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第37話「平安の下着革命」

数日後の夜。

風呂上がりでぽかぽかと火照った四人の少女たちの前に、吉平は布で包まれた小さな包みを四つ並べた。


「完成したぞ。俺の故郷の知識を結集した、最強の『したぎ』だ」


包みを開けた少女たちは、見たこともない奇妙な形の小さな布きれに目を丸くした。

「……吉平、これ、どうやって着るの? 布が少なすぎない?」

サチがショーツの紐を摘み上げて首を傾げる。


「隣の部屋で着替えてきてくれ。着方は……」

吉平は襖越しに、紐の結び方や布の当て方を丁寧に説明した。


数分後。

「吉平、着れたわよ」


襖が開くと、そこには吉平が作った部屋着を羽織った四人の姿があった。一見すると今までと変わらないが、彼女たちの表情は驚きと感動に満ちていた。


「すごいわ吉平! 胸のところがしっかり支えられてて、動いても全然揺れないの! しかも股のところがスースーしなくて、お腹まであったかい!」

サチがその場でジャンプしてみせるが、いつもなら気になっていた胸の揺れが見事に抑えられている。


「本当です……。今まで着物の下を風が通り抜けるのが当たり前だと思っていましたが、この一枚の薄い布があるだけで、まるで強力な結界に守られているような安心感があります」

桔梗もお腹のあたりを押さえながら、深く息を吐き出した。


「絹の肌触りが極上で、締め付けもないのに優しく包み込まれますわ。これは……都の姫君たちが知れば、金に糸目をつけずに欲しがる大発明ですわね」

葵は早くも商人としての顔を覗かせている。


「吉平様! この下着、布が少ないので忍びの動きを全く邪魔しません! これならいつでも吉平様をお守りできます!」

美影はその場で華麗なバック転を披露し、着心地の良さをアピールした。


「よかった。これで衛生面も安心だし、冬の冷えも防げる。何より、万が一着物の裾がめくれても、中が見えないから安心だろ?」


吉平は心底ホッとして肩の荷を下ろした。

これでついに、吉平の健全な理性が脅かされる日々に終止符が打たれたのだ。そう確信して、吉平は温かいお茶をすする。


しかし、吉平のその安堵は、わずか三分後に見事に打ち砕かれることになった。


「あー、あったかい。下着って本当にいいわねー」

サチが縁側にごろんと寝転がった。そこまでは今までと同じだが、彼女は「中が見えても平気」という絶対の安心感を得てしまったがゆえに、部屋着の裾が太ももの上までめくれ上がっても、直そうともしなくなったのだ。


「サチさん、はしたないですよ。……ふふっ、でもこの下着の胸の紐、少しきつく結びすぎたかしら」

葵に至っては「見えても下着だから問題ない」と判断したのか、吉平の目の前で部屋着の襟元を大きくはだけさせ、胸の谷間を強調する白い布と紐の結び目を堂々と見せつけながら調整し始めた。


「し、師匠! 私のこの結界したぎの結び目も、正しいか確認してください!」

「吉平様! 私の布のフィット感も見てください!」

桔梗と美影までもが、防御力を得たことで謎の積極性を発揮し、吉平に迫ってくる。


「お前ら! 下着は人に見せるものじゃない! 隠れてるからって油断しすぎだ!」


ノーパンの危機は去った。

しかし、「下着を着けているから大丈夫」という謎の無敵モードに入ってしまった四人の少女たちは、以前にも増して無防備な姿を吉平に晒すようになってしまったのだ。


「誰か……俺の理性を守る下着も作ってくれ……っ」


吉平の悲鳴は、ヒロインたちの楽しげな笑い声にかき消され、平安の夜空へと虚しく吸い込まれていった。

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