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どうやら異世界転生ってやつ?〜令和の垢抜け研究者(自称)が、社交界をまるごとプロデュースします〜  作者: 天野みんと


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21/29

第21話 デートには、どんな私で行く?

Instagramで漫画投稿を始めました!ぜひのぞきに来てください。

Instagram:天野みんと|AI漫画 @amano_mint

「ローラ」

「はい」

「今度、ロイさんと二人で出かけることになったの」

「はい」

反応が薄い。

「共同事業を始めたお祝いで」

「はい」

「二人で」

「はい」

何。

「驚かないの?」

「何にでしょう?」

「二人で出かけることに」

ローラは少し考えた。

「そうなることもあるかと」

あるの?

私の知らないところで何が。

◇

お祝い当日。

「うーん」

私は衣装部屋を見る。

「何を着よう」

ローラの目が、ほんの少しだけ楽しそうになった。

「いつも通り、お好きなものをお召しになればよいのでは?」

「それが分からないの」

「お嬢様が?」

何、その驚き。

「分からないものは分からないよ」

普段なら早い。

まず、どんな自分でいたいかを決める。

そこからドレスを選び、髪、メイク、アクセサリーを合わせる。

でも今回は、その最初のところで止まっていた。

ロイさんと二人で出かける私。

……情報が増えてない。

「ローラ」

「はい」

「ロイさんって、普段の私をどう見てると思う?」

「難しいご質問ですね」

「いつもの私。どんな感じ?」

ローラは少し考えた。

「お仕事がお好きで」

「うん」

「行動が早くて」

「うん」

「ときどき早すぎて」

「余計なの入った」

「ロイ様によく止められていらっしゃいます」

「…………」

そうだけど。

「つまり、仕事してる私じゃん」

「普段よくご一緒になるのがお仕事の場ですから」

確かに。

でも今日は仕事ではない。

そこが難しい。

◇

とりあえず着てみることにした。

まず淡いラベンダー。

鏡を見る。

綺麗。

似合っている。

現世の私でも好きだった系統。

「どう?」

「とてもお似合いです」

「だよね」

ただ何か違う。

「これ着てロイさんに会ったら、そのまま帳簿出されそう」

「……分かる気がいたします」

やっぱり?

仕事感。

却下。

◇

次は柔らかなローズ色。

少し甘め。

「可愛い」

これは普通に可愛い。

鏡の前で角度を変える。

「ローラ」

「はい」

「これ、ロイさんに可愛いと思われそう?」

言ってから止まった。

ローラも止まった。

「…………」

「…………」

何。

「今のなし」

「承知しました」

「忘れて」

「難しいかと」

忘れて。

◇

三着目。淡いサックスブルー。

清楚。

上品。

かなり似合う。

でも。

「優等生っぽい」

「お嫌いですか?」

「嫌いじゃない。でも、今日じゃない気がする」

ローラが笑う。

「ずいぶん難しいですね」

本当。

何で。

人のことならもう少し分かるのに。

◇

四着目。柔らかなアイボリー。

よく見ると、小さな花の刺繍が入っている。

生地も軽くて。

歩いたら、少し揺れる。

袖を通して。

鏡を見る。

「…………」

好き。

普通に好き。

「これ」

「はい」

「これがいい」

今までと違って、すぐに決まった。

「ロイさんにどう見られるかは?」

聞かれて少し考える。

「これで会いたい」

口から出た。

あ。

そういうことか。

◇

私は、いつの間にか順番を逆にしていたらしい。

普段、相談者には最初に聞く。

何が好き?

どう見られたい?

そしてどうありたい?

なのに自分のことになったら、最初から「ロイさんにどう見えるか」ばかり考えていた。

それも大事。

でも私が何を着たいのかも大事だ。

「これにする」

改めて言う。

ドレスが決まれば、次は早い。

髪。

いつもより少し柔らかく。

全部をまとめず、下ろす。

顔周りには軽く動きをつけて、艶は残す。

メイクはローズ系。

血色を足す。

でも、頑張ってる感は出しすぎない。

そしてアクセサリー。

パール。

……違う。

透明な石。

これも少し違う。

「花」

小さな花のイヤリングを出した。

ドレスの刺繍と、ほんの少しだけ繋がる。

「これ」

完成。

◇

鏡を見る。

「…………」

可愛い。

うん。

かなり。

ただ一つ問題がある。

「ローラ」

「はい」

「これ、デートに行くみたいじゃない?」

ローラが不思議そうに私を見る。

「デートなのでは?」

「…………」

「お嬢様?」

デート。

言葉にしてみる。

ロイさんと二人で。

仕事ではなく出かける。

場所はロイさんが決める。

私はこんなに服を悩んでいる。

しかもさっき普通に。

ロイさんに可愛いと思われるか聞いた。

「…………」

なるほど。

「デートか」

「今お気づきになったのですか?」

「お祝いって言われたから」

「お二人で?」

「うん」

「それを一般に、デートと呼ぶこともあるかと」

ローラよ。

何でちょっと楽しそうなの。

◇

でも、不思議と大騒ぎするほどではなかった。

恥ずかしい。

とか。

どうしよう。

とか。

そういうのはある。

でも、それより一つ分かったことの方が面白い。

「私」

鏡を見る。

「ロイさんに、可愛いって思われたいみたい」

ローラが柔らかく笑った。

「そうなのですね」

「うん」

これはたぶん事実。

なら。

記録しておこう。

◇

ただ可愛く見られたいだけではない。

私はもう一度鏡を見る。

この服で何をしたい?

美味しいものを食べたい。

可愛いものがあったら見たい。

仕事以外のことも話したい。

ロイさんが笑ったら。

私も笑いたい。

「あ」

分かった。

「楽しんでる私」

「はい?」

「今日のコンセプト」

可愛い私。

綺麗な私。

より。

楽しんでる私。

そっちがいい。

自分が一番楽しくいて。

その結果可愛いと思われたらもっと嬉しい。

「これでいく」

決まった。

◇

恋愛なのかどうかはまだ分からない。

でも分からないなら。

見ればいい。

話せばいい。

一緒に過ごしてみればいい。

私はその方が得意だ。

◇

「ローラ」

「はい」

「今日、何着試したかは内緒ね」

「承知しました」

「特にロイさんには」

「もちろんです」

よし。

部屋を出る。

廊下でお兄様と会った。

「決まった?」

「何がですか?」

「服」

「…………」

何で知ってるの?

「ローラ」

「私ではございません」

即答。

じゃあ誰。

ベルフォード家。

最近情報が回るの早すぎない?

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