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いつつめ

勉強のため苦手な分野に挑戦中です

面白いものを描きたい⋯

 そよ風が頭を撫でて行く。

短めの横髪が風でふわっと持ち上がるのは涼しくて心地良い。

右手では大き目のエコバッグがぱたぱたと小さく音を立てていた。


あたしは今、自己問答をしながらスーパーへ急いでいるところ。


お夕飯は何にしよう?とか、他に何か要る物はあったかな?とか。

着くまでに洗い出しをしなくてはならない。


今日は月曜だからスーパーも特にセールやって無いはずだよね。

じゃ最近暑めだからパワーつけるためにカレーにしようかな?


あと、なんだっけ?…あ、そうだプリンを買ってかなきゃ!お父さんのやつ。


ーーープリンかぁ…。


 それは今朝のこと。

お父さんが冷蔵庫に顔を突っ込んでしきりにむにゃむにゃ言っていた。


そして…。


「おーい!冷蔵庫のプリン知らない?」


「あっあれ?賞味期限ギリだったから食べちゃったよ。」


「は?あれ俺のだって!何でいつも食べちゃうのかなぁ!?」


んで朝から大ゲンカ。

そりゃさ、食べたあたしが悪いかもだけど賞味期限切れたらダメでしょ?

それでいつもより20分位遅れて学校に向かったんだよね。


めちゃくちゃ急いでいたのと、昨夜お父さんの集めてる山道でレースするマンガの影響で「譲る気分じゃないな…キリッ」って他の人を追い抜いて行ったけど、あの中にケンちゃんが居たのかな?

あたしに気が付いて探しに来てくれたんなら嬉しいよね。


 夕方のスーパーはもう混み出している。

主婦とか仕事帰りらしい人とかか行き交っていてちょっぴり面倒。

でもなんか賑やかな感じがするのだけは嫌いじゃない。


「いらっしゃい!」


生鮮品を並べ終えた店員さんがあたしを見て手を振ってくれている。

顔見知りで昔から良くしてくれている寺継薫さん。そして母の学生時代からの友人でもある。


「あっこんばんは!お夕飯の買い物に来ました!カレーにしようかな?と思うんですけど…。」


今日は脂の乗ったカツオが入ったらしい。タタキも美味しいんだよね!

うーん悩むなぁ…。

二人であれが良いこれはどうだと笑いながら話していると、急に薫さんが真面目な顔をして…。


「あのね、そろそろもっと女の子らしい格好しても良いんじゃないかな?って思うんだけど。」


そう、あたしは今、薄い小豆色をした道場のスタッフ用ジャージを着ている。


「ありがとうございますっ!でもこれ好きで着てるんで大丈夫です!道場の宣伝になるからって父にも認めさせたんですよ。」


「そうなんだ…。」


「ただ交換条件があって…。」


「交換条件?」


「はい、この赤いリボンの髪飾りです。母が若い頃にしていたこれを付けるのが父からの条件なんですが…もしかしたら見覚えってあります?」


はて?という顔をしている薫さん。

いかん、お母さんの事を聞きたかったのに若干気気不味い空気になっちゃった。


カレーを作ったらトレーニングもあるからと話を切り上げたあたしに、うーんと唸る薫さん。


そして⋯。


「あのね、その格好のままカレー作ったらスパイスの匂い付いちゃうんじゃないかしら?」


「あっやばっ!道場がカレー風味になっちゃう!!」


気が付けば大勢のお客さんの中、二人で大声出して笑っていた。

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