↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/19

11

私は、自分の中に残る雫さんへの想いと、後悔を消すために、雫さんを憎もうと決めた。


長い長い時の中で、考える時間はたくさんあった。


冷静になるには充分すぎた。


あの時、ちゃんと話し合えていたら。


あの時、信じられたら。


あの時、目を逸らさなければ。


あの時、廃ビルの中で朝まで待っていれば。


雫さんは、私を助けてくれたのではないだろうか。


最期の最後まで、思い浮かべてしまうのは雫さんだった。


怖かった。


それでも、思い出すのは憎んだはずの人の笑顔だった。


それ以上に、好きになっていたことに、気づくのが遅すぎた。


だから……


私は、雫さんは悪い人だったと思うことにした。


そう思い込まないと、私は生き続けることが辛かった。


押し込めていた感情が、また蘇ってしまった。


何度、逃げなかった私と雫さんとの未来を想像しただろう。


二人で過ごせたはずの未来を。


涙が次々と溢れてくる。


やり場のない想い。


私は嗚咽をあげて泣いた。


助けて……


私を助けて……


もう、逃げないから。


この世界へ来て、こんなに泣いたのは初めてだった。


顔をあげると、窓から柔らかな陽が差し込んでいた。


私は顔を袖で拭った。


部屋を出て、水場へ向かう。


廊下の途中で、セイトに会った。


彼は私の方を複雑そうな顔で見ていた。


「泣いていたの?」


何故か辛そうな声だった。


「泣いて……ない」


私は顔を背けて、強がる。


会って数日しか経っていない彼に、知られたくはなかった。


知れば、きっと慰めてくれる。


雫さんのことを思い出して余計辛くなるのが分かっているから。


そんな私に彼はゆっくり近づき、頬に流れた涙をその長い指で拭う。


「朝食、用意しておくから、顔を洗ったらおいで」


優しくそう言い残し、去って行った。


胸の中が苦しい。


別人なのに、雫さんを重ねてしまう。


セイトの足音が廊下の奥に消えていく。


私はその場に立ち尽くし、触られた頬を手で覆った。


まだ、指先の温もりが残っているように感じた。


雫さんも、私が話し出すまで無理には聞かなかった。


……本当に、似ている。


首を振り、頬を叩く。


セイトはセイトで、雫さんではない。


分かっている。


どんなに思い出そうが、後悔しようが、望もうが、元の世界にも、あの時間にも戻れない。


昔、レンギョウに尋ねたことがあった。


『貴女が召喚したんでしょう?私を元の世界に帰せないの?』


無理だと言われて終わった。


私はため息を吐き、水場へ向かった。


冷たい水は泣き腫らした目に染みた。


何度も、何度も水で流す。


涙がまた勝手に溢れだす。


落ち着くまでに時間がかかった。


水面に映る私は、目の周りが赤く腫れていた。


鼻の頭も頬も赤かった。


(ああ……これでは「泣いていた」と、言っているようなものだ)


それでも良い。


今だけは、誰かの優しさに少しだけ甘えたかった。


私は、小さく息を吐くと、食堂へ続く薄暗い廊下を歩き出した。

最終まで大まかな流れ決まったんですけど、自分で考えたのに受け止めきれなくて少し泣いた。

ここ数日、互いに和解できた世界線作りまくって二人幸せにしてる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。