34 【メアイの生活 その3】
(さて、ここからどう逃げるか・・・・)
メアイは、ずっと夜中中そのことをずっと考えていた。
牢の食べ物をもらった後、ずっと考えていた。
(でも、逃げたところでどうするの・・・?)
「う~ん・・・」
「・・・くすぐった」
メアイは、何かに起こされ、目を開けた。
どうやら、メアイは寝てしまったようだ。
「あっ」
(天井に紐がぶらさがっている・・・)
と言うよりも、縄に近いが。
メアイは、ずっと逃げることしか考えていなかったので、ためらわず、縄に飛びついた。
窓の外では、誰かが、引っ張っているらしく、メアイが飛びついても、紐は落ちてこなかった。
どんどん上っていき、ついに窓の外へ出た。
ただ、その一部始終を隣のレヴィが見ていた・・・。
「フイザー?」
紐を下ろしていたのは、全身真っ黒の衣装のフイザーだった。
「そうよ」
「いい加減、やめないの?その真っ黒衣装・・・」
「ええ。・・・それより、そんなことをいう場合じゃないわ、逃げなきゃ」
フイザーの今いるところは、一階の食堂付近の通路。
しかし、食堂の真ん前には今頃、護衛が立っているだろう。しかも、真夜中だからなおさら。
メアイとフイザーは、食堂とは反対方向に歩いた。
逃げるとは言っても、足音を立てたら、護衛に気づかれるだろう。
この通路では、先を行くと、四つの道のドアに分かれる。左から順に、侍従・侍女の共有部屋、王様の部屋、お城の玄関二つ。
左側の二つは、もちろん開けたら、ばれてしまうので、
先頭に着いたフイザーはよく使う、左から三番目、つまり右から数えて二番目のドアを開けた。
「ええ?」
フイザーは、ドアを開けたまま固まってしまった。
「どうした?」
「・・・・行き止まり」
(え?そんなはずない!!)
メアイは、もう一つの右端のドアを開けた。
すると、開けたとたん、ガシス王が飛び出してきた。
メアイは、じりじりと後ろに引いた。
「何をしている?この夜中で」
どうやら、ガシス王は、まだ目の前の人の顔が分からなかったようだ。
フイザーは、それを見て、まだ開けていないドア二つを開けた。
左端のドアはやっぱり、侍従・侍女の共有部屋で、キトワが飛び出してきて、フイザーを怪訝そうに睨んだ。
左の二番目、右から三番目のドアが正解のお城の玄関につながっていた。
フイザーは、メアイの手を掴み、そのドアの中に入った。
その直後、ガシス王の
「護衛!逃亡者を捕まえろ!!」
という高らかな声が響いた。
そして、護衛の音のそろった足音がどんどん近づいている。
フイザーとメアイは、無事、お城の外まで出ていくことができ、必死になって、走っていった。
お城の外には、階段があるが、他の国ほど、段があるわけではない。
階段を降りると、たくさんの護衛の姿が見えた。
もう、追いつかれるまであと少しであった。
(こんなにたくさんの護衛から逃げ切れるのか?・・・)
「メアイ、しっかり逃げ切ってよ。あと、これ、荷物そろえといたから。その中に一応、緊急用の魔法の本、入れといたから、何かあったらあたしを呼んで。あと、逃げる場所はいつもの場所でね」
フイザーは、一気に用件を言いのけると、大きな袋をメアイに渡し、さっさと姿を消した。
(・・・なんで、いつも私に「さよなら」を言わせてくれないかな・・・)
メアイは、うんざりして、真っ直ぐ町方面ではなく、階段の後ろ側に回った。
「あれ、どこ行ったんだ」「確かに姿を見たよな」「幻なのか?」
護衛の口々に言う話声と、足音が遠ざかっていくのを知り、やっとメアイはホっとした。
(よかった・・・まだ気づかれてないみたい)
実は、メアイとフイザーの二人しか知らないが、お城の外の階段には、空洞があり、隠れるのにちょうどいい、場所があるのだ。
メアイは、お城の裏側の真っ直ぐの道を走っていった。
(よかった、まだ気づかれてない・・・)
走っていくうちで、誰でも気軽に利用できる畑を通り、メアイは、その中の大根、キャベツを乱暴にそれぞれ三つほど、引っこ抜き、フイザーにもらった、大きな袋の中に入れた。
そして、メアイがやっとフイザーのくれた袋の中を確認したのは、朝方の畑の中だった。




