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どうやら異世界転生ってやつ?〜令和の垢抜け研究者(自称)が、社交界をまるごとプロデュースします〜  作者: 天野みんと


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13/19

第13話 隠さなくていい

セシリアさんへ費用を伝えると、返事はすぐに来た。

その内容でお願いしたい。

そう書かれていた。

よかった。

これで今度こそ正式な仕事だ。

ノラさんの件も、オスカーさんに相談した。

「この店の仕事を辞めていただきたいわけではないんです」

最初に言う。

「私の仕事で、デザインを絵にしてほしいときだけお願いしたくて」

オスカーさんが腕を組む。

「必要なときだけ?」

「はい。本来のお仕事に支障がない範囲で」

「報酬は?」

「もちろんお支払いします」

言えた。

成長。

「ノラはどうしたい?」

オスカーさんが本人を見る。

ノラさんは少し緊張していたけれど。

「やってみたいです」

はっきり言った。

「新しいものを考えるの、好きなので」

よし。

「では、店の仕事に差し支えない範囲なら」

オスカーさんも頷いた。

決まった。

ノラさん、チーム加入。

……チーム?

いつの間にか増えてる。

そしてドレスが完成した。

深い紺。

余計な装飾はほとんどない。

胸元はすっきり。

布が身体にまとわりつきすぎず。

でも必要以上に離れない。

腰位置は、セシリアさん自身に合う場所。

裾まで綺麗に縦の線が落ちている。

「…………」

鏡の前に立ったセシリアさんが。

動かない。

私は横で待つ。

前にもこの時間があった。

アシュリーさんのとき。

鏡を見る。

少しの沈黙。

これ、緊張するんだよね。

「どうですか?」

そう聞くと、セシリアさんが自分の身体を鏡越しに見る。

胸元。

腰。

全身。

「私」

ゆっくり言う。

「こういう服、着てもよかったんですね」

「もちろん」

「ずっと」

手がドレスの布をなぞる。

「もっと飾らないと、身体が目立つと思っていました」

でも今は、何も隠していない。

無理に細く見せようとも。

小さく見せようともしていない。

ただ服のラインを整えただけ。

「今日の私」

セシリアさんが鏡を見る。

少し笑う。

「ちょっと、好きかも」

「…………」

それすごくいい。

私は、こういう言葉を聞きたかったのかもしれない。

数日後。

セシリアさんは、そのドレスで夜会へ出た。

もちろん私も行った。

検証大事。

「セシリアさん、雰囲気が変わりましたね」

「そのドレス、とても素敵」

「ずいぶんすっきり見えるわ」

反応良好。

本人も楽しそう。

そして、ある令嬢が何気なく聞いた。

「セシリアさん、以前よりお痩せになった?」

私は少し離れたところで聞いていた。

セシリアさんが一瞬、私を見る。

それから笑った。

「いいえ」

はっきり。

「何も変わっていません」

「まあ、そうなの?」

「はい。ドレスを変えただけなんです」

その言葉が妙に嬉しかった。

身体は何も変わっていない。

変える必要もなかった。

ただ、似合っていなかった服を本人に合わせただけ。

私はグラスを持ちながら。

小さく呟く。

「……ほらね」

翌日、私は売上と費用をまとめた紙を前にしていた。

相談料。

仕立て。

ノラさんへの報酬。

その他。

「…………」

こうして見るとちゃんと仕事した感じがする。

「お嬢様」

ローラが隣から覗く。

「どうですか?」

「面白い」

「数字がですか?」

「うん」

前は、お金の話になるとちょっと面倒と思っていた。

でも、誰にいくら払った。

何にいくらかかった。

最後にどれだけ残った。

それを見るとこの仕事が本当に動いたんだと分かる。

「ロイさんにも見せたい」

言ったあとで、あれ?何で?と思う。

まあ教えてもらったからか。

「ご連絡しますか?」

「うん」

ローラよ。

最近私の行動予知してない?

ロイさんのところへ持っていくと。

「じゃあ、振り返ろうか」

と言われた。

振り返り。

つまり、ちゃんと利益が出たのか。

何に時間がかかったのか。

次に変えた方がいいところはないか。

を見るらしい。

「仕事って」

私は紙を見ながら言う。

「終わったら終わりじゃないんですね」

「そうだね」

「面白い」

「本当に好きだね」

「何が?」

「この仕事」

「はい」

即答。

これはもう迷わない。

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