193 怒られたルリア達
このお話を入れてあと3話(195話)で完結予定です。
村人を解毒し終わったので、あたし達はそれぞれ馬に乗り男爵邸に戻ることにした。
「めえ~」「ぶぼぼ」「もお~」「ほほほぉ」「ぴぃぴぃ」
ヤギ達や鳥達もついてきてくれる。
「ルリアちゃん、ヤギたちと、とりたちの小屋もつくったほうがいいかも?」
「そだな? まだやみあがりだし……」
「めええ~」「ほうほう!」
ヤギとフクロウは必要ない、適当に庭でゆっくりするから、お構いなくと言う。
「むう~、そだなー。小屋を作るにしても、時間がかかりそうだし……」
そんなことを話していると、屋敷が見えてきた。
「あれ? マリオン?」
「ママ? ごびょうきはいいのかな?」
マリオンが屋敷の門の前に仁王立ちしている。
マリオンの周囲には侍女と従者が並んでいた。
「マリオン、もうだいじょうぶなの? いや、ねてないとだめだよ?」
素早く魔法で調べてみたが、マリオンの体調は良くない。
立って歩けるような状態ではなかった。
「ルリア様。大丈夫なの? ではありませんっ!」
「ひぅ!」
マリオンの声は大きくないのに圧が凄くて、あたしは思わずびくりとした。
「あわわ」
スイも慌てている。
「ぴぃ~」
ダーウはすかさずマリオンの足元に仰向けに転がった。
「ルリア様。サラ。いったいどこで、何をしてきたのですか?」
「えっと、うまでおさんぽ?」
「正直に話しなさい」
「あい。えっと、なんといえばいいかー」
あたしが、なんて説明すれば良いか迷っているとサラが冷静に言う。
「あのね、ママ。だまっていったのはごめんなさい。でも、家の中で説明していい?」
サラがそう言ったのは、体調の悪いマリオンに外で立たせ続けるにはいかないからだ。
「……わかりました。馬の世話がおわったら書斎に来なさい」
「あい」「わかったのである」
あたしはこっそり、屋敷の中に戻るマリオンの解毒をして治癒魔法をかけた。
これで楽になるはずだ。
「……ルリア様」
すると、マリオンは足を止めて、こちらを見た。
「どした? マリオン」
「ありがとうございます。楽になりました」
「……ん。よかった」
そしてマリオンは再び頭を下げて、屋敷の中へと戻っていった。
頑張ってくれた馬達の世話を終えると、あたし達は屋敷に戻る。
「トマス、怒られたらすまぬな?」
「今更です。覚悟してます」
「あ、サラちゃん、スイちゃん、少しだけ待ってな? 十分ぐらい」
「ん、先にママのところにいってるね」「わかったのである!」
あたしはサラ達と別れて、ダーウ、キャロ、コルコ、ロアと一緒に姉の部屋に行く。
姉は眠っていた。だが、息は荒く、辛そうだ。
「やっぱり……」
毒だ。飲み水に混じっていたのだろう。
あたしは姉を解毒し、治癒魔法をかける。
ついでに姉の看病をしていた侍女も治療しておく。
「これでよし」
姉の部屋を出るとあたしはダーウの背中に乗った。
「ダーウ! 屋敷のなかをはしって!」
「ばうばう!」
あたしは駆けるダーウの背の上から、屋敷の者達を解毒して治癒魔法をかけたのだった。
「なんか、気分がすっきりしたきがする……」
「確かに……どうしたんだろう」
従者達がそんなことを話している。
「よしよし。これで安心してマリオンに怒られられるな?」
「ぴぃ~」「りゃむ~」
「ダーウとロアは怒られないから安心していい」
あたしがダーウ達と一緒にマリオンの部屋に入ると、あらかた説明は終わっていた。
「ルリア様。子供たちだけで無断で行くことを褒めるわけにはいきません」
「あい」「はい」「すまんのである」「ぴぃ~」
あたしたちが叱られる横で、ダーウも仰向けになっている。
「よろしいですか? 危ないことは大人に任せなさい」
「あい」「はい」「ごめんである」「ぴぴぃ~」
マリオンのお叱りは続く。
十分後、あたし達の反省が伝わったのか、マリオンは笑顔になった。
「ルリア様、我が領民と私自身を救っていただいたこと、感謝いたします」
「えへえへ」
「スイも、ありがとうございます。本当に助かりました」
「へへへ。スイはたいしたことしていないのである!」
「サラ。領民を救おうとしたことは、領主として立派です。ママはサラを誇りに思います」
「へへへ」
サラは照れて、顔を真っ赤にしていた。
「ぴぃ~」
するとダーウもマリオンに褒めてもらいたそうにしながら、体を押しつけ始めた。
「ダーウもありがとう。サラとルリア様を守ってくれて」
「ぁぅぁぅ」
ダーウも撫でられて、とても嬉しそうだった。
◇◇◇◇
ノベルは3巻まで、コミックスは2巻まで発売中です。コミックス3巻は3月6日発売予定です




