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【コミックス2巻発売中!】転生幼女は前世で助けた精霊たちに懐かれる  作者: えぞぎんぎつね
四章

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192/195

192 平和になった村

「悪女よ! そしてこの地に住む、ありとあらゆるものよ! 呪われろ!」


 そう叫んだ瞬間、男はバンという音とともに、文字通り破裂した。

 血と肉が周囲に散らばると同時に、呪いがばらまかれる。


 きっと、まとめて呪うためにサラが到着するのを隠れて待っていたに違いない。


「自分の命を引き換えにした呪術である! やばいのである!」


 スイが叫んだとおり、かなりやばい呪術だ。

 このままだと、近くにいる者は、人も動物も遠くない未来に苦しんで死ぬだろう。

 それだけでなく、周囲一帯が、生き物が住めない土地になる。


「ひぃぃぃぃ」


 村人達も悲鳴を上げる。

 村人達は呪術などわからないし、呪力も見られない。


 それでも恐ろしさを感じるほど、おぞましい気配が漂っていたのだ。


「ルリアがなんとか――」


 あたしが呪術に対応しようとするのを邪魔するように、残った一人が、


「苦しんで惨めに、穢れの中で死ぬがいい! 悪女!」


 叫びながら、ダーウぐらいの大きさの呪者に変化しあたしに飛びかかってくる。


「ば、化け物!」


 村人達は涙目になる。


「ルリア、スイの後ろに――」


 スイはスレインを操り、あたし達と呪者の間に入ろうとしたが、間に合わない。


「きえれ」


 あたしは呪術師が命を引き換えに発動した呪術、その呪力の塊を目がけて棒を振るう。

 あたしの精霊力が呪力とぶつかると、一瞬で呪力が消え去る。


「……お前もきえれ」


 そして、あたし目がけて飛びかかってきた呪者に木剣を振るった。


「ぐぎゃああああ…………」

「つまらぬものをきってしまったな?」


 木剣に触れた呪者は一瞬で浄化して、消え去った。


「来世があれば……まじめにいきろ?」


 呪術などとは縁の無い人生を送ってほしいものだ。


「……あ」


 みんな倒してしまったので、尋問ができなくなってしまった。


「ま、いっか。とうさまがなんとかするな?」


 背後を調べたり色々するのは全部父に任せればいい。


「聖女様。ありがとうございます」

「……また、やってしまったな?」


 村人達は、地面に額をつけて、あたしに向かって感謝と祈りの言葉を唱えていた。


「聖女だとおもわれたら……」

「ルリアちゃん、こまる?」

「こまる」

「わかった、まかせて」


 サラはそういうと、サンダーを進めて村人達の前に向かう。


「この地の領主男爵サラ・ディディエが命じます。頭をあげなさい」


 サラの声は、綺麗で良く通った。

 頭をあげた村人に向かって、サラは静かに言う。


「ルリアちゃんはただの人です。崇拝することを固く禁じます」

「で、ですが、明らかに聖女としか……」

「いえ、ただの人です。領主の命令です。崇拝を禁じます」


 まだ村人は何か言いたげだったが、サラが険しい顔で睨み付けているので何も言わなかった。

 サラはしばらく睨み付けたあと、ふっと微笑む。


「もし、ルリアちゃんに、感謝してるなら口を閉じなさい」

「は、はい」

「よそ者には、特に教会の人たちには、絶対に言ってはだめ」


 サラがそこまで言って、やっと村人達は教会に気づかれたらまずいと気づいたらしい。

 教会は精霊を目の敵にしているのだ。


 聖女と思われたら、あたしがまずいことになることは予想できる。


「我が村の者は、けして口外いたしません」

「うん。ありがと。あのね。ルリアちゃんはね。大公爵家のお姫様なの」

「……なんと」

「もし、ルリアちゃんになにかあれば、男爵家は当然おこるし、大公爵家もおこるよ」

「はい」

「それに王様の孫で、王様はルリアちゃんが大好きだから、王様もおこる」


 サラは村人達に言い含めるように言う。


「だから、ルリアちゃんはただの人だからね?」

「肝に銘じます」

「ありがと」


 にこっと微笑むと、サラはあたしを見る。


「これでだいじょうぶだよ」

「おおー。ルリアが言ってもきいてもらえなかったのに……」


 さすがは領主だ。


「それに、サラちゃん、かあさまににてるな?」


 湖畔の別邸でも、領民があたしのことを聖女と言ったことがあった。

 そのとき、領民に口止めした母に、今のサラは似ている気がした。


「わかった? まねしてみた」


 そういって、サラは微笑んだ。



「よぉし! じゃあ、病気の人をなおしてあげるよ!」

「やはり、せ……」


 村人が小さな声で聖女とささやきかけたので、慌てて付け加える。


「スイちゃんが!」


 そういって、あたしはぴょんとレオナルドの背から降りた。


「お、おう! 偉大なる竜であるスイが病気の皆を治すのである!」


 スイもスレインから降りてくれる。


「案内するのである!」

「ルリアちゃん、サラは村の人たちからお話聞いてるね!」

「うん! あ、キャロとコルコ、ヤギ達もサラちゃんを守ってな?」

「きゅ~」「ここ」「めえ~」


 そして、あたしとスイは村人に案内してもらい、病人を治していった。


 治療の合間に、心配そうにあたしをみつめるクロにだけ聞こえるようにささやく。


「クロ。これは毒だからな? ただの風邪じゃない。治さないとダメ」

『うん。でもなるべく節約した方がいいのだ』

「わかってる」

「ほあっちゃああああ」


 スイが病人の横で叫んで大きな動作で手を広げたりする。

 あたしはスイの動作にあわせて、ダーウの陰に隠れながら解毒していく。


 前世のルイサは意地悪な王女が奇跡を起こしているかのように見せかけていた。

 だから、人の動きに合わせて、治癒魔法を使うのはものすごく得意なのだ。


「ふふふ。誰もきづいてないな?」


 あたしは村人達を見る。


「ありがたいありがたい。聖じ――」

「やめろ。ただの人であらせられるぞ」

「それに治してくれたのは水竜公様ってことになってる」

「そ、そうだった。水竜公とただの人、ありがとうございます」


 村人は水竜公とただの人に感謝していた。



 毒に侵された村人達は本当に多かった。

 元気に見える村人も、多少毒に侵されている。


「水だから、しかたないな?」


 毒が混じっていた川の水は、飲み水にも生活用水にも使われていたのだから当然だ。


 あたしとスイは村人全員を解毒して回った。

 最後に家の地下に隠されていた子供達の解毒をした。


「あ! お嬢様! ビトは?」


 解毒を済ませると、子供が尋ねてくる。


「お、ビトの友達だな? ビトは元気だよ。村につれてきた。あの辺りにいる」

「え! ありがと!」


 子供は笑顔で家の外へと走って行った。


「ビト!」

「むう~~」


 家の外からビトの嬉しそうな声が聞こえてくる。


 あたしとスイが家の外に出ると、ビトと子供が抱き合っている横で、サラが語っていた。


「ビトは村を守るためにダムをつくっていたの」

「な、なんと」

「毒が村に流れないようにがんばっていて――」


 サラにビトの行動を教えてもらった村人達は涙した。


 ビトに感謝した村人達は村の中にビトの祠を作ることにした。

 祠といっても、簡単に言えば、ビトの巣である。


「これで一緒にくらせるね!」

「ビト、またあそぼ!」

「むっむ!」


 狩人娘ナザニンと、子供に抱きつかれてビトは両手を前後にぶんぶんと動かした。

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様&ありがとうございます ただの人さん、多分間違いなく隠れながらやっているつもりでしょうがバレバレです あとサラちゃんGJ では、教会にバレないかヒヤヒヤしながら、次回の更新もお待ちし…
めでたしめでたし
ただの人のルリア様さすがです!
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