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DOG LIFE  作者: MIYABI
第2章 森の海
14/21

EP2-5 兄の苦悩と無邪気な妹

今回も、主人公は苦悩します。

 どのくらいの時間たっただろうか?先ほどまで続いていた集中力の低下を感じて、つい腿のあたりに手を伸ばす。

 ただいま絶賛、地獄の真っ最(べんきょう)中。休日だというのに全く外に出ることもなく、ただひたすらに机にかじりついている。いつものこととはいえ、流石に太陽が恋しい気分。


 ニートかいっ!!

 もしくはバンパイア?


 全ては自分の将来のため、そう割り切っていても、毎回、休日ではない休日を過ごすことは苦行以外の何物でもなかった。

 流石にこれ以上は保たないと感じたために休憩に入ることにする。

 知っているだろうか?人間、いくら頑張ろうと1時間弱くらいしか集中力が続かないそうだ。

 集中していない状態でいくら勉強を続けようとも効率は途端に下がる。ではどうする?

 回答 定期的に息抜きをします。

 俺の息抜きはこれ。飼い猫。

 種類としてはアメリカンショートヘアー。名前はユリ、メスの1歳。

 こいつがとてもかわいい。

 正直に言おう、ユリを飼うまで自分では此処までドはまりするなんて思いもよらなかった。

 なぜだろうか?他の家族には一定の距離を置いているように感じる接し方しかしないが、俺に対してはすごくかわいらしい。俺にだけなついているといえばいいのだろうか?

 家にいれば、まず間違いなく俺の元へとやってくる。

 部屋にいれば入ってきて足に体をこすりつける。抱き上げると足の上で昼寝をし始める。撫でてやると、気持ちよさそうに手に顔をこすりつける。

 そして腕に抱きあげると、体を伸ばしてきて顔をなめる。

 甘えてくるしぐさ、その表情。

 何よりも、その鳴き声の愛らしいこと。

 おお、猫至高。だからひたすら愛でる。全力で愛でる。

 ああ、勉強の疲れがどんどん癒される。精神的な疲労がどんどん抜けていく。

 こいつめっこいつめぇっ!!。

 夢中で撫でまわしていると、ご機嫌なのか顔を嘗め回してくる。

 はははっ、くすぐったいじゃないか。

 余りにかわいらしくて抱き上げてベッドに横になる。

 変な想像はしないでね?一休みするだけだよ?ただ単に一緒に短時間、昼寝をしようと思ってね。

 勉強の疲れと、猫の癒しによって、程よい眠気にさらされる。ぼんやりと意識を手放そうとしていたその時、ふっとかすかに異常を感じる。


 あれっ?今日はユリの奴、やたらとなめてくるな?


 ちょっと気になったが、そのまま放置。すると、さらに異常事態に。



 猫が、体中を、なめ、まわし、はじめた



 ちょっと待て~~~~~~っ!!


 驚いて飛び起きようとしたが体が動かない。その間にも、ユリは体中をぺろぺろ。


 ちょっ、まっ、らめぇ~~~~


 猫を制止しようと手を動かそうとする。


 ずきっ!!


 右手が異常に痛みを訴え、動かすことができない。

 他の部分を動かそうと必死に力を込めてみるが、やはり動かない。


 ちょっ、それ、マジでやばいからっ!!!!!やめっ!!!!!!!


 するとどうだろう?意識はむしろはっきりしてきてもおかしくないのに、徐々に感覚が鈍くなってきている。例えるなら、高熱を出しているときに似ているだろうか?

 体から意識がはみ出しているとでも言おうか?


 なんでぇっ!!!


 必死に体を動かそうとしていたが、やがて意識はどんどんと薄れていった。






 ぺろぺろ


 『・・・・や・・・・・・・・やめっ!!』


 うなされ、そしてはっと気が付く。

 ここはどこだろう?

 ぼんやりした意識は、自分の状況をはっきりと認識するに至らない。

 なぜ、目の前に犬の尻が見えるのだろう?

 なぜ、その犬がこんなにも巨大に見えるのだろう?

 なぜ、木の中に入り込むことができているのだろう?


 なぜ、部屋で寝ていたはずなのに見慣れない場所で目が覚めたのだろう?


 混乱する中、徐々に自分の置かれた状況がよみがえってくる。


 「・・・・・そうだ、犬になったんだった・・・」


 夢のような現実の世界が、現実のような夢の世界の郷愁を呼び起こす。

 だって考えてみてほしい。

 ついこの間まで学生だった俺が事故で死亡。

 つい昨日は、犬になって九死に一生を得たって、それなんてラノベ?


 ぺろぺろ


 そしたら寝起きに妹が体中を嘗め回していました。


 端的に書くと卑猥だな、これ。

 恐らく、毛づくろいのつもりなのだろう。ひたすら全身を嘗め回す感触に、現実逃避気味の考えが浮かぶ。

 なぜかって?

 だって、少しでも気持ちがいいと思ってしまった自分にやばいという気分もあるからだ。


 性的な意味ではありません!!


 犬になったのは良い(まあ、最高とは言えないし、なった後でケチをつけようともどうしようもないというところだが)、毛づくろいするもの、まあ良い。

 ここで問題になってくるのは、俺に人間としての意識があるという事だ大問題である。


 まず第1に

 全身をなめる、という行為に抵抗がある事だ。

 前世界での飼い猫の行動を見ていると、どうも毛づくろいというのはいわゆる「お手入れ」に相当する行為なんだろうと思う。恐らく、犬でもそう違いはないだろう。

 考えてみてほしい。

 もし、自分の体が汚れていて、それを自分で嘗めてきれいにするだろうか?

 ・・・・・・・・まあ、特殊な趣味がある人も存在するかもしれないが。

 体は犬、心は人間。犬である以上は、それが正常なんだろう。

 だけど人間だったころの意識がその行為に対して、なんというか・・・・・ねぇ?


 そして第2、これ重要。

 今、妹が毛づくろいしてくれているってことは、恐らく肉親のコミュニケーション的なものなんだろう。

 ということは・・・・・・・・俺もやってあげないといけないんだろうか?


 妹の、全身を、嘗め回す?


 ・・・・・・・・・だめだろ。

 なんか絵的にも、気持ち的にもアウトって感じだし。

 犬のくせに何考えてるんだって言われそうだけど、性的な気持ちなんてみじんもないのだけれども。

 気持ち的に、「アウトッ!!」


 他にも、犬になってからのトイレだとか、考えたら全裸生活だ、とか考えていると、いつの間にか服従のポーズでおなかのあたりを嘗め回されていた。

 ちょっと待て妹よ。


 「ちょ、ちょっと}


 「?」


 次は自分がしてもらえるのかと思ったのか?やたらとこちらに背を向けて近寄ってくる。

 何も考えず、無邪気に、純粋にじゃれてきているのだろう。だけれども無理ですっ!!できる気がしませんっ!!

 妹は、こちらの気持ちなどお構いなしにお尻ふりふり。やたらとうれしそうだ。

 俺の事を「お兄ちゃん」と教えたら「にいちゃ」っと、舌っ足らずで呼ぶことはできるが、まだまだ会話を行う事ができない。

 言葉も通じにくい、体の痛みでジェスチャーもしづらいし、やったところで通じるかはわからない。

 どうする?


 迷った挙句に行った行動は一つ。

 妹のおでこを軽くひとなめしてみる。気持ち的にはおでこにキス、っという感じだ。

 この行為ですらすさまじく勇気のいる行為だった。

 彼女すらいなかった男には難易度の高い行為だと理解してもらいたい。例え、それが犬であっても変わらない。

 羞恥で転げまわりたい気分だ。

 その行為が功を奏したのか、妹はすこし落ち着いたようだった。

 何とか妹を抑えることができたため、とりあえず食事をとろうと提案する。毛づくろいの事は忘れてくれるのがベストだ。

 食事は、もちろん生命の水(ケセド)。生後2日目の赤子に固形物が食べられるはずもない。

 妹は、悦びに尻尾をぶんぶんと振り回し、茎にしゃぶりつく。


 こんな感じで、起きてすぐに俺に精神力はご機嫌な感じでゴリゴリと削られた。 これから先が思いやられるというものだ。

 まあいいや。

 妹の気がそれている今がチャンスだともいえる。

 無邪気な妹を横目に、俺は実験を行おうとしていた。

 相変わらず右手は痛む。恐らく骨折しているのだろう。

 そして体力。

 昨日、最終的に確認した時はHP 9だった。それが、一晩、休むことで35まで回復している。全快はしないのだろうか?

 では、ここで食事をとってみたら?

 ドキドキしながら命の水(ケセド)を飲む。そして、確認してみて驚きを感じることとなった。


 HP 35/50 → 50/50


 回復している。

 おお、すごい。

 生命の水(ケセド)っていわゆる、回復アイテム(ポーション)ってやつではないのだろうか?

 これは良い発見だっ!!

 気をよくして、続けて実験を行う。

 次の実験は「回復力」についてである。

 今、俺は右手を(恐らく)骨折している。一晩たった今も、ただひたすら傷みが続いている。動かすのもつらい。

 骨折しているのであれば、一晩で骨折が治るものではないので、当たり前といえば当たり前なのだが。

 ここで問題となってくるのが、ここが野生の森の中だという事だ。

 安全な街、家の中ではない。危険な森の中。

 そんな中で、骨折してまともに動くことができない、というのはいつ死んでもおかしくないとも同義でもある。

 普通の状況であったならば、詰んでいた可能性もある。

 しかし、ここでその問題を解決してくれる可能性があるものが、俺の魂源(エクストラスキル)である無色透明(クリスタル スフィア)

 自分の回復力すら、いじることができるという便利能力。

 正直、鮪と相対した時には使えない能力だと思った。俺に能力が強力だ、と言っていたアザリーの頭は正気かどうかを疑った。

 だけど、もしかすると?

 ここで思った通りの結果が出るのならば、本当に強力な能力なのかもしれない。

 経験値(EXP)を確認してみる


 経験値(EXP) 138 →141


 あれっ?

 あの鮪、あんまり経験値持ってなかったのかな?

 微々たる数値の上昇に、やや残念な気持ちにはなる。

 だけれども、能力値の上昇はどこまで行っても経験値(EXP) 1しか消費せずに済む、という特性があるのであまり問題ではないかもしれない。

 あらためてドキドキしながら操作を行う。


 RES(回復力)   1 → 99(MAX)

 経験値(EXP) 141 → 43


 RES 1の状態から一気に最高まで上げてみた。これから先、どんなことが起きるかはわからない。RESはあるに越したことはない。というか、あった方が良いだろう、そういった気持ちで上げてみた。

 まあ、少しでも早く痛みが取れてほしいという気持ちが強かった、というのもあるけれど。


 ドキドキしながら待つこと数秒。

 右手の痛みがすっと消えていくのを感じた。


 やった!!成功だ!!!


 自分の考えが正しかったことに喜びを感じた瞬間、異常を感じる。


 なんだっ?異常におなかが減ってきた??


 なんといえばいいのだろう?まさにお腹と背中がひっつくような感じといえばいいのだろうか?

 つい先ほど食事をとったばかりなのに、猛烈な空腹感に襲われていた。


 な、なんでっ?


 どこかおかしいのだろうか?

 真眼(サードアイ)で己のステータスを確認した時、その異常に気が付き愕然とする。








 その異常とは


 目に見える速度でHPが減って行っていた。

経験値(EXP)の内訳は鮪撃破1、絶望的状況での生還2となっています。

今後、何話かで能力の話を詰めていきたいと思っています。


前回までの悩みに比べると、限りなくばかばかしいことで主人公は悩んでおります。いずれ人化してもらう予定ではありますが、そうなるとこの子はどうなるのでしょうかね~w

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