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第25話
おかしい。人事から聞いた警備計画では、あと二十分は誰も来ないはずだった。
足音が一歩ごとに大きくなっていく。反射的に、近くのデスクの影に身を沈め、息を止めた。廊下に、懐中電灯の強い光が走り、デスクの端をかすめていく。
心臓の鼓動が、頭蓋骨の内側で狂ったように跳ね回っていた。
この、暗闇で息を押し殺す感覚。ふと、「ドラえもんのおじさん」の薄暗い部屋で息を殺していた時の感覚。なんで今、思い出す。
見つかれば。終わる。
――足音は、やがて通り過ぎていった。だが、背中を伝う冷や汗は、引くことがなかった。
画面には「送信完了」の文字が浮かんでいた。その瞬間、全身から力が抜け、椅子に深く沈み込んだ。恐怖と、それ以上の倒錯した高揚感。
俺はやった。
もう、後戻りはできない。後悔だけが、まだどこにあるのか分からなかった。




