13.幕間 消えた私と、探し続けた僕
私は、どこへ行けばいいのか分からなかった。
僕は、どこを探せばいいのか分からなかった。
それでも、足は自然とあの場所へ向かっていた。
それでも、足を止めることはできなかった。
古い廃ビルの中は、静かで足音だけが響いた。
古い廃ビルの中には、雨音だけが響いていた。
埃っぽいベンチに腰を下ろした。
埃を被ったベンチの上に、誰かが座った跡を見つけた。
そこは、冷たいのに、少しだけ安心した。
そこに、さっきまで彼女がいたような気がした。
私は、本当の私が分からなくなっていた。
僕は、彼女の本当の気持ちを分かっていなかった。
お母さんに決められた私ではなくなれたと思った。
僕は、彼女が自分の意思で歩き始めたと思っていた。
でも、それすら誰かに作られたものだったのかもしれない。
でも、その変化の裏側で彼女を傷つけたのは僕だった。
それでも最後に思い浮かんだのは、雫さんだった。
それでも僕は、彼女を探し続けた。
会いたいと思ってしまった。
会って、もう一度話したかった。
怖かった。
間に合ってほしいと思った。
それなのに、私はその場から動けなかった。
それなのに、僕は辿り着くのが遅すぎた。
もし来てくれたら。
もし、もう一度声を聞けたら。
そんな小さな願いを抱いたまま。
そんな僅かな可能性を信じながら。
私は、静かに目を閉じた。
僕は、誰もいない廃ビルの中で彼女を探し続けた。
そして――
私は、消えた。
僕は、彼女を見つけられなかった。




