死者の理由は何かな
そこからの調査は、シェリアさんが中心となって行う事になった。というのも、フォルティさんとアルシャさんが扉を開いておく必要があるからだ。
「ここも何もないわね。骨があるくらいよ」
「多分、この施設の惨状を見せるためのものかな。本当はスケルトンとして動き出すとかもあり得そうだけど、その前にリラちゃんの歌で浄化されているのかもね」
「まぁ、その可能性はあるわね。ほら、じゃんじゃん行くわよ」
私達は流れるようにして部屋を調べて行き、下の階層に来た。まだ四つの施設のうち一つの一番上の階層を調べただけだけど、全体を調べるよりも一つの施設を重点的に調べていく事を優先する事にしている。
下の階層も同じような居住部屋が並ぶばかりだ。研究施設はもう一つ下から始まる。でも、ここら辺は私もあまり調べていないので、皆で調べれば何かが分かるかもしれない。
部屋にあるのは色々なテキストばかり。
『世界を支配…………人々は…………世界を……』
『希望を……我々は…………ユートルナ……』
『ユートルナの…………宇宙…………』
『宇宙適応…………』
そんな事が分かっただけだった。怪物が来て、安全な場所を求めた結果ユートルナに避難した人々がいるという事は分かる。宇宙に適応しているか、宇宙に適応した街のユートモノを作ったか。
その辺りはまだよく分かっていない。大体の推測は出来ても確証を得られる程の情報が集まっていないからだ。
「まぁ、宇宙に行ったのは確かみたいですね」
「そうね。それにしても、ここの人達は何で死んだのかしら? 地下に浸透した事が分かっているなら、そのまま怪物はいなくなるじゃない。そうしたら地上に上がれると思うのよ」
「それでもここで死んだ……確かに気になるね。リラちゃんが感じた気配がストレスになった感じかな」
「ストレスで倒れたという可能性は十分に考えられますね。道の途中でも倒れる理由になりますし、部屋の隅にいる理由も気配を恐れてって感じになりますし」
あの気配を常に感じていたとしたら、最終的に狂ってしまうのも当たり前だ。それくらいに不快で仕方ないものだった。
「も、もしかしたら……け、気配で狂ちゃった……?」
「ああ……何かそういう系の話があったわね。コズミックホラーとかで」
「確かに。そういう存在って可能性は十分にあるかもね。宇宙から飛来してるし。地下に潜った理由はよく分からないけど」
「一番の謎ですよね。結局その部分に関して、良い情報があるわけでもないですし。一番に考えられる事は、星の命を奪おうとしているみたいな感じですけど、ここの人達が白骨化したり、この施設が遺跡になっている事を考えると、かなり時間が経過しているのに、そんな兆候はあまり見られませんし」
「あ、後は……こ、この星に住んでいる人はいるのに……み、皆、怪物に関して知っている感じじゃないって事も……」
『ああ~……』
私の言葉に、三人とも同時に同じ相鎚を打っていた。私の意見が割と的を射ていたのかな。
「確かに、このゲームのNPC達は、他のゲームと同じで普通に暮らしているだけだね。遺跡の調査はあるけど、それくらいで怪物に関しては何も知らなさそうだし。違和感はあるかも」
「街の人達はユートモノから戻って来た住人達なんじゃないかしら。ユートモノでの暮らしが長くなって、やがて怪物に関しての情報が消えたか、怪物が完全にいなくなったって事になって、この星に戻って来て何百年か経ったとか」
「それなら忘れていてもおかしくはないかもしれないですね。口伝で伝わっていたとしたら、余計にそんな感じでしょうし。ただ、ここまでの技術があるなら、どこかしらにデータが残っていそうですけど」
「そ、それを……だ、誰からが意図的に隠したとしたら……?」
私の考えは、誰かが意図的にデータを封印し幾年か経てば、怪物の事などを忘れてこの星に戻ってくる計画が立てられる可能性が高まるというものだ。
そうして、何も知らない人達を送り込んで、怪物達の動きを見る。今はそういう時期という見方も出来なくはないはず。
「面白い観点ね。確かに、それなら色々と納得は出来るけど、結局怪物に動きがないのなら、怪物は死んだのか眠りに就いているのかよね。怪物の眠りのスパンがどういうものなのか分からないから何とも言い難いけれど」
「何百年とかだと、ちょうど私達がいる時代がそれに該当するかもしれないですね。そういうストーリーなのかも。歌が重要っていうのも怪物対策や遺跡探索に使うからって感じかもですし」
「それならそれで音楽系のタイトルになると思うけれど。わりかしメインルートっぽいし」
「それは……確かに……」
「まぁ、そこは考えても仕方ないよ。それよりこの下の研究施設を調べに行こう」
「そうね。そういえば、リラはこの部分には行ったのかしら?」
シェリアさんが、スクショの地図を見せてくるので確認する。シェリアさんが言っているのは一番下の層の全体の中央にある小さな部屋だった。
「い、行ってないです……と、というか……き、気づいていませんでした……」
「まぁ、この時はひたすら出口を目指していたわけだから仕方ないわよ。ここも調べるべきね。一応、四隅から行けるみたいだから、最後にここにいく感じで調べていきましょう」
「は、はい……」
最終目的地を定めたところで、私達は下の研究施設へと進んでいく。




