第4話 決めました。
ぼくはもともと、小説が好きな方だ。
特に、冒険物なんか、大好きだ。
将来は、小説家か、冒険家になろうかと思っているくらいだ。
そんなぼくに、こんなおもしろい状況で、『記憶をなくして、地球に帰る』だと?笑わせないで欲しいね。
「決めたよ。宙」ぼくは決心した。
「死んでもいい、だけど、その代わり、どうして調査しているのか、教えて欲しいね」ぼくの額には、脂汗が浮かんでいる。手足も震えている。怖い。いざ、言ってみると怖いものだ。
恐る恐る、宙を見てみる。
すると───。
驚いた事に、宙は大きく目を見開いて、ぼくを見ていた。
「そ、宙?」
ぼくの呼びかけに、我に帰ったのか、鋭い目つきに戻った。
「え……っと、本当に?」さっきと口調がまったく違う。どこか、うろたえているようだ。
ぼくは不思議に思いながらも、
「うん」と言った。
「うそ……。こんな、小説ばっか読んでいて、度胸もなさそうな奴が?」宙は、驚いているようだ。ぼくは、悪かったな。と言いたい所だが、そこは本当のことなので仕方がない。
「う……ん。まぁ、いいか。こんな奴でも、百人調査では、一番良い結果だったし。よし、こいつ──瀬戸虹にするか」
さっきから、この人は何独り言を言っているのだろう。
宙は、急ににっこり笑って、(ぼくには、悪魔の微笑みに見えた)手のひらを上にして、ぼくの目の前に差し出した。
「?」
宙は、いったん手を閉じ、また開いた。まるで、マジシャンが、なにもない手からコインを出すように。
そして、そこにはコインではなく、藍色に輝くブレスレットがあった。




