特殊能力と転生者か否か
なぜ幹部にならないといけないのかと護はリバルを問い詰め……。
床にはセイドリックが血を流し失神している。
失神してるセイドリックをみないように護は目を逸らしていた。
「手当てをしなくていいのか?」
「セイドリックは、このぐらいで死ぬようなヤツじゃねえぜ」
「そうなのか?」
それでも手当をした方がいいんじゃないかと思い護は、チラッとセイドリックをみる。
(このままにしておいても本当にいいのか?)
護の頬を一滴の汗が伝い落ちた。
「セイドリックは自己治癒と云う特殊能力を持っている変態だから心配することないぜ」
「特殊能力を持っているのって……異世界からきた者だけじゃないのか?」
「特異体質って分かるか?」
そう聞かれ護は頷くも、それと特殊能力がどう関係してるのかと不思議に思い首を傾げる。
「それと関係してるのか?」
「関係と云うか……稀にあり得ない力を授かって産まれるヤツがいる。この世界ではあり得ない異質な能力をな」
「まるで神から授かったようだ。まさか……俺たちの世界からの転生者ってことはないよな」
そう言ったものの護はあり得ないと思い首を横に振った。
「異世界から転生……か。ないとも言えねえ。だが確認は無理だ。前世の記憶でもありゃいいんだが、そんなのあり得ねえしな」
「俺の居た世界に転生と転移を題材にした創作が存在する」
「ほう……創作なぁ。ってことは芸術的なものだよな。マモルの世界じゃ創作って、どんな物を言うんだ」
目を輝かせてリバルは護をみつめる。
「創作……前にも話したと思うけど。色々あるけど――……」
思い出しながら護は【小説】、【絵】、【音楽】、【アニメーション】、【ゲーム】、その他にも色々と挙げていき説明を交えて話した。
「小説や絵、音楽は……物をつくるような創作ならある」
「そうなのか……そういえば映像技術は凄いよな。魔法を使ってるし」
「ああ……それか。そういったのは特殊能力者や異世界から来たヤツらがもたらした技術らしいぜ」
そういう事かと思い護は納得する。
「そう考えると本当に転生者が居るんじゃないのか?」
「転移者が居るならあり得るかもな。だが……セイドリックは違うと思うぜ」
「なんで……そう思うんだ?」
不思議に思い護は首を傾げた。
「本当に異世界からの転生者なら、もっと強い能力を持ってるはずだ」
「どうだろうな……コイツは普通と違う能力を持っている。それだけでも、あり得ると思うけど」
「確かに……そうかもな。まあ、そうだとしても前世の記憶ねえなら違うって思ってた方がいいと思うぜ」
それを聞き護は、そういう考えもあるのかと心にとめる。
「それもそうだな。さて……話を戻すか。俺を組織の幹部にって、どういうことなんだ?」
「忘れてねえのかよ!?」
「忘れる訳ないだろ!」
そう言われリバルは、ハァーっと溜息をついた。
「本来なら今回の仕事がすんだら話すつもりだった。その方がマモルも自信ついていいと思ってな」
「なんでそんなに俺を?」
「組織を強化してえ」
それを聞くも護は理解できないでいる。
「強化したいだけなら俺じゃなくてもいいよな?」
「マモルほど強くて使えるヤツはいねえぜ」
「だから俺は臆病で強くもない。それなのに役に立つ訳ないだろ!」
呆れ顔でリバルは護を見据えた。
「まだそんなこと言ってんのか? まあいい……じゃあ今回の仕事をしてみて判断しろ」
「そうだな……今回の仕事だって、どこまでできるか分からない。それに自分の実力も分かるだろうしな」
「そういう事だ。じゃあ、この話は保留でいいな?」
そう問われて護は、コクッと頷きリバルをみる。
「まだ時間はある……少し外の見回りをしたら、ルカとモンガに声をかけて戻ってくるよ」
そう言うと護はリバルに背を向け歩き出し扉までくると部屋を出ていった。
「どんだけ自信ねえんだよ。セイドリックをノシた時点で強さは証明されてんだぜ。ウチの幹部の中じゃ強い方だからな」
チラッとセイドリックをみたあとリバルは溜息をつき頭を抱える。
「さてと……だいぶ回復してきたようだ。いい加減起こすか」
そう言いリバルは、セイドリックを起こした。そのあと憂さ晴らしに小言をいって気を晴らす。
セイドリックにとっては、ご褒美のようで喜んでいる。こうみるとセイドリックは、かなりのドM体質のようだ。
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酒場を通り外に出た護はリバルに言われたことを思い返しながらスラム街を歩いていた。
(強くなんかない。もし、そうだとしても能力のおかげだ。この能力がなくなったら何もできないんだぞ。それなのに強い訳がない。
それに今だって手が震えてる。この見回りだって、さっきみたいなことがあるかもしれないから怖いんだ。
今度は強いヤツが襲ってくるんじゃないかってな)
そう思い護は溜息をついたあと自分の手へ視線を向ける。
「早く元の世界に帰りたいよ~」
涙目になりながら護は空を見上げた。
「それには……できるだけ目立たないようにして生き残らなきゃな」
そう思い護は真っ直ぐ前を向き速足で歩いていたのだった。
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