほら・・分からないの?・・・これっ!」
彼女はそう言って、丸い円二つと自分の着ている服を見せつけてきた。
(ん?何?眼鏡と、農民の服?それが何を示すっての?・・・眼鏡、農民・・?テンヤさん・・・?テンヤヒメ・・?!)
暗がりでわからなかったが、テンヤヒメの顔だった。
「・・・・あっ!テンヤさん・・・?!」
「そうです」
彼女は、きっぱりと言った。
(でもなんでテンヤさんが・・?・・・まさか、ここで会うとは・・・)




