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第11話「間取りをめぐる聖戦」

村の大工たちの協力もあり、吉平の家は見違えるように生まれ変わった。

床は高く張られ、真新しいい草のゴザが敷き詰められている。大きな窓からは陽光がたっぷりと降り注ぎ、家の中を爽やかな風が吹き抜けていった。


「すごいわ吉平! 床が土じゃないなんて! しかもすごくいい匂い!」

サチがゴザの上をゴロゴロと転がって喜ぶ。


問題は、ここからだった。

家を広げたことで、サチ、桔梗、葵の三人も、吉平の家に住み込む(入り浸る)ための部屋を設けることになったのだ。

新しい家は、中央に吉平の作業部屋兼寝室があり、その周囲にいくつか部屋を作れる構造になっている。


「さて、誰がどの部屋を使うかだが……」

吉平が言いかけた瞬間、三人の目の色が変わった。


「吉平! 私は絶対に吉平の部屋の右隣ね! なにかあったらすぐに飛んでいけるし、夜中に看病してあげた仲じゃない!」

サチが幼馴染の特権と実績を振りかざして猛アピールする。


「なっ、抜け駆けは許しませんよ! 私は大陰陽師様の左隣に祭壇ベッドを構えます! 師匠の寝込みを襲う悪霊は、私が物理的……いえ、霊的に防ぎます!」

桔梗がビシッと指を突きつけて主張する。


「お二人とも、お静かに。吉平様は夜遅くまで新しい薬や石鹸の研究をなされます。そのサポートや帳簿の報告をするためには、私が一番近い部屋、すなわち真裏の部屋にいるのが最も合理的ですわ」

葵が帳簿を胸に抱きながら、理路整然と、しかし絶対に引かない笑顔で牽制する。


三人「「「吉平(様/師匠)、どこがいい!?」」」


三人の美少女が、ものすごい剣幕で吉平に詰め寄ってくる。

右からはサチの健康的な圧が、左からは桔梗のいい匂いが、そして正面からは葵の秘めたる豊満なオーラが迫る。

誰か一人を特別扱いすれば、この平和な(?)日常が崩壊するのは目に見えていた。


「わ、わかった! わかったから! 平等にする! 完全に平等な間取りにするからちょっと待て!」

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